「alive」

第五章【旋律】

第3話【唐突】

玖炉「そういえばなんで僕の家の場所がわかったんですか？」

蒼馬「それはSSランク同士の争いなんて遠くにいても気でわかる。」

アグナム「なによりハーリィ様の気なら俺がよく知っているからな」

ハーリィとキリカはいつになく暗い表情をしていた。
それはそうだ。二人は為すすべもなく、一撃も攻撃を与えられなかったことに、深く、屈辱感を受けていた。
だが、2人とも戦闘の場が悪かった。
キリカはアーチャー、元々遠距離攻撃を得意とするが、先程は近距離での戦闘。
ハーリィは過去の恐怖に縛られ、コンディションが良くなかった。万全ではない状態での戦闘が、今回の感情を生んだ。

シャネル「あの……」

シャネルが玖炉の裾を引っ張る。

玖炉「？」

シャネル「助けてくれて…ありがとう……」

玖炉「それを言うなら、僕じゃなくて、ハーリィとキリカ、アグナムさん、蒼馬さんにね」

キリカ「どう？動けそう？」

シャネル「うん……」

蒼馬「そこのシャネルとかいうキャスター」

壁に寄りかかるシャネルに近づく

シャネル「……何よ」

蒼馬「マスター、いないんだろ？」

シャネル「うるさいわね、別にいいでしょ」

蒼馬「俺にかせよ、その腕輪」

と、てを差し出す。

シャネル「は…？馬鹿じゃないの、いいわよ別に、もう私は用無しなんだから」

蒼馬「嫌だろ、死ぬのを待つのは誰だって」

蒼馬はシャネルの腕から腕輪を無理矢理とると、自分の左腕につける。

蒼馬「来い、まぁこいつがいれば死ぬことはないだろ」

アグナム「俺をガードマン扱いか？」

シャネルは自然と目から涙が溢れた。
そして蒼馬と玖炉を見て、笑みを浮かべながら

シャネル「本当、馬鹿なマスター達ね」

蒼馬「ってことだ、そろそろ失礼する、いつまでもここにいたんじゃ迷惑だからな…………また、近いうちに会うことになるだろうが」

玖炉「……そうですね」

蒼馬「それじゃあ、またな」

玖炉「本当に、ありがとうございました」

蒼馬はドアノブに手を差し伸べ、開く寸前。

ハーリィ「……！！」キリカ「……！！」アグナム「……！！」シャネル「……！！」

アグナム「待て、蒼馬」

ハーリィ達は何かに気づいたかのように武器を構える。

ハーリィ「玖炉、ドアの前に誰かいます」 

キリカ「えぇ、それもかなりの強敵かも」

玖炉「え……でも、アイオーンじゃないよね……誰が……」

「俺の求めた確率が正しければ、今日この場にSSランクユニットがいるはずだ。」

ガチャり、とドアを開ける。

ゼスト「俺の名はゼスト・グレアム、俺の求めた確率が正しければ、今君達は俺に敵意を向けているな」

キリカ「何よ、あんたは」

蒼馬「ゼスト……そいつは……」

玖炉「5人のSSランクユニットの最後の1人……」

ハーリィ「離れてください、玖炉……っぐ…」

先程の戦闘の傷が癒えていない、今ここで戦えるのはアグナムだけだ。

ゼスト「待て待て、俺は協力者だ、俺の求めた確率によれば君達はアイオーンと戦闘したのだろう？」

アグナム「あぁ」

ゼスト「俺も奴を倒したい、今日は顔を覚えたくてここに来たのだ」

玖炉「え、それじゃあ戦」

ゼスト「今日は控えさせてもらおう、また今度だ」

といい、すぐに家から出ていってしまった。