「alive」

レム

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番外編

キリカのとある休日

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キリカ「っふぁぁ……」

大きなあくびをして起床したキリカ、ゆらりと立ち上り、目を擦りながら部屋のドアを開ける。
そして玖炉とハーリィのいる部屋へと向かう。
ガチャと扉を開けると

玖炉「あ、キリカおはよう」

ハーリィ「おはようございます、キリカ」

玖炉はソファーで本を読み、ハーリィはテレビを見ていた。

キリカ「おはよ…」

と、一言かけると、洗面台に行き顔を洗うなど身なりを整えた。最後に髪を束ねて結び、キリカの1日が始まる

キリカ「よし!」

玖炉達のいるキッチンへ戻り、マスターである玖炉の隣に座る。

キリカ「マスター、今日の予定は?」

問いかけると首をかしげて本を閉じ考え込む。

玖炉「そうだな……特にこれといったことはないかな…」

キリカ「私、今日は少し外へ散歩に行ってきてもいいかしら?」

玖炉「うん、別にいいよ」

珍しい。面倒なことが嫌いなキリカが外に出たいと自分から言うのは……と玖炉は思った。

ハーリィ「私は玖炉の護衛がありますので、行けません」

キリカ「いいわよ、ちょっと行ってくるだけだから」

ハーリィ「そうですか」

キリカ「じゃあ、行ってくるわね」

玖炉「うん、気を付けてね」

そう言いキリカは外に出ていった。







キリカ「よーし、とりあえず…高いところに行ってみたいなぁ…」

辺りを見回すと、キリカは山に目がいった。

キリカ「決ーめた」

キリカは地を蹴り高く跳ぶと、家々の屋根を華麗に走り抜けていった。そして山に続く道が見えてきたところで、家々は少なくなり、木々ばかりになった。

キリカ「木の上を走るよりはマシか……」

そう呟くと、キリカの持つ弓、ルーの光弓を構える。

キリカ「ん~…ここらへんかな」

と山頂に伸びる高い一本杉へと狙いを定めて射つ。
その瞬間、キリカは放たれた山頂へと向かう矢を掴み、ぶら下がるようにして飛んだ。

キリカ「っはぁ~気持ちいい風ね……」

そして頂上の真下にくると矢から手を離し、木の上に降り立った。そこから見える景色は絶景で、キリカは数分その景色を眺めていた。
するとキリカの頭に鳥が一匹止まり、鳴き出す。

キリカ「……何よあなた……私の上でピヨピヨと…」

頭に手を伸ばし鳥を掴もうとすると、鳥は逃げず、キリカの手のひらに乗る。そして手を目の前まで持ってくる。
鳥はキリカの手のひらが巣だと思うかのように落ち着いていた。

キリカ「……可愛いじゃない」












キリカ「…もう帰ろうかな」

気づけば30分程時は流れていた。

キリカ「あなた、じゃあね」

手を高く上げ、手のひらにいた鳥が元気よく飛び去っていく。
それを見て微笑む。
玖炉とハーリィにちょっと行ってくるだけ、と言ったので心配かけるわけにはいかないと、帰宅することにした。
そう言い木々の上を跳び、山を下る。

キリカ『たまにはこういうのもいいものね…』

そう思いながら道路へと到着した。
再び家々の屋根を跳び、家へ戻ろうとしたその時。

「ぅっ……うぅっ…ぅっ……」

道の端でうずくまり泣いている男の子が目に入ってしまった。

キリカ『何かしら……迷子…?友達と喧嘩とか…?それとも怪我…?』

そのまま無視して玖炉の家へと向かおうとしたが、やはり困っている人をほっとけないキリカはその男の子に近づく。

キリカ「ど…どうしたの?何かあったの?」

キリカはこういうことが初めてで、質問が少しぎこちない。

「お母さんが……いなく……うぅっ……」

キリカ「あぁ!泣かない泣かない!男の子なんだから!」

そう言い迷子ということを理解した。

キリカ「わかったわ、私に任せなさい」

「ぇ…お姉ちゃん……」

キリカは目を閉じ立ち上がる。

キリカ『…………千里眼!!!』

キリカはアーチャーのSSランクユニット。
そのキリカの能力の1つ、千里眼。
その名の通りその場にいながら千里先を見通せる超能力。

キリカ『ここら辺で子供を探している母親……』

キリカならば母親を探すのは容易いことだ。

キリカ「……いた。この先ね」

「ぇ……」

キリカは男の子に背を向けると、再び腰をおろす。

キリカ「ほら、おいで」

「んっ」

男の子をおんぶしてあげると、そのまま母親のいるところまで歩く。

キリカ「出掛けてたらいなくなっちゃったの?」

「ぅん……猫がいて…おいかけてたら……どこかわかんなくなっちゃって…」

キリカ「そう……今度から離れないよう気を付けてね、お母さんだって君と同じように心配してるし……」

「はい……」

キリカ「わかったならよし!」

気づけば男の子は泣き止んでいた。

キリカ「ほら、あそこにいるのがお母さんじゃない?」

と言うと、男の子はキリカの肩から顔を出し、確認する。

「うん!そうだよ!」

キリカ「ほら、いっといで」

男の子をおろすと、勢いよく母親のところへ走っていった。

「母さん!!!」

そう呼ぶと母親は振り返り、あわててその子を抱き締める。
よほど心配だったようだ。

「水色の服を着てたお姉ちゃんが……あれ」

キリカのいた場所に指を指すと、もうその場所にキリカはいなかった。








キリカ「……ただいまー」

キリカは疲れきった様子で玄関のドアを開ける。

ハーリィ「キリカ、少し帰りが遅かったですね、何かありました?」

すると玄関の前には少し心配そうな顔をしたハーリィがたっていた。

キリカ「いいえ、長い散歩をしてきただけよ」

玖炉は変わらずソファーに座り、本を読んでいる。

玖炉「おかえり、キリカ」

キリカ「ただいま、マスター」

玖炉「お疲れ様……なのかな?」

キリカ「お疲れ様ね…また少し休むわぁ…」

大きなあくびをして再び寝室へと向かう。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

jh
2016.10.25 jh

面白いのですが、出だしで、赤子から、老人となってるのに、最初の召喚が高校二年生のようなので、違和感があります。
どうせなら、高校二年生から持たされるとか?、この子たちだけ(この場所の子だけ)なのか?気になりますね。
裏設定が、あったら、教えてください

2016.10.26 レム

感想ありがとうございます。設定的には全ての人々に腕輪をつけられるという設定になっております。まだその設定には本編では触れてないので、これから触れていきたいと思います。アドバイス感謝ですm(__)m

解除
マイ
2016.10.25 マイ

とても思しろいです。更新楽しみにしてます。
ハーリィ可愛いです(・∀・)

2016.10.25 レム

ありがとうございます。見てきたアニメの集合体のようなつもりで書いています、暇なときにでもご覧になっていただければ幸いです。

解除

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