「alive」

レム

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番外編

年末(5)

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そしてお寺付近に近づくと、鐘の音が微かに聞こえる。

玖炉「お、鳴らしてるね」

キリカ「へぇ…あれが除夜の鐘なのね」

玖炉「え、まだ鐘は見えてないよ?」

キリカ「私の目は千里眼よ、遠くのものでも、どの角度、どんな距離からでも見ることができるの」

玖炉「千里眼!それはすごいな…」

と、キリカを褒め称えると

ハーリィ「玖炉、玖炉、私もそういうのありますよ?」

ハーリィが玖炉の一歩前に出て来て自分に指を指してアピールするが

キリカ「あーあーいいからいいから、行きましょうか」

と、遮られる。



そんなこんなをしている内に、お寺に到着した。
そして3人は鐘の目の前に立つ。

玖炉「さぁ、もうすぐ12時だ、12時になる前にあの鐘を一回だけ鳴らすんだ」

ハーリィ「なら急がないといけませんね」

キリカ「ここはマスターにお手本を見せてもらいましょう?」

玖炉「そうだね、じゃあ僕からいこうかな」

そして玖炉は階段を上り撞木の下にある縄を持ち、後ろに引いて

『ゴォォォン……』

という鈍く、低く、心地いい音が鳴り響く。

玖炉「……とまぁこんな感じだよ」

ハーリィ「なるほど、では次は私がいきます」

ハーリィは玖炉と交代して縄を持ち、一息をつき縄を思い切り握る。

ハーリィ「……………っはぁぁぁ!!」

玖炉「え、ちょ」

ハーリィは撞木を後ろにあり得ないほど限界まで引く。
そしてそのまま鐘にむかって

『ゴォォォン!!!!』

金が撞木に当たって揺れ動く。
それはもう、大振りに。
お寺にいた人もその音に驚き、一斉に鐘の方に向く。

ハーリィ「……ふぅ、玖炉に勝ちました」

玖炉「いや違うよ!?大きな音ならしたほうが勝ちとかじゃないよ!?」

キリカ「次は私ね」

そう言い、ハーリィと同じように限界まで後ろに引き

キリカ「せぇぇぇいっ!!!」

『ゴォォォン!!!!』

同様、鐘が揺れ動くほどの威力を叩き込む。
あり得ないその音に周りの人も唖然としている。

キリカ「ふぅ…どうかしら?ハーリィよりは勝ったかしら?」

玖炉「違うって!間違ってるって!」

「お、あと10秒で年が明けるぞ!」

と、お寺に来ている人が言い始めたと思うと、そこで一斉にカウントダウンが始まる。

「10!9!8!7!6!5!4!3!2!1!!」




「あけましておめでとうございます。」




ハーリィ「あけましておめでとうございます、玖炉」

キリカ「あけましておめでとうございます、マスター」

二人は振り返り、玖炉をみると、微笑みながら言った。

玖炉「うん、あけましておめでとうね、次に来るときにはやさしく鐘をついてね。」
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