ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十二章

12-24

 国策としての「第三のチカラの獲得」に、陰口のような賛否が数々ある中、、

『目にも見えねぇ先の心配なんぞアト回しだァ!』

 ターナップが消えぬ不安を一蹴すると金狼グランも、

「今は時代の逆行に歯止めを掛けるが最優先です。将来に起こる未知の可能性については、後の課題と致しましょう」

 そして話は現在に至る。

 ターナップが書き出し続ける第三のチカラの手引きは、書き出しと並行する形で「まとめられた分」から研究班が別室にて分析、解析を行っていた。
 魔王軍政権中枢に近い「信頼のおける被験者」を用いて試行錯誤の日々。

 そのさ中、僅かながらも希望の光が。

 実験に参加する被験者たちの一部から第三のチカラ、祈りのチカラの発現における取っ掛かりのような現象が観測されたのである。

 しかし文章をまとめるが得意とは言い難いターナップが書きなぐった手引きを基に研究を進めるなど、難解な暗号を解読しながら進めるようなモノ。

 研究者たちの、正に努力の賜物であった。
 それは頭脳派である彼ら、彼女たちの使命感。

《暴力と無秩序が支配する世界への逆行の阻止》

 官民一丸となり、新たな時代を目指す地世。
 歩みは遅くとも第三のチカラの解明が順調に推移する中、真理の探究に没頭する研究員たちの下へ、

『こ、この様な場所へ、どうされたのですか?!』

 前触れも無し、ふらりと現れたのは最高幹部が一人の全身鎧ゴゼン。
 最高幹部が一人で、抜き打ちのような突然の訪問に、

(((((…………)))))

 研究員たちに緊張が走る。
 多額の研究費を使いながらも眼を見張る成果を上げられていない自覚があり、一部の幹部からその事について批判が上がっているのを知っていたから。

 ところが当の本人は、声を掛けて来たこわばりの見える主任研究員に飄々(ひょうひょう)と、
「ボキュだって幹部の一人だよぉ~ん♪」
「は、はぁ?」
「進捗は気になるしぃ「成果の片鱗が見えたよ」と聴いちゃったらぁ、そりゃ見にも来るよねぇ~♪」
「「「「「「………」」」」」」
 そして彼の意図が読めず、緊張と不安が増すばかりの職員たちを前にからかい交じりに、

「ボキュが来たら、ヘン?」
「イエイエそのような事は!」

 大いに慌てる主任研究員。
 捲し立てるような早口で、

「かっ、形になっていない物を御見せするは非常に心苦しくありぃいぃ!」

 生真面目な反応に全身鎧ゴゼンは「ウィヒ」っと笑い、気さくな笑顔で以て、

「キュミ達ぃマジメが過ぎるよねぇ~♪」
「「「「「「…………」」」」」」

 それでも戸惑いを隠せない研究員たちに、

「見つかった成果を形にするのぁ別班の仕事ぉなんだよねぇ~♪」
「「「「「「!?」」」」」」
「キュミ達の仕事はぁその足掛かりを見付けることなんだから形になってなくて当然でぇ~。無(む)から有(ゆう)を生み出そうとしてるんだから時間も掛かって当然なんだよねぇ~♪」

((((((!))))))

 厳しい言葉を覚悟していた者たちに向けられた、気遣いのエール。
 研究員たちは内心で胸を撫で下ろし、対応していた主任研究員も、

「そ、そう言っていただけると我々も大変心強いです」

 安堵の表情で、

「では、私も仕事に戻らせていただきます」
「ハイハァ~イ♪ 勝手に見学してるから、お仕事を頑張ってだよねぇ~♪」

 軽いノリで手を振ると、未知の物に知識で立ち向かう彼ら、彼女たちの背を、
「…………」
 しばし見つめていると背後から、

『なぁんだゴゼン? 珍しく仕事してるじゃねぇかぁ』

 聴き覚えのある意外そうな声が。
 その声に彼は振り向きざま、

「タープきゅんまでぇ、そぉんな事を言うぅ~?!」

 不服そうな声に、今は目の前の仕事に集中していた緊張の研究者たちも思わず小さく「クスクス」と笑い合った。

 研究の徒である彼ら、彼女たちの空気が和らいだ様子に全身鎧ゴゼンが満足げな笑みを浮かべると、ターナップが何の気なし、

「なぁゴゼン、ちょっとツラぁ貸してもらってイイかぁ?」
「えぇ~?! ボキュ基本的に、男の誘いはお断りなんだよねぇ~♪」

 おどけて見せ、研究員たちが再びクスクス笑うと、

「でもタープきゅんの頼みなら断れないよねぇ~♪」

 和やかな笑いの空気を残し、彼と共に部屋を後にした。
 そして導かれ辿り着いたのは、

「…………」

 魔王城内幹部専用フロアにある、会議室の一つ。
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