ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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 別室に通されたラディッシュ達――

 四人が並び座るテーブルの上には、芳しい香りと湯気を漂わせるフルコースが所狭しと置かれ、ラディッシュ達は思わずゴクリと喉を鳴らした。
 良く言えば「野趣あふれる」サバイバル料理ばかり食べて来たのであるから、当然の反応と言えるが。

 しかし、そんな事など知る由もないターナップ。
 再会の感動から落ち着きを取り戻し、

「さぁ皆さん、存分に食って下さいやぁ♪」

 口調は素のまま屈託無い笑顔で一同をもてなしたが、そんな中にあって、一人だけ感情を違える者が居た。

 ラミウムである。

 口にしなくとも「美味」と分かる料理群を前に、ワナワナと打ち震え、
「ターナップ……」
「へ? 何スか、ラミ姐さん?? 腹でも痛ぇんスかぁ???」
 不思議そうに首を傾げると、ラミウムは苛立ち交じりのうつむき加減で、
「アンタぁ……司祭になって何年経つんだい……」
「へぇ、三年になりやスがぁ……それが何かぁ?」
 きょとん顔に、ラミウムの「謎の堪忍袋の緒」がブッチギレ、
「こんのぉ!」
 大馬鹿ヤローと罵るより先、入り口の扉が「バァン!」と跳ね開き、

『このぉ「バカ孫」がァアァアアアァァァァッ!』

 初老の男性が数名の騎士と村人を伴い、部屋に雪崩込んで来た。
 あまりに突然の事に、ナイフとフォークを手に持ったままフリーズするラディッシュ、ドロプウォート、パストリス。
 当の「ターナップは」と言うと、予測の範疇であったのか、

「よぅ、ジジィ♪」

 呑気に手を挙げ応えたが、男性は「その呑気さ」に怒りを増し、

「『よう』ではないはァ!」
 ゴォン!

 ゲンコツでいきなりターナップの頭を殴り、
「ッテェな! 何しやァがるジジィ!」
 キレる孫に血気盛んに、

「やっかましいわい!」

 胸倉に掴みかかり、
「騎士様方が「なりすまし」とした罪人を勝手に釈放するとは何事かァーーーッ!」
 激昂したが、真に理があるのはターナップの方であり、嫌疑を掛けられたラミウム達の為にも、甘んじて拳を受け入れる訳にはいかず、

「寝ボケてんじゃねぇぞ、ジジィ!」

 胸倉は掴まれたまま対抗する様に立ち上がり、
「この方たちは、その辺のパチモンなんかじゃねぇ!」
「世間知らずのオマエに何が分かるかぁあぁ!」
「んだとぉコラァ!」
 イキるヤンキー顔して、実の祖父に、額同士が付きそうな距離で凄んだターナップは、

「これを見やがれってんだぁ、ジジィ!」

 ラミウムのローブの裾を容赦なくムンズと掴み上げ、
「中世(ちゅうぜ)の人間が「地世のチカラの侵蝕」を受けるかよォ!」
「こっ、これは!」
 素直に慄く祖父であったが、急に赤面して顔を逸らし、
「わっ、分かったから、もぅ手を離せ……ターナップ……」
 しかし中途半端な納得に、一方的に叱責された腹の虫は治まらず、

「顔を逸らして何が「分かった」てぇんだ!」

 更に毒づいたが、視界に入る全員が赤面顔で顔を背ける姿に気が付き、
「ん?」
 首を傾げると、

『いつまで掴んでるのさぁねぇ、こんのぉエロガキィ』

 ラミウムの「怒りで打ち震える声」に、
「へ?」
 振り向くと、そこには太ももの辺りまで露わになったローブのめくれ上がりを、両手で必死に死守する、赤面顔のラミウムの姿が。

「とっとぉお放しぃ!」
 ゴンッ!

 天罰の右撃に、
「痛ッてぇ! 姐さんまで何するんスか!」
「何するかじゃないさぁね! 見えたらどうスンだぁい!」
 目くじら立てて食って掛かると、ターナップは少年の様にニッと歯を見せ笑い、
「チッとくらいイイじゃないっスかぁ~信徒に対する「お恵み」ってヤツですぁ♪」

「おバカをお言いでないさぁね!」

 即でツッコミを入れると、パストリスが何かを思い出し、
「確か天世の方ってぇ……「下に何も穿かない」んじゃ……」
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
 一瞬にして「良からぬ妄想」に取り憑かれる男たち。

 すると噂話は真実なのか、
「よっ、余計な事をお言いでないよパストぉ!」
 羞恥の赤面顔のラミウムは過剰に、

「あの同人みたいにヒン剥くよぉ!」
「ひぃう!」

 頭を抱えて身を縮める少女に、噛みつきそうな勢いで怒鳴った。
 その一方で、隠されてしまった「大理石の様に白く輝く素足」を、食い入るように見つめるラディッシュ、ターナップを含めた男たち。
 オスらしい反応に、呆れ交じりに一瞬黙するラミウムであったが、

「いかがわしい妄想してんじゃないさぁね!」

 赤面顔で一喝。
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
 男たちは慌てて顔を背けたが、背けた先で、

((((((((((よく見ておけばよかったぁあぁぁ!))))))))))

 心の奥底から、滲み出る様な、真なる悔しさを顔じゅうに浮かべた。
 そんな下心丸分かりの男性陣の姿に、
(((これだから男はぁ)))
 呆れるラミウムとドロプウォート、そしてパストリスの女性陣。
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