75 / 895
1-75
しおりを挟む
城内で煙たがられている自覚はあったが、よもやこの様な非常時にまで「知らない」と言われるとは流石に思っておらず、そこまで「嫌われていた事実」にショックを隠し切れずにいた。
すると、
『キッシッシッ!』
ラミウムが愉快そうに手を叩いて笑い出し、
「やられたねぇ、ドロプぅ♪」
「ど、どう言う意味ですのぉ!」
腹立たし気に振り返ると、
「ソイツ等ぁ恐らく「勇者百人召喚の騒ぎ」ん時ぃ、真っ先に城から逃げ出した連中さぁね。おおかたオマエさんの姿を見て「敵前逃亡がバレる」と思って、咄嗟にオマエさんを陥れようと企んだんろうさぁね♪」
『んなっ、ななななぁんああな何ですってぇぇえぇえぇぇ!』
ドロプウォートは怒り心頭、
「エルブ国の騎士ともあろう者がぁ我が身可愛さに臣民を見捨てぇ真っ先に逃げたァですってぇえぇ?!」
憶測話ではあるものの、四大貴族令嬢として労を惜しまず「修練と研鑽」を積んでいた彼女を、平和ボケによる「自身の怠惰」を棚に上げ、陰で悪し様に笑っていた連中の姿を思い起こせば、ラミウムの勘繰りも腑には落ち、堪え難き怒りから歯ぎしり、
『何たる怠慢ぁ! なんたる愚行ぉ!! 言語ぉ道断でぇすわぁあぁ!!!』
怒りに打ち震えたが、若司祭はその姿をも「ククッ」と小さく笑い、
「ここまでの設定を作り上げるとは、いやはや貴方がたは「良い役者」になれますよ」
「!」
「今からでも詐欺師から転職されては如何です? まぁもっとも「刑期を終えた後に」ですが」
皮肉った笑みに、ムッとするラミウム。
いつも他人にしている行為だが、自分がされると甚だ癇に障り、
「ケぇッ! 言ってくれるよ、世間知らずのボンボン司祭がぁ! 権力欲に取り憑かれた「司教の犬」の分際でぇ!」
中世の「全ての司祭」を一瞬のうち敵に回す「NGワード中のNGワード」に、牢番の村人は顔面蒼白、恐る恐る若司祭の顔色を窺い、
(ヒィイッ!)
声にならない短い悲鳴を上げた。
これには流石の若司祭も、笑顔のこめかみが怒りでピクピク爆発寸前。
しかし村人たちの手前、立場を考えてか、激怒は必死に堪えた様子で、引きつる笑顔から出た言葉は、
「貴方にぃは、裁判は不要と言えますねぇ、これほど「品を欠いた天世様」など、あり得はしないでしょうしぃ、即日、火刑送りもお望みの様だぁ」
結局、単なる買い言葉であった。
するとケンカを買われたラミウムも、未だ本調子からほど遠いとは言え、三白眼をギラつかせて起き上がり、
『何か言ったかい小僧ぉがァアァ!』
「!」
更なる事態悪化に慌てるラディッシュ。
「まっ、マズいよ、ラミィ! これ以上、立場が悪くなったら本当に、」
何とか間を取り持とうとしたが、
『お黙りィ!』
「ひぃう!」
素気無く鋭く一喝されて身を縮めると、
「この『ラミウム様』が、小僧に舐められっ放しで黙っていられる訳がないだろさぁねぇ!」
大見得切った途端、
「ラミウム?」
真顔に急変する若司祭。
「あぁ?! アタシの名前が何だってんだァい!」
薄暗がりの中で凄む彼女を、上から下までしげしげ見つめ、
「ッ!?」
黒く変色した両足に驚きを以て目を留め、
『ソイツはぁ地世のチカラの侵蝕じゃねぇかぁ!』
思わす飛び出る、ラミウムと似た荒い物言い。
どうやらコチラが素の様で、驚く四人を尻目に鉄格子に取り付き興奮気味に、
「するってぇとぉアンタは「モノホンのラミウム様」なのかぁい!」
「だからそうだつってんだろぉが、このスットコドッコイがぁ!」
苛立つラミウムは半ギレしたが、若司祭は気にする素振りも無く前のめりで急く様に、
「ぉ俺っス、姐さぁん! オレの事を覚えてやせんかぁ!!!」
「はあぁ?」
怪訝な不機嫌顔に、
「十年くれぇ前ぇ! オレがガキん頃ぉ! 地世信奉者の連中に騙されてボコられそうになったトコを!」
「ったく何を言って、アンタなんざぁ……」
素っ気無くあしらおうとしたラミウムであったが、
(いや待てよ……そう言やぁ、この顔どっかで……)
記憶を遡り、やがて若司祭の顔立ちの中に、かつて縁を持った男児の面影を見出し、
「アンタまさか……ター坊……ターナップ……なのかぁぃ?」
すると若司祭は笑顔満面、少年の様な笑顔で、
『そぅッス!』
喜び笑って見せたが「ラミウムは」と言うと、
「分かったんならぁ、とっととココから出しなァ!」
懐かしむでもなく容赦なく、ヤンキー張りのイキ顔で一喝。
憐れ、若司祭は再会の感動に浸る間もなく、
「すっ、すんませんしたぁ、ラミ姐さぁん!」
舎弟の様に平身低頭、頭を下げ、
「牢番! ボサっとしてねぇで、とっとと牢屋を開けねぇかぁ!」
「でぇ、ででででですがぁ若司祭様ぁ!」
渋る村人は、
「かっ、勝手したらぁ後で大司祭(おおしさい)様にぃ!」
激しく狼狽、上司を引き合いに出して拒んで見せると、
『グダグダ言ってんじゃねぇ!』
「ヒィ!」
指示に従わない事を、暗に怒鳴ったのではなく、
「ジジィはとうに隠居して、今仕切ってんのは「このオレ」だァ!」
現在の責任者としてのプライドを著しく傷つけられた事に激怒すると、今にも殴られそうな剣幕に、
「はひぃ!」
村人は慌てて解錠して扉を開けた。
「すいやせんした、ラミ姐さん方ぁ! ウチのモンが、大変失礼しやした!」
深々頭を下げる、若司祭ターナップ。
牢の外へ出る様に促すと、ベッドに座るラミウムは、
「テメェの独断で、上司(大司祭)の上前を撥ねるとはねぇ……」
不敵にニヤリと笑い、
「イイ漢になったじゃないかい、ター坊ぅ」
気骨を喜ぶと、
「俺が慕う上司は「ラミ姐さんダケ」っスから!」
返した笑顔は、彼女の記憶の中の「無邪気な少年の笑顔」とオーバーラップした。
すると、
『キッシッシッ!』
ラミウムが愉快そうに手を叩いて笑い出し、
「やられたねぇ、ドロプぅ♪」
「ど、どう言う意味ですのぉ!」
腹立たし気に振り返ると、
「ソイツ等ぁ恐らく「勇者百人召喚の騒ぎ」ん時ぃ、真っ先に城から逃げ出した連中さぁね。おおかたオマエさんの姿を見て「敵前逃亡がバレる」と思って、咄嗟にオマエさんを陥れようと企んだんろうさぁね♪」
『んなっ、ななななぁんああな何ですってぇぇえぇえぇぇ!』
ドロプウォートは怒り心頭、
「エルブ国の騎士ともあろう者がぁ我が身可愛さに臣民を見捨てぇ真っ先に逃げたァですってぇえぇ?!」
憶測話ではあるものの、四大貴族令嬢として労を惜しまず「修練と研鑽」を積んでいた彼女を、平和ボケによる「自身の怠惰」を棚に上げ、陰で悪し様に笑っていた連中の姿を思い起こせば、ラミウムの勘繰りも腑には落ち、堪え難き怒りから歯ぎしり、
『何たる怠慢ぁ! なんたる愚行ぉ!! 言語ぉ道断でぇすわぁあぁ!!!』
怒りに打ち震えたが、若司祭はその姿をも「ククッ」と小さく笑い、
「ここまでの設定を作り上げるとは、いやはや貴方がたは「良い役者」になれますよ」
「!」
「今からでも詐欺師から転職されては如何です? まぁもっとも「刑期を終えた後に」ですが」
皮肉った笑みに、ムッとするラミウム。
いつも他人にしている行為だが、自分がされると甚だ癇に障り、
「ケぇッ! 言ってくれるよ、世間知らずのボンボン司祭がぁ! 権力欲に取り憑かれた「司教の犬」の分際でぇ!」
中世の「全ての司祭」を一瞬のうち敵に回す「NGワード中のNGワード」に、牢番の村人は顔面蒼白、恐る恐る若司祭の顔色を窺い、
(ヒィイッ!)
声にならない短い悲鳴を上げた。
これには流石の若司祭も、笑顔のこめかみが怒りでピクピク爆発寸前。
しかし村人たちの手前、立場を考えてか、激怒は必死に堪えた様子で、引きつる笑顔から出た言葉は、
「貴方にぃは、裁判は不要と言えますねぇ、これほど「品を欠いた天世様」など、あり得はしないでしょうしぃ、即日、火刑送りもお望みの様だぁ」
結局、単なる買い言葉であった。
するとケンカを買われたラミウムも、未だ本調子からほど遠いとは言え、三白眼をギラつかせて起き上がり、
『何か言ったかい小僧ぉがァアァ!』
「!」
更なる事態悪化に慌てるラディッシュ。
「まっ、マズいよ、ラミィ! これ以上、立場が悪くなったら本当に、」
何とか間を取り持とうとしたが、
『お黙りィ!』
「ひぃう!」
素気無く鋭く一喝されて身を縮めると、
「この『ラミウム様』が、小僧に舐められっ放しで黙っていられる訳がないだろさぁねぇ!」
大見得切った途端、
「ラミウム?」
真顔に急変する若司祭。
「あぁ?! アタシの名前が何だってんだァい!」
薄暗がりの中で凄む彼女を、上から下までしげしげ見つめ、
「ッ!?」
黒く変色した両足に驚きを以て目を留め、
『ソイツはぁ地世のチカラの侵蝕じゃねぇかぁ!』
思わす飛び出る、ラミウムと似た荒い物言い。
どうやらコチラが素の様で、驚く四人を尻目に鉄格子に取り付き興奮気味に、
「するってぇとぉアンタは「モノホンのラミウム様」なのかぁい!」
「だからそうだつってんだろぉが、このスットコドッコイがぁ!」
苛立つラミウムは半ギレしたが、若司祭は気にする素振りも無く前のめりで急く様に、
「ぉ俺っス、姐さぁん! オレの事を覚えてやせんかぁ!!!」
「はあぁ?」
怪訝な不機嫌顔に、
「十年くれぇ前ぇ! オレがガキん頃ぉ! 地世信奉者の連中に騙されてボコられそうになったトコを!」
「ったく何を言って、アンタなんざぁ……」
素っ気無くあしらおうとしたラミウムであったが、
(いや待てよ……そう言やぁ、この顔どっかで……)
記憶を遡り、やがて若司祭の顔立ちの中に、かつて縁を持った男児の面影を見出し、
「アンタまさか……ター坊……ターナップ……なのかぁぃ?」
すると若司祭は笑顔満面、少年の様な笑顔で、
『そぅッス!』
喜び笑って見せたが「ラミウムは」と言うと、
「分かったんならぁ、とっととココから出しなァ!」
懐かしむでもなく容赦なく、ヤンキー張りのイキ顔で一喝。
憐れ、若司祭は再会の感動に浸る間もなく、
「すっ、すんませんしたぁ、ラミ姐さぁん!」
舎弟の様に平身低頭、頭を下げ、
「牢番! ボサっとしてねぇで、とっとと牢屋を開けねぇかぁ!」
「でぇ、ででででですがぁ若司祭様ぁ!」
渋る村人は、
「かっ、勝手したらぁ後で大司祭(おおしさい)様にぃ!」
激しく狼狽、上司を引き合いに出して拒んで見せると、
『グダグダ言ってんじゃねぇ!』
「ヒィ!」
指示に従わない事を、暗に怒鳴ったのではなく、
「ジジィはとうに隠居して、今仕切ってんのは「このオレ」だァ!」
現在の責任者としてのプライドを著しく傷つけられた事に激怒すると、今にも殴られそうな剣幕に、
「はひぃ!」
村人は慌てて解錠して扉を開けた。
「すいやせんした、ラミ姐さん方ぁ! ウチのモンが、大変失礼しやした!」
深々頭を下げる、若司祭ターナップ。
牢の外へ出る様に促すと、ベッドに座るラミウムは、
「テメェの独断で、上司(大司祭)の上前を撥ねるとはねぇ……」
不敵にニヤリと笑い、
「イイ漢になったじゃないかい、ター坊ぅ」
気骨を喜ぶと、
「俺が慕う上司は「ラミ姐さんダケ」っスから!」
返した笑顔は、彼女の記憶の中の「無邪気な少年の笑顔」とオーバーラップした。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します
みおな
ファンタジー
王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。
それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。
死んだはずの私が目覚めたのは・・・
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる