149 / 640
第二章
2-32
しおりを挟む
するとそれまで黙って跪いていたハクサンが、満面の笑顔を上げ、
「久しぶりだねぇ、フルール。相変わらずキミは美しいねぇ♪」
『ッ!』
笑顔のフルールのこめかみに浮かぶ微かな怒り。
そんな彼女の思いを代弁するが如く、傍らのリブロンが火でも出そうな勢いで、
『貴方様が言えた義理ですかァ! 誰のせいでぇ陛下がこの様な御体にィイィ!』
激昂すると、フルールが笑顔でそれを制し、
「!」
ハッと我に返るリブロン。
感情任せに怒鳴り散らしてしまった自身に気付き、
「しっ、失礼致しました陛下ぁ」
慌てて頭を下げると、
「良いのじゃリブロンよ。怒れぬ妾に代わり、すまぬのぉ」
変わらぬ妖艶な笑みで気遣うさ中、跪いたままのドロプウォートがニプルに小声で責める様に、
(ニプルぅ! いったいどう言う話になっていますの! 話が全く見えませんですわ!)
ツッコまれたニプルも小声で、
((内事に疎い)ウチに聞くなっていったろぅ!)
そんな二人にパストリスが小声で、
(女王様の前でぇモメちゃダメでぇすぅうぅ!)
(でぇもですわぁ~)
(だってさぁ~)
押し問答。
女帝とまで呼ばれる女王を前に小声でもめる女子三人に、ターナップが呆れて頭を抱え、ラディッシュがオロオロしていると、モメている理由を察したフルールは、仲良さげに見える「男女の内輪モメ」を愉快そうに「ふっふっふっ」と笑い、
「簡単な話よぉのぉ」
(((((?)))))
変わらぬ気怠そうな妖艶な笑みで以て、
「其奴(ハクサン)が「無垢なる生娘」であった妾から、言葉巧みに「オナゴの初めて」を奪った挙句に逃げたのじゃよぉ」
(((((女王にまでぇ?!)))))
ギョッとするラディッシュ達。
まさに見境なし。
しかも先に彼女が述べた「子供が出来ない体である」との告白から推察するに、原因はハクサンにあると直感し、
「「「「「…………」」」」」
五人は、強烈な批判のジト目を向けた。
すると流石のハクサンも「気心の知れた仲間達(※本人的に)」からの強烈な批判の視線にはバツが悪かったのか、
「い、いやぁ、だってぇ「不老のぼくぅと永遠に生きたい」なんて言い出してぇねぇ」
余裕の笑顔の中に気マズさを滲ませながら、
「高位の存在と「不老の契約」まで交わして、代償として「他の男との交わり」を絶っちゃうからさぁ~」
(((((え!? 子が出来ないって、つまり……)))))
「その気持ちが重くて、怖くなって逃げちゃったぁ♪ だってぇ世界中の女の子たちが、ぼくぅを待ってるからねぇ♪」
悪びれる様子も無く「テヘッ」と舌を出す彼に、リブロンは怒りを必死に堪えた表情で、ギリギリと歯ぎしりしながら、
「こっ、こんな「安く」、「薄っい男」にさえ引っ掛からなければァ、今ごろ陛下は御子やァ、御孫様ァ、ひ孫様ァとォ……!」
憎しみを込めるが如くに、拳を握り固めるていると、
「あ、あのぉ、ぼくぁ一応「序列一位の百人の天世人」なんだけどぉ……」
苦笑するハクサン。針のむしろの謁見の間で、話題の矛先を変えようと、
「そ、そう言えばフルールぅ! キミはまだ本を書いているのかい?」
『『!』』
ギクリとした反応を見せるフルールとリブロン。
しかし話の矛先を逸らそうと懸命なハクサンは、話を止める気配も無く、
(((((本を書いてる?)))))
意外そうな顔するラディッシュ達を前に、
「ペンネームを「マツムシソウ」とか言ったけぇ?」
『『マツムシソウ先生ぇえぇ!?』』
驚愕の声を上げたのはドロプウォートとニプルウォート。
「久しぶりだねぇ、フルール。相変わらずキミは美しいねぇ♪」
『ッ!』
笑顔のフルールのこめかみに浮かぶ微かな怒り。
そんな彼女の思いを代弁するが如く、傍らのリブロンが火でも出そうな勢いで、
『貴方様が言えた義理ですかァ! 誰のせいでぇ陛下がこの様な御体にィイィ!』
激昂すると、フルールが笑顔でそれを制し、
「!」
ハッと我に返るリブロン。
感情任せに怒鳴り散らしてしまった自身に気付き、
「しっ、失礼致しました陛下ぁ」
慌てて頭を下げると、
「良いのじゃリブロンよ。怒れぬ妾に代わり、すまぬのぉ」
変わらぬ妖艶な笑みで気遣うさ中、跪いたままのドロプウォートがニプルに小声で責める様に、
(ニプルぅ! いったいどう言う話になっていますの! 話が全く見えませんですわ!)
ツッコまれたニプルも小声で、
((内事に疎い)ウチに聞くなっていったろぅ!)
そんな二人にパストリスが小声で、
(女王様の前でぇモメちゃダメでぇすぅうぅ!)
(でぇもですわぁ~)
(だってさぁ~)
押し問答。
女帝とまで呼ばれる女王を前に小声でもめる女子三人に、ターナップが呆れて頭を抱え、ラディッシュがオロオロしていると、モメている理由を察したフルールは、仲良さげに見える「男女の内輪モメ」を愉快そうに「ふっふっふっ」と笑い、
「簡単な話よぉのぉ」
(((((?)))))
変わらぬ気怠そうな妖艶な笑みで以て、
「其奴(ハクサン)が「無垢なる生娘」であった妾から、言葉巧みに「オナゴの初めて」を奪った挙句に逃げたのじゃよぉ」
(((((女王にまでぇ?!)))))
ギョッとするラディッシュ達。
まさに見境なし。
しかも先に彼女が述べた「子供が出来ない体である」との告白から推察するに、原因はハクサンにあると直感し、
「「「「「…………」」」」」
五人は、強烈な批判のジト目を向けた。
すると流石のハクサンも「気心の知れた仲間達(※本人的に)」からの強烈な批判の視線にはバツが悪かったのか、
「い、いやぁ、だってぇ「不老のぼくぅと永遠に生きたい」なんて言い出してぇねぇ」
余裕の笑顔の中に気マズさを滲ませながら、
「高位の存在と「不老の契約」まで交わして、代償として「他の男との交わり」を絶っちゃうからさぁ~」
(((((え!? 子が出来ないって、つまり……)))))
「その気持ちが重くて、怖くなって逃げちゃったぁ♪ だってぇ世界中の女の子たちが、ぼくぅを待ってるからねぇ♪」
悪びれる様子も無く「テヘッ」と舌を出す彼に、リブロンは怒りを必死に堪えた表情で、ギリギリと歯ぎしりしながら、
「こっ、こんな「安く」、「薄っい男」にさえ引っ掛からなければァ、今ごろ陛下は御子やァ、御孫様ァ、ひ孫様ァとォ……!」
憎しみを込めるが如くに、拳を握り固めるていると、
「あ、あのぉ、ぼくぁ一応「序列一位の百人の天世人」なんだけどぉ……」
苦笑するハクサン。針のむしろの謁見の間で、話題の矛先を変えようと、
「そ、そう言えばフルールぅ! キミはまだ本を書いているのかい?」
『『!』』
ギクリとした反応を見せるフルールとリブロン。
しかし話の矛先を逸らそうと懸命なハクサンは、話を止める気配も無く、
(((((本を書いてる?)))))
意外そうな顔するラディッシュ達を前に、
「ペンネームを「マツムシソウ」とか言ったけぇ?」
『『マツムシソウ先生ぇえぇ!?』』
驚愕の声を上げたのはドロプウォートとニプルウォート。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
42
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる