ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第二章

2-40

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 話はラディッシュ達の下へ戻り――

 稽古に使用している城内の庭で、神々しい白き輝きに包まれ焦るラディッシュと、驚愕の表情で唖然とするドロプウォート達。
 そんな彼ら、彼女たちの混乱の中にあって、

『キミはぁ素晴らしいぃいいぃぃよぉおぉ!!!』

 恍惚とした歓喜の声を上げるハクサン。
((全世界に対する)お披露目はこれ位で十分だろぅ♪)
 不敵な笑みを浮かべ、
(地世に目を付けられて連れて行かれたら、元も子もないからねぇ。まぁ、そぅさせない為に、強力な天法で守られたこの国(フルール)を「最初の修行の地」に選んだんだけどねぇ♪)
 人知れぬほど微かな闇を感じる笑いをした後、強い輝きを放ちながら狼狽するラディッシュに、一見いつもと変わらぬニコやかな笑顔で、

「ラディ! 意識を集中して! チカラが「自分の中に収まる」のを想像してごらぁん!」

 発動した天法の「収め方」を伝えたが、慌てふためき真っただ中の彼はソレどころではない。
 焦るあまりに頭の処理が追い付かず、

「そっ、そんな「ふわふわっとした言い方」をされても分からないよぉおぉ!」

 抽象的な指南に、半泣きで逆ギレ。
(ヤレヤレ困った「勇者くん」だなぁ)
 内心で呆れ笑うハクサンは短く一考し、

「それならぁ風船が「徐々にしぼむさま」を想像してごらぁんよぉ♪」
「ふ、風ぅ船?!」

 ラディッシュは焦る気持ちを少しでも落ち着かせようと深呼吸しながら、
(しぼんでいく風船……しぼんでいく風船……)
 すると目も眩む、眩い白き光は徐々にその輝きを弱め、
「「「「…………」」」」
 語る言葉を見い出せないほど驚いていたドロプウォート達の前で、ラディッシュの中に収まっていった。

 そこへ駆けつける、ジャージ姿ではない私服姿のフルールとパストリス。
 いつの間に着替えたのか。
 それは一先ず置くとして、フルールは目の当たりにした強大な「天世のチカラ」に驚きを隠せず、

(ヌシ(ハクサン)は、あの時クチにした「あの夢物語」をホンに実現する気なのかぇ?!)

 彼女にとって「最初で最後の夜伽」の折、枕を共にしたハクサンが語って聞かせた「彼の夢」を思い出す。

{ぼくぁねぇ、中世の人々を「天世の支配」から解放してあげたいんだよぉ♪}

 意識は即座に現実に戻り、
『リブロンや! 今起こった事象に対する「箝口令」を!』
「!」
 その声に、リブロンもハッと我に返るや否や、
「直ちに!」
 凛然とした表情を取り戻して意識を集中、

≪天世より授かりし恩恵を以て、我は命ずる!≫

 その身を白銀の輝きに包むと同時、

≪臣民に告ぐ!≫

 声は城内、城下、フルール国民すべての意識に直接響き、

≪先刻、城内にて生じた「天法の輝き」について一切の他言を禁ずる! これはフルール陛下の御言葉なりィ!≫

 それは天法を使って下された「勅命」であり、背信は重刑を意味していた。
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