ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

文字の大きさ
249 / 895
第四章

4-23

しおりを挟む
 一夜明け――

 日の出と共に、早々に目覚めたラディッシュ。
 自身の身支度も早々に、竈に火を起こし朝食の準備をしていると、

「ッ!」

 近づく人の気配が。
 森の奥の、朝靄の中ら姿を現し、

「早いな、ラディ」

 それは、ニプル。
 笑顔に笑顔を返し、

「ニプルさんも、お疲れ様」

 鍋で温めていたスープを木製カップに移して手渡すと、
「おぅありがてぇ」
 受け取り、熱さに用心しながら一飲み。

「くぅかぁあぁぁあぁ温っまるぅ~沁みるさぁ~♪」

 途端に見せた満足気な笑みに、
(なぁんか、おじさんみたい♪)
 怒られそうなので言いはしなかったが、ラディッシュは小さく苦笑しつつ、
「それで、後ろの方はどぅだった?」
 問い掛けに、

「ごちそうさぁん」

 彼女は飲み干したカップを手渡すと、
「三十人ほどの騎士兵士が野営をしてたさ。怪しい気配の正体は、恐らく奴らの斥候……偵察部隊といった所だったんだろぅさ。引き上げた経緯までは分からないけどねぇ」
「どう? 追い付かれそうな感じ?」
 不安げな表情に、ニプルは気休めの楽観を口にする事なく、率直に、包み隠さず、
「恐らくさ。ウチには、チビども居るしさ」
「…………」
(接触は避けられないか……)
 憂いた表情で、ドロプウォートの添い寝で小さな寝息を立てる幼子二人をチラリと見て、

「やっぱり目的は二人、なのかなぁ……?」

 ニプルも二人を見つめて表情を曇らせ、
「あぁ、時宜的に言って間違いないだろうさ」
「あんなに幼い二人に……いったい何があるんだろ?」
「…………」
 ニプルは一瞬黙った後、

「まぁ、二人の家があるって言う、王都アルブレスに着けば何か分かるんじゃないさ?」

 それまでは「余計な詮索は無し」で、二人を守る事に「専念しよう」との意の表れに、察したラディッシュも頷くと、

「そうだね」

 すると幼子二人が、話し声から人の気配を感じてか、
「「う……うぅ~ん……」」
 目をクシクシ擦りながら起き上がり、

「「パパ……ニプルおねぇぃちん、おはぁいおぉ~なぁぉ~」」

 眠そうな様子に、
「おはよう、キーメ、スプライツ」
 ラディッシュが笑みを見せ、
「おぅ、チビどもぉ♪」
 ニプルがニカッと笑うと、寝床に横たえたままのドロプウォートから、

「ニプルさん……貴方の言葉遣いは……」

 いつもの覇気が無く、今にも消えそうな苦言に、

「「「「???」」」」

 四人が顔を覗き込むと、彼女は未だすぅすぅ寝息を立てていて、
「なんだぁコイツ、ウチに寝言で文句言ってらぁ?」
 ニプルが小さく呆れ笑うと、ラディッシュも幼い二人と声を潜めて笑い合った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...