ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第四章

4-45

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 サジタリアは頭上にポッカリ開いた大穴から覗く青空を、唖然と見上げ、

「終わった……のか?」

 共に苦戦を強いられていたグラン・ディフロイスも、あまりにあっけない幕切れに、
「ホント……こんなにも、あっさり……」
 静かになった戦場で、共に怪我の痛みも忘れ、気の抜けた表情で青空を見上げていると唐突に、

『あぁあぁっ!!!』

 ラディッシュの驚愕絶叫が地下空間にこだまし、
「「ッ!」」
 古参の二人が緊迫感を以て「何事か」と振り返ると、苦笑するドロプウォートが見つめる前で彼は、

「貰った大事な剣がぁあぁぁ!」

 柄の部分だけになってしまった天流護聖剣を、悲し気に握りしめていた。
 仮であったとは言え、誓約をした彼のチカラに刀身が耐え切れなかったのである。
「なんの騒ぎかと思えばぁ」
「ホント、人騒がせぇ」
 小さく安堵の息を吐く二人。

 消失してしまったのが名刀であったとは言え「世界の安寧」と秤に掛ければ、どちらが大事であるかなど語るまでも無い話であり、「刀一振り」の犠牲で平和を取り戻せたなら、痛手は極小であったと言える。
 それでも市販の剣や、拾った剣ばかり使って来たラディッシュは、

『せっかく「良い剣」を貰ったのにぃ~』

 半ベソかいて嘆き、世界を救った一撃を放った者とは思えぬ、いつもと変わらぬ軟弱な言動に、
「まったくですわぁラディはぁ……」
 ドロプウォートがホッとした呆れ笑いを浮かべると、鬼瓦に小さな苦笑を浮かべる疲労困憊のサジタリアが歩み寄り、
「未熟者めが。必要以上にチカラを込め過ぎるからだ」
 そして満身創痍のグラン・ディフロイスも、
「ホントぉ、生き埋めにならなくて良かったよねぇ♪」
 愛らしくも皮肉った笑みを浮かべて歩み寄り、
「……返す言葉もありましぇん」
 申し訳なさげに頭を下げるラディッシュ。

 非常事態は、終息目前の空気を醸し出していた。
 王都アルブレスの城内、城下、で未だ暴れているであろう「残存勢力の掃討」と言う課題を残してはいたが。
 しかし、

『いやぁ~ぼくぉ流石に危ない危なかったなぁ~♪』
((((ッ!!!))))

 聞き覚えのある不穏な声が。
 安穏としつつあった空気を一瞬にして打ち崩され、驚愕を以て振り向く四人。

 その視線の先で、
「あのまま直で受けていたら次元の狭間に飲み込まれてぇ、塵になってかも知れないねぇ~♪」
 生死にかかわる話をおどけ笑いながら、
「あぁ~あ、一張羅が埃まみれだよぉ~」
 服に付いた埃を払うのは、

((((ハクサァンッ!))))

 四人の驚嘆に、彼はたった今、気付いた素振りを見せ、
「ナニナニ?! 死んじゃったと思ったぁ?」
 皮肉を交えてケラケラ笑い、
「残~念、ぼくぁ死ぬ訳にはいかないんだよねぇ~目的達成の為にもさ♪ まぁどの道、倒せても、存在まで消せる訳じゃないしねぇ♪」
 嘲笑いに、

((え?! どう言う意味?!))

 ラディッシュとドロプウォートは疑問を抱き、
「「…………」」
 サジタリアとグラン・ディフロイスが、意味を知っていると思われる不快感を滲ませる中、
「なのぉで、ぼくぉここからは本気で行かせてもらうよぉん♪」
 彼は「からかい」と「陰り」の笑みと共に、

≪我がチカラァ、天世のチカラを以て我は行使す!≫

 その身を「天世の白き輝き」で包むと、髪と目の色が、偽装の茶色から天世人の証である薄紫色に変わって行き、更に、

≪顕現ッ!≫

 唱えた途端、

「「「「ッ!」」」」

 驚く四人の眼前で、彼は自身の姿を「白き輝きを放つ獣」へと、みるみるみるみる変えて行った。
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