322 / 895
第五章
5-36
しおりを挟む
スパイダマグが勧めた店で食事をするラディッシュ達――
食す前からなんとなく気付いていた話だが、
(((((((アジが、うっすい……)))))))
店を自信満々紹介したスパイダマグ自身も、ラディッシュの手料理を食した事で「味覚が開発」され、一枚布で隠した口元に戸惑いを隠せずに居た。
しかし出された料理は「店側からの感謝」が多分に含まれた、好意の品々。
故に無料。
幼いながらに空気を読んだチィックウィードも含め、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
誰一人として不平を口にせず、義理堅くも汁まで綺麗に平らげ、思う所は腹の底にグッと仕舞い込み、
「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」
幼子も、
「あ、ありがとぉ、なぉ♪」
精一杯の謝意を店主に伝え、満足げな笑みを浮かべた店主が使用済みの食器を片付ける中、苦行から解放されたひと時をくつろいでいるとラディッシュがおもむろ、
「あ、あのぉスパイダマグさん」
「何でありましょう、勇者殿?」
「その……さっきの人が千本刀さんに言ってた「咎人」って、どう言う意味なんですか?」
(千本刀さんって、罪人?)
ドロプウォート達も気にはなっていたのか耳を傾けると、スパイダマグは「密かな口直し」で飲んでいた湯呑を静かに置き、
「天世における重罪人の処遇は、大きく分けて二つあるのです。一つは、天世のチカラを剥奪した上で「地世送り」となる事実上の死刑宣告で、もう一つは、同様に天世のチカラを剥奪されるものの「魂の転移」を施す、終身刑とでも言うべきモノです」
天世のチカラを奪った上での「地世送り」は、言葉のニュアンスから理解出来たが、
「「「「「「魂の転移?」」」」」」
聞き慣れないフレーズに大人たちが首を傾げた一方、
「テンニなぉ♪ テンニなぉ♪」
響きが琴線に触れたチィックウィードが楽し気に連呼。
すると、
「お店では静かにしませんと「イケマセン」ですわぁ」
隣に座っていたドロプウォートが優しく諫め、
「うぃ。しずかにする、なぉ♪」
「チィちゃんは、良い子ですわね」
頭を撫で撫で。
話の腰を途中で折られたスパイダマグはコホンと咳払いを一つして気持ちを立て直してから、
「つ、続けます。魂の転移とは肉体を奪われ、魂は別に用意された「動物の体」などに移される刑であり、その体で「永続的な単純労働」に従事する事となります。そしてその受刑者たちをプリズニアと呼ぶのですが……中には先のサーシアム殿のように、既に刑に服する者たちを、悪意を以て「咎人(とがびと)」と蔑称する者も少なからず……」
「じゃあ千本刀さんも、何か大罪を?」
ラディッシュの疑問に、
「彼は違うのです」
スパイダマグは静かに首を横に振ると、中々答えに辿り着かない会話にニプルウォートが苛立ちを覚え、
「じゃあアイツは何だってのさ? 人間の姿じゃないのは、誰の目から見たって明らかだろぅさ?」
皮肉を交えたが、彼は淡々と、
「確かに彼の魂は「人ならざるモノ」の中に入っていますが……しかしそれは罪を犯して強制された物ではなく、彼が自ら望んでの事なのです」
「「「「「「自ら望んでぇ?!」」」」」」
にわかに信じ難いと言った驚きの声を上げるラディッシュ達の一方、空腹は満たされ、こっくりこっくり舟を漕ぎ始めるチィックウィード。
食す前からなんとなく気付いていた話だが、
(((((((アジが、うっすい……)))))))
店を自信満々紹介したスパイダマグ自身も、ラディッシュの手料理を食した事で「味覚が開発」され、一枚布で隠した口元に戸惑いを隠せずに居た。
しかし出された料理は「店側からの感謝」が多分に含まれた、好意の品々。
故に無料。
幼いながらに空気を読んだチィックウィードも含め、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
誰一人として不平を口にせず、義理堅くも汁まで綺麗に平らげ、思う所は腹の底にグッと仕舞い込み、
「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」
幼子も、
「あ、ありがとぉ、なぉ♪」
精一杯の謝意を店主に伝え、満足げな笑みを浮かべた店主が使用済みの食器を片付ける中、苦行から解放されたひと時をくつろいでいるとラディッシュがおもむろ、
「あ、あのぉスパイダマグさん」
「何でありましょう、勇者殿?」
「その……さっきの人が千本刀さんに言ってた「咎人」って、どう言う意味なんですか?」
(千本刀さんって、罪人?)
ドロプウォート達も気にはなっていたのか耳を傾けると、スパイダマグは「密かな口直し」で飲んでいた湯呑を静かに置き、
「天世における重罪人の処遇は、大きく分けて二つあるのです。一つは、天世のチカラを剥奪した上で「地世送り」となる事実上の死刑宣告で、もう一つは、同様に天世のチカラを剥奪されるものの「魂の転移」を施す、終身刑とでも言うべきモノです」
天世のチカラを奪った上での「地世送り」は、言葉のニュアンスから理解出来たが、
「「「「「「魂の転移?」」」」」」
聞き慣れないフレーズに大人たちが首を傾げた一方、
「テンニなぉ♪ テンニなぉ♪」
響きが琴線に触れたチィックウィードが楽し気に連呼。
すると、
「お店では静かにしませんと「イケマセン」ですわぁ」
隣に座っていたドロプウォートが優しく諫め、
「うぃ。しずかにする、なぉ♪」
「チィちゃんは、良い子ですわね」
頭を撫で撫で。
話の腰を途中で折られたスパイダマグはコホンと咳払いを一つして気持ちを立て直してから、
「つ、続けます。魂の転移とは肉体を奪われ、魂は別に用意された「動物の体」などに移される刑であり、その体で「永続的な単純労働」に従事する事となります。そしてその受刑者たちをプリズニアと呼ぶのですが……中には先のサーシアム殿のように、既に刑に服する者たちを、悪意を以て「咎人(とがびと)」と蔑称する者も少なからず……」
「じゃあ千本刀さんも、何か大罪を?」
ラディッシュの疑問に、
「彼は違うのです」
スパイダマグは静かに首を横に振ると、中々答えに辿り着かない会話にニプルウォートが苛立ちを覚え、
「じゃあアイツは何だってのさ? 人間の姿じゃないのは、誰の目から見たって明らかだろぅさ?」
皮肉を交えたが、彼は淡々と、
「確かに彼の魂は「人ならざるモノ」の中に入っていますが……しかしそれは罪を犯して強制された物ではなく、彼が自ら望んでの事なのです」
「「「「「「自ら望んでぇ?!」」」」」」
にわかに信じ難いと言った驚きの声を上げるラディッシュ達の一方、空腹は満たされ、こっくりこっくり舟を漕ぎ始めるチィックウィード。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる