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第五章
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コマクサが拭えぬ懸念に苛まれてしばし後――
聖都プロンズアルピニスの北地区に、突如として上がる爆音と火の手。
そして、
『合成獣が出たァアァァァァアッァ!』
『汚染獣もだァアアッァァァァ!』
再び上がった人々の悲鳴と怒号は、南へ向かって一斉に逃げる。
同じ場所で同じ事件は「スグには起きない」と、偶然の一致をみた集団心理か、はたまた最初に逃げ出した者の後を「無意に」追ってしまう本能か。
そんな中、血相を変えて逃げ惑う人々の流れに逆らい満面の笑顔で、
『どけどけぇどけどけぇえぇえぇぇえ!!!』
両手持ちの大剣を振りかざして突き進むのはサーシアム。
『オメェ等の事はァこの「オレ様」が守ってやんよォオ!』
勇ましい雄叫びを上げながら人狼の群れに向かって行ったが、そんな彼に「賛辞を贈る者」や「声援を贈る者」は無く、それが天世における「天世の七草サーシアム」の世間一般の評価であった。
しかし敵を見据えた彼は、気にする風も無く人の流れに逆行し、
『この溜まりに溜った鬱憤(うっぷん)! テメェ等で存分に晴らさせてもらうぜぇ!』
人目もはばからず「救援の為の戦い」を、平然と「憂さ晴らし」とのたまい斬り掛かった。
その頃、これから大勢の人が逃げて来る、被害の爪痕が未だ生々しい無人の南地区を、ふらふらと歩く一つの人影が。
瓦礫と化した家々の間を彷徨いながら、口元には歪んだ笑みすら浮かべ、焼け残ったごみ箱に歩み寄ると、
「…………」
手に握った「何か」を、投入口から放り込もうとする動きを見せた。
その時、
『そこの御人。ちょっとよろしいですか?』
「!」
声を掛けられ振り向くと、そこには一枚布で素顔を隠した、親衛隊の制服を纏った隊員たち複数名の姿があり、
(検証の終わった筈のこの場所にぃどぅして親衛隊がぁ?!)
心の内で焦りを覚えたのは、宮廷料理人ミネズ。
何か後ろ暗い所があるのか、彼は平静を務めた様子で、
「あ、アタクシに何か御用ですか?」
すると班長と思しき隊員は、
「これはこれはミネズ殿でしたかぁ」
纏う空気を気さくな色に変え、ミネズも内心ではホッとしながらも、
「お、お勤め、ご苦労様です。北地区の方で何か騒ぎがあったようですね」
「えぇ。合成獣が再び出現して親衛隊の別働隊が向かっているところです。それで大勢の避難者が「こちらに向かっている」との情報を得まして、危険が無いか確認をしに」
「そ、そうですか。それはご苦労様です。それではアタクシは少し先を急ぐのでこれにて」
早々に、足早に立ち去ろうとしたが、
『少々お待ちいただけますかな、ミネズ殿』
呼び止められ、
「なっ、何でしょう?」
引きつり気味の笑顔で足を止めて振り返ると、親衛隊の面々は今し方の友好的な空気から一転した、ピリピリとした空気で以て、
「先程から、その「手にしている品」は何ですかな?」
「ッ!」
思わす数歩後退るミネズ。
焦りの色を隠し切れず、握り込まれた右手をチラ見し、
「ご、ゴミですよ、単なる。御見せする程の事も無い」
「ならば御見せいただけますかな?」
得も言われぬ緊張を纏い、半歩歩みを寄せる親衛隊たち。
その姿に、
(こっ、コイツ等、まさか気付いてるぅ?!)
息を呑むと、
「「「「「?!」」」」」
「?!」
急激に近づく、悲鳴と怒号を伴った地鳴りが。
それは北地区から、命からがら血相を変えて逃げて来た大集団。
決壊して押し寄せる濁流の如き様であったが、その中の一組である「母親に手を引かれていた幼子」が、人々の流れに乗り切れず押し倒され、
『うわぁ!』
『『『『『ッ!?』』』』』
隊員たちは短い悲鳴を聞き分け、反射的に振り向いた。
そこには、急流の中に置かれた石のように抱き合い縮こまる「母子の姿」と、容赦なく次々押し寄せる、自身の命を守る為にヒステリー状態で駆け続ける大勢の人々の姿が。
母子の命は、まさに風前の灯火。
一心不乱に逃げる人々に、立て続けに踏みつけられでもしたら、命を落とすは時間の問題。
(((((助けに向かわなければァ!)))))
隊員たちは瞬間的に思ったが、その間隙を縫い、
(((((!)))))
逃走するミネズ。
「クッ!」
班長と思しき隊員は彼の「使命感に付け込んだ愚行」に苛立ちを覚えながらも、避難者の数と勢いを瞬時に分析し、
『二人は「ミネズの確保」を!』
『『了解しました!』』
ミネズを追わせ、班長を含めた三人は即座に母子救出へ向かった。
聖都プロンズアルピニスの北地区に、突如として上がる爆音と火の手。
そして、
『合成獣が出たァアァァァァアッァ!』
『汚染獣もだァアアッァァァァ!』
再び上がった人々の悲鳴と怒号は、南へ向かって一斉に逃げる。
同じ場所で同じ事件は「スグには起きない」と、偶然の一致をみた集団心理か、はたまた最初に逃げ出した者の後を「無意に」追ってしまう本能か。
そんな中、血相を変えて逃げ惑う人々の流れに逆らい満面の笑顔で、
『どけどけぇどけどけぇえぇえぇぇえ!!!』
両手持ちの大剣を振りかざして突き進むのはサーシアム。
『オメェ等の事はァこの「オレ様」が守ってやんよォオ!』
勇ましい雄叫びを上げながら人狼の群れに向かって行ったが、そんな彼に「賛辞を贈る者」や「声援を贈る者」は無く、それが天世における「天世の七草サーシアム」の世間一般の評価であった。
しかし敵を見据えた彼は、気にする風も無く人の流れに逆行し、
『この溜まりに溜った鬱憤(うっぷん)! テメェ等で存分に晴らさせてもらうぜぇ!』
人目もはばからず「救援の為の戦い」を、平然と「憂さ晴らし」とのたまい斬り掛かった。
その頃、これから大勢の人が逃げて来る、被害の爪痕が未だ生々しい無人の南地区を、ふらふらと歩く一つの人影が。
瓦礫と化した家々の間を彷徨いながら、口元には歪んだ笑みすら浮かべ、焼け残ったごみ箱に歩み寄ると、
「…………」
手に握った「何か」を、投入口から放り込もうとする動きを見せた。
その時、
『そこの御人。ちょっとよろしいですか?』
「!」
声を掛けられ振り向くと、そこには一枚布で素顔を隠した、親衛隊の制服を纏った隊員たち複数名の姿があり、
(検証の終わった筈のこの場所にぃどぅして親衛隊がぁ?!)
心の内で焦りを覚えたのは、宮廷料理人ミネズ。
何か後ろ暗い所があるのか、彼は平静を務めた様子で、
「あ、アタクシに何か御用ですか?」
すると班長と思しき隊員は、
「これはこれはミネズ殿でしたかぁ」
纏う空気を気さくな色に変え、ミネズも内心ではホッとしながらも、
「お、お勤め、ご苦労様です。北地区の方で何か騒ぎがあったようですね」
「えぇ。合成獣が再び出現して親衛隊の別働隊が向かっているところです。それで大勢の避難者が「こちらに向かっている」との情報を得まして、危険が無いか確認をしに」
「そ、そうですか。それはご苦労様です。それではアタクシは少し先を急ぐのでこれにて」
早々に、足早に立ち去ろうとしたが、
『少々お待ちいただけますかな、ミネズ殿』
呼び止められ、
「なっ、何でしょう?」
引きつり気味の笑顔で足を止めて振り返ると、親衛隊の面々は今し方の友好的な空気から一転した、ピリピリとした空気で以て、
「先程から、その「手にしている品」は何ですかな?」
「ッ!」
思わす数歩後退るミネズ。
焦りの色を隠し切れず、握り込まれた右手をチラ見し、
「ご、ゴミですよ、単なる。御見せする程の事も無い」
「ならば御見せいただけますかな?」
得も言われぬ緊張を纏い、半歩歩みを寄せる親衛隊たち。
その姿に、
(こっ、コイツ等、まさか気付いてるぅ?!)
息を呑むと、
「「「「「?!」」」」」
「?!」
急激に近づく、悲鳴と怒号を伴った地鳴りが。
それは北地区から、命からがら血相を変えて逃げて来た大集団。
決壊して押し寄せる濁流の如き様であったが、その中の一組である「母親に手を引かれていた幼子」が、人々の流れに乗り切れず押し倒され、
『うわぁ!』
『『『『『ッ!?』』』』』
隊員たちは短い悲鳴を聞き分け、反射的に振り向いた。
そこには、急流の中に置かれた石のように抱き合い縮こまる「母子の姿」と、容赦なく次々押し寄せる、自身の命を守る為にヒステリー状態で駆け続ける大勢の人々の姿が。
母子の命は、まさに風前の灯火。
一心不乱に逃げる人々に、立て続けに踏みつけられでもしたら、命を落とすは時間の問題。
(((((助けに向かわなければァ!)))))
隊員たちは瞬間的に思ったが、その間隙を縫い、
(((((!)))))
逃走するミネズ。
「クッ!」
班長と思しき隊員は彼の「使命感に付け込んだ愚行」に苛立ちを覚えながらも、避難者の数と勢いを瞬時に分析し、
『二人は「ミネズの確保」を!』
『『了解しました!』』
ミネズを追わせ、班長を含めた三人は即座に母子救出へ向かった。
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