ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第五章

5-55

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 騒乱の一夜が明け――
 
 天宮の議場に集まる元老院の御歴歴とスパイダマグ、そしてラディッシュたち勇者組と、北地区で縦横無尽に八面六臂の活躍を見せたと言うサーシアム。
 彼の気質なのか、活躍を誇示しているのか、その両方か、厳粛な場に在りながら踏ん反り返って椅子に座り、不敵な笑みさえ浮かべている。
 当然の如く、眉をひそめる元老院の御歴歴。
 そんな中、議長を務めるコマクサが、チョウカイと、どこか顔色の悪いハイマツを両脇に従え、

『静粛にぃ!』
 カァンカァン!

 裁判長が手にする木槌(ガベル)のような物で、打撃板(サウンドブロック)を叩いて自主的な沈静を促し議場が静まると、
「これより、先の事象の緊急報告会を行う!」
 高らかに宣言。

「先ずは被害状況の報告を! 親衛隊隊長スパイダマグ!」
「ハッ!」

 呼ばれたスパイダマグは小さく一礼して証言台に立つと、コマクサ、チョウカイ、ハイマツ、そして御歴歴一同に、北地区、南地区の惨状を切々と語って聞かせ、改めて知らされた聖都の家屋や、人的被害の大きさに、

「おぉ何と言う事だぁ」
「聖都で、この様な惨事が起きるなどぉ」
「死した者のうち、いったい何人の蘇りが叶うのかぁ」
「かつての魔王が現れた時でさえ、天世に斯様な被害は無かったと言うにぃ」

 議場が不安からザワつき、

『静粛に! 静粛に!!!』
 カァンカァンカァン!!!

 コマクサは先程より強めに、より多めに叩いて静まりを促し、
「被害の状況は、相分かった。しかし肝心な話はここから!」
 話は核心へ移行する様相を呈したが、参考人として同席していたラディッシュ達には素朴な疑問が。
 それは、

≪百人の天世人が、なぜ居ない?≫

 平和な天世の根幹が揺るぎ兼ねない非常事態の、緊急会議であるにも関わらず。
 存在意義について考えてしまう一方で、七人の思いをよそに会議は粛々と進み、

『親衛隊隊長スパイダマグに問う! 合成獣は、ごみ箱から出た「地世のチカラ」より誕生し、ごみ箱を破壊するまで供給し続けたとの話に相違無いか!』

 コマクサの余談許さぬ気迫の問いに、スパイダマグは真っ直ぐと、
「相違ありません」
 毅然と答え、再びザワつく元老院の御歴歴を前に、
「勇者ラディッシュ殿方の報告により、間違い御座いません!」
 議場は更に大きくどよめき、

「本当に、そんな事が?!」
「未だかつて、その様な事象は聞いた事が無いぞ」
「事実なら、ごみ箱の使用をスグにでも止め、破棄せぬと危険ぞ!」
「破棄は構わんが、ごみはどうする!? 毎日出るのだぞぉ」

 それぞれが、それぞれに抱いた不安から思い惑う中、
『何かの「思い違い」、「思い込み」、「見間違いの類い」ではないのか?』
 現実から眼を背けた発言が。

『ぬわんですってぇ!』

 ドロプウォートは平静に受け止めるラディッシュを差し置いて目くじらを立て、
(ラディの証言に「疑いを持つ」などとぉ許せませんのですわぁ!)
 怒りの炎をメラメラと燃え上がらせると、

『ケェーケッケッ!』

 サーシアムが小馬鹿にした高笑いを上げ、
「現実逃避も、そこまで行きゃぁ笑えるなぁ! 戦った本人が「そうだ」つってるんだぜぇ♪」
 指摘した御歴歴や、同調を示す者達を嘲笑い、

「ソイツの言った事はホントだぜぇ。何せ、このオレも、全部ぶっ壊してから人狼を叩き斬ったからな♪」

 実際に交戦した「親衛隊の隊長」に「異世界勇者」、それに加えて「天世の七草」の一人までもに断言されては流石に疑いようもなく、
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
 慄きを隠せない御歴歴の方々は、

「なっ、なれば、やはり早々にごみ箱は破棄せねば!」
「イヤしかし、だから、ごみはどぅする!」
「日々、毎日出るのだぞ!」
「だが手を拱(こまね)いているうち再び人狼が出たらどうする気だ!」
「いや、だからと言ってぇ、」

 不安は堂々を巡り、至る所で蜂の巣を突いた騒ぎになり、
『静粛に! 皆の者ぉ静粛にぃ!! 静粛にぃい!!!』
 コマクサが木槌をカンカンカンカン叩いたが騒ぎは収まらず、重鎮たちの混乱ぶりをサーシアムが愉快そうに高笑いする中、

『みっ、皆さん! ちょっと良いですか!』

 声を張り上げたのはラディッシュ。
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