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第五章
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戦闘の終わりが見い出せない手詰まり気味の現状を打破する為にも「流れの悪いニプルウォート」のフォローにスグさま向かいたい気持ちはあった。
とは言え、二人が相手をしている元隊員の人狼もまた、元ミネズよりは明らかに見劣りする強さではあるが、通常の人狼と比べれば総合的な戦闘力は高く、何より再生力に限って言えば同レベル。
彼女の下へ容易には向かわせてくれなかった。
(くっ! 仕掛けが分からないから天法を使っても無意味だし!)
苛立ちを覚えるラディッシュではあったが、ドロプウォートとの連携の取れた攻守を維持はしていた。
その一方で、延々と続く一進一退に、
(でも!)
腹を括った表情で、剣の柄を握る手にチカラを込め、
(このままじゃダメなんだ!)
強引に斬り込もうとした。
しかし、それは悪手。
力(りき)みと、強引さが仇となり、むしろ連携のリズムが崩れてしまい、
「「っ!」」
二人は肩と肩を接触。
元隊員の人狼はそれを見逃さず、
『ガルァ!』
バランスを大きく崩したラディッシュ目掛け、鋭い爪を立てて来た。
(しっ、しまったぁ! やっぱり天法を発動しておけば!)
油断があったとまでは言えないが、後悔しても後の祭り。
だからと言って「大人しく致命傷を浴びる」など愚の骨頂。
『ラディ!』
ドロプウォートの悲痛な叫びの中、ラディッシュは体勢を崩しながらも、崩れた体勢を逆手に、
(ゼッタイに、かわすんだぁあぁ!)
流れに任せて身を強引によじり、
(ひぃいぃ!)
額の数ミリ先を「獣の鋭い爪」が通過、かすめて行き、ラディッシュは倒れそうな勢いのままブリッジする様な体勢で地面に片手をつくと、そのまま後方へ側転。
体勢を立て直し、ドロプウォートはその間に彼への追撃を防ぐ「牽制の一刀」を鋭く放ち、
「ガルァア!」
人狼は、後方へ飛び退いた。
傷は瞬時に回復するにもかかわらず。
それは生物としてわずかに残っていた「当たり前の本能」の一つ、「生存本能」が行わせた反射か。
『ラディ! 無事ですわよねぇ!』
権勢を放ったドロプウォートが、人狼と対峙しながら背中で尋ねると、
「だ、大丈夫だよ!」
ラディッシュは即答したが、それと同時に地面についた手を見つめ、
(今、確か……)
何かを感じ取って彼女の背に、
「ドロプ! ほんの数十秒で良いから、人狼の相手をお願い!」
「!」
その自信を滲ませる声色から彼女は間髪入れず、
「数十秒と言わず、数時間でも戦って見せますわ♪」
肩越しにチラリと振り返った笑顔で、心強い返事を返し、
「ありがとう♪」
ラディッシュも笑顔を返すと真顔に戻り、地面に手をつき、そして静かに両眼をつぶった。
暗闇の世界に入る。
意識を集中しようとするも
(僕が、今こうしている間に、二人は終わりの見えない戦いを続けてる……)
無防備な自分が攻撃を受ける事より、自身が戦線を離脱した事で負担が増す二人の身を案じたが、
(ダメだダメだ、今は集中しなきゃ!)
意識を掌に集め、
(さっき確かに……)
闇の中に何かを探し求め、
(…………)
やがて、
(見つけたぁ!)
捉えたのは地面の中を流れる、地世のチカラ。
流れの下流には「元ミネズ」と「元隊員」の人狼が。
(それなら上流は?!)
辿っていくと、
(あったぁ!)
ラディッシュは即座に両眼をカッと見開き、
≪我がチカラァ! 内なる天世のチカラを以て眼前の敵を打ち払わぁん!≫
その身を白き輝きに包むと、天流護聖剣(てんりゅうごせいけん)の刀身をも輝かせ、
『消えてなくなれぇーーーっ!』
何かに駆け寄り、大上段から鋭い一刀を放った。
しかし、
ガァガァキィイィィィィイイイッィィ!
甲高い音を立てて天流護聖剣の刃を受け止めたのは、天技により作り出されたごみ箱。
地世のチカラはごみ箱から延々と漏れ出ていて、人狼と化した元ミネズと元隊員に供給され続けていたのであった。
地中に沁み込み、地中を巡り、足の裏から、供給され続けていた地世のチカラ。
ラディッシュは地面に手をついた事で、隠された地世のチカラの流れに気付いたのである。
元凶とも言えるごみ箱を滅する為に放った一刀ではあったが、ごみ箱はその刃の進攻を強固に阻止。
元老の御歴歴の一人が硬さを自慢していたのを思い出し、
(かっ、硬いぃ! マジ硬いぃいぃ!!)
チカラ比べの様な様相を呈したが、
(でもぉ!!!)
ラディッシュは柄(つか)を握る手にチカラを込め自身の白き輝きを増すと、刃先はごみ箱に食い込み始め、
「斬れちゃえぇえぇぇぇえぇ!!!」
更に込めた合気により、
サァキィイィィイイイィィン!
ごみ箱は真っ二つ、天法を失いタダの金属片となって転がり、
『『今(ですわァ・サァ)!!!』』
ドロプウォートとニプルウォートはそれぞれ渾身の鋭い一刀を放ち、
『『グルガァアァァ!!!』』
斬られた人狼二人は咆哮を上げ、その場に倒れた。
ほんの一瞬、人として在った時の記憶を蘇らせるミネズ。
それは走馬灯。
料理人として華々しい功績を持ちながら嫉妬に駆られ、浅はかな行為に走った自身を呪い、
(アタクシは……なんと愚かな行為を……)
意識は後悔と共に消えて行った。
戦いは終わったものの、
「「「…………」」」
笑顔の無いラディッシュ、ドロプウォート、ニプルウォート。
斬る事でしか救えない、いつもの「後味の悪い勝利」であるから。
とは言え、二人が相手をしている元隊員の人狼もまた、元ミネズよりは明らかに見劣りする強さではあるが、通常の人狼と比べれば総合的な戦闘力は高く、何より再生力に限って言えば同レベル。
彼女の下へ容易には向かわせてくれなかった。
(くっ! 仕掛けが分からないから天法を使っても無意味だし!)
苛立ちを覚えるラディッシュではあったが、ドロプウォートとの連携の取れた攻守を維持はしていた。
その一方で、延々と続く一進一退に、
(でも!)
腹を括った表情で、剣の柄を握る手にチカラを込め、
(このままじゃダメなんだ!)
強引に斬り込もうとした。
しかし、それは悪手。
力(りき)みと、強引さが仇となり、むしろ連携のリズムが崩れてしまい、
「「っ!」」
二人は肩と肩を接触。
元隊員の人狼はそれを見逃さず、
『ガルァ!』
バランスを大きく崩したラディッシュ目掛け、鋭い爪を立てて来た。
(しっ、しまったぁ! やっぱり天法を発動しておけば!)
油断があったとまでは言えないが、後悔しても後の祭り。
だからと言って「大人しく致命傷を浴びる」など愚の骨頂。
『ラディ!』
ドロプウォートの悲痛な叫びの中、ラディッシュは体勢を崩しながらも、崩れた体勢を逆手に、
(ゼッタイに、かわすんだぁあぁ!)
流れに任せて身を強引によじり、
(ひぃいぃ!)
額の数ミリ先を「獣の鋭い爪」が通過、かすめて行き、ラディッシュは倒れそうな勢いのままブリッジする様な体勢で地面に片手をつくと、そのまま後方へ側転。
体勢を立て直し、ドロプウォートはその間に彼への追撃を防ぐ「牽制の一刀」を鋭く放ち、
「ガルァア!」
人狼は、後方へ飛び退いた。
傷は瞬時に回復するにもかかわらず。
それは生物としてわずかに残っていた「当たり前の本能」の一つ、「生存本能」が行わせた反射か。
『ラディ! 無事ですわよねぇ!』
権勢を放ったドロプウォートが、人狼と対峙しながら背中で尋ねると、
「だ、大丈夫だよ!」
ラディッシュは即答したが、それと同時に地面についた手を見つめ、
(今、確か……)
何かを感じ取って彼女の背に、
「ドロプ! ほんの数十秒で良いから、人狼の相手をお願い!」
「!」
その自信を滲ませる声色から彼女は間髪入れず、
「数十秒と言わず、数時間でも戦って見せますわ♪」
肩越しにチラリと振り返った笑顔で、心強い返事を返し、
「ありがとう♪」
ラディッシュも笑顔を返すと真顔に戻り、地面に手をつき、そして静かに両眼をつぶった。
暗闇の世界に入る。
意識を集中しようとするも
(僕が、今こうしている間に、二人は終わりの見えない戦いを続けてる……)
無防備な自分が攻撃を受ける事より、自身が戦線を離脱した事で負担が増す二人の身を案じたが、
(ダメだダメだ、今は集中しなきゃ!)
意識を掌に集め、
(さっき確かに……)
闇の中に何かを探し求め、
(…………)
やがて、
(見つけたぁ!)
捉えたのは地面の中を流れる、地世のチカラ。
流れの下流には「元ミネズ」と「元隊員」の人狼が。
(それなら上流は?!)
辿っていくと、
(あったぁ!)
ラディッシュは即座に両眼をカッと見開き、
≪我がチカラァ! 内なる天世のチカラを以て眼前の敵を打ち払わぁん!≫
その身を白き輝きに包むと、天流護聖剣(てんりゅうごせいけん)の刀身をも輝かせ、
『消えてなくなれぇーーーっ!』
何かに駆け寄り、大上段から鋭い一刀を放った。
しかし、
ガァガァキィイィィィィイイイッィィ!
甲高い音を立てて天流護聖剣の刃を受け止めたのは、天技により作り出されたごみ箱。
地世のチカラはごみ箱から延々と漏れ出ていて、人狼と化した元ミネズと元隊員に供給され続けていたのであった。
地中に沁み込み、地中を巡り、足の裏から、供給され続けていた地世のチカラ。
ラディッシュは地面に手をついた事で、隠された地世のチカラの流れに気付いたのである。
元凶とも言えるごみ箱を滅する為に放った一刀ではあったが、ごみ箱はその刃の進攻を強固に阻止。
元老の御歴歴の一人が硬さを自慢していたのを思い出し、
(かっ、硬いぃ! マジ硬いぃいぃ!!)
チカラ比べの様な様相を呈したが、
(でもぉ!!!)
ラディッシュは柄(つか)を握る手にチカラを込め自身の白き輝きを増すと、刃先はごみ箱に食い込み始め、
「斬れちゃえぇえぇぇぇえぇ!!!」
更に込めた合気により、
サァキィイィィイイイィィン!
ごみ箱は真っ二つ、天法を失いタダの金属片となって転がり、
『『今(ですわァ・サァ)!!!』』
ドロプウォートとニプルウォートはそれぞれ渾身の鋭い一刀を放ち、
『『グルガァアァァ!!!』』
斬られた人狼二人は咆哮を上げ、その場に倒れた。
ほんの一瞬、人として在った時の記憶を蘇らせるミネズ。
それは走馬灯。
料理人として華々しい功績を持ちながら嫉妬に駆られ、浅はかな行為に走った自身を呪い、
(アタクシは……なんと愚かな行為を……)
意識は後悔と共に消えて行った。
戦いは終わったものの、
「「「…………」」」
笑顔の無いラディッシュ、ドロプウォート、ニプルウォート。
斬る事でしか救えない、いつもの「後味の悪い勝利」であるから。
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