339 / 895
第五章
5-53
しおりを挟む
ラディッシュ達は北地区でのサーシアムの奮戦を耳に、親衛隊の別班を含めた彼らに任せる事にし、自分たちは実行犯ミネズの捕縛に向かった班の居る南地区へ、万が一を考え向かったのであった。
勇者一行の壮観なる立ち姿に、思いがけず救われた隊員は感極まり、
「ありがとうございますぅ、勇者殿方ぁ!」
祈る様に謝意を伝えたが、合成獣が北地区と南地区に、同時に現れた現状において親睦など深めている場合では無く、ドロプウォートは急かす様に、
「この場は私達に任せて、貴方は班長さんと合流して、避難者の誘導と怪我人の治療をお願いしますですわ!」
強く促すと、パストリスが「彼の緊張を和らげよう」との意図があってか、ニコやかな笑顔を見せながら、
「ボクも一緒に行くなのでぇす♪」
追従する様に、
「ラディの兄貴ぃ、ドロプの姉さぁん、ニプル、俺も治療に行くんでこっちは任せたっス!」
「アタシも避難誘導に行きましてですわよ!」
「チィはおてつだい、なぉ!」
ターナップ、カドウィード、チィックウィードも続き、隊員は感動のあまり身震いしながら、
『ありがとうございまぁす! 宜しくお願いします! では、行きましょう!』
四人を連れ、走り去っていった。
その背を見送るニプルウォート。
皮肉った笑みを口元に浮かべ、
「三対二ってのが、ちぃとばっか気に入らないがぁねぇ」
剣を構えながら、
『こっちも掛かろうさぁ!』
気合いの入った一声に、ラディッシュとドロプウォートは強く頷き、三人は「人狼と化した二人」に向かって行った。
疾風の如く先陣を駆けるニプルウォート。
天法も使わず、元隊員の薙ぎ払う爪の一撃を、足を止める事なくかわして懐に入ると躊躇なくスレ違いざま、
『先ずは一匹さぁあっ!』
脇腹を真横に深々と一閃して確かな手ごたえの下に駆け抜け、次なる標的「元ミネズ」を視界に収めたが、
『『ニプルッ!』』
置き去りにした二人からの悲痛な叫びを背に受け、
「ッ!」
悪寒を感じて振り返りざま、剣で咄嗟に防御姿勢を取ると、
ガァキィイイィィイィン!
元親衛隊の人狼の爪による一撃を辛うじて防ぎ、
(やっ、ヤバかったぁあぁ!)
二人の声に感謝を禁じ得なかったが、それ以上に、
(コイツ、何でまだ生きてやがるのさぁ!?)
確実に仕留めたつもりの獲物からの「想定外の反撃」に驚きを隠せず、チカラ比べの鍔迫り合いの形になりながら斬った筈の部位をチラ見、
(う、ウソだろぅ?!)
二度目の驚きを喫した。
深々とえぐった傷が、既に完治していたのである。
しかし考え込んでいる暇は無く、
『ニプル! 後ろからも来てるよォ!』
ラディッシュの声に、
「チッ!」
ニプルウォートは鍔迫り合いを「チカラ任せの強引」で弾き返して振り向きざま、
「セヤァ!」
牽制の横一線を振るうと、
『ガルァ!』
迫りつつあった「元ミネズの人狼」は後方に大きく飛び退き。ニプルウォートと対峙して、「元隊員の人狼」は駆け付けたラディッシュ、ドロプウォートの二人と対峙した。
一瞬の膠着の後、痺れを切らしたニプルウォートが、
『黙って見合ってたってぇカラクリは分かりゃぁしないさァ!』
元ミネズに斬り掛かり、
『どうしてぇ貴方はそぅも「堪え性」がありませんですのぉ!』
ドロプウォートが呆れ声を上げ、ラディッシュが苦笑する中、均衡が崩れた事により、
『『ガルァア!』』
人狼二人も、牙と爪を剥き出し襲い掛かり、
「でも僕も、ニプルさんの言う事には一理あると思うよ♪」
「それはそうですが、そうではなくぅ! まったく仕方ありませんですわぁ!」
二人も剣を構え直して応戦体制に入った。
何回となく剣を振るい手傷を負わせ、
「「「!?」」」
戸惑いを覚える三人。
やはり人狼は二人とも、斬っても斬っても傷がスグに再生し、何ごとも無かった様に反撃して来たのである。
加えて厄介な事に、通常の人狼たちより明らかに攻撃力が高く、元ミネズに至っては攻撃の回転まで速く、止まぬ執拗な連続攻撃からは怨念すら覚え、ニプルウォートは出鼻を挫かれた事もあり、
(いったい、どうなってやがんのさぁ! しかも一撃一撃が重い!)
防戦一方の形に押し込まれて、
『『ニプル!』』
焦りの声を上げるラディッシュとドロプウォート。
勇者一行の壮観なる立ち姿に、思いがけず救われた隊員は感極まり、
「ありがとうございますぅ、勇者殿方ぁ!」
祈る様に謝意を伝えたが、合成獣が北地区と南地区に、同時に現れた現状において親睦など深めている場合では無く、ドロプウォートは急かす様に、
「この場は私達に任せて、貴方は班長さんと合流して、避難者の誘導と怪我人の治療をお願いしますですわ!」
強く促すと、パストリスが「彼の緊張を和らげよう」との意図があってか、ニコやかな笑顔を見せながら、
「ボクも一緒に行くなのでぇす♪」
追従する様に、
「ラディの兄貴ぃ、ドロプの姉さぁん、ニプル、俺も治療に行くんでこっちは任せたっス!」
「アタシも避難誘導に行きましてですわよ!」
「チィはおてつだい、なぉ!」
ターナップ、カドウィード、チィックウィードも続き、隊員は感動のあまり身震いしながら、
『ありがとうございまぁす! 宜しくお願いします! では、行きましょう!』
四人を連れ、走り去っていった。
その背を見送るニプルウォート。
皮肉った笑みを口元に浮かべ、
「三対二ってのが、ちぃとばっか気に入らないがぁねぇ」
剣を構えながら、
『こっちも掛かろうさぁ!』
気合いの入った一声に、ラディッシュとドロプウォートは強く頷き、三人は「人狼と化した二人」に向かって行った。
疾風の如く先陣を駆けるニプルウォート。
天法も使わず、元隊員の薙ぎ払う爪の一撃を、足を止める事なくかわして懐に入ると躊躇なくスレ違いざま、
『先ずは一匹さぁあっ!』
脇腹を真横に深々と一閃して確かな手ごたえの下に駆け抜け、次なる標的「元ミネズ」を視界に収めたが、
『『ニプルッ!』』
置き去りにした二人からの悲痛な叫びを背に受け、
「ッ!」
悪寒を感じて振り返りざま、剣で咄嗟に防御姿勢を取ると、
ガァキィイイィィイィン!
元親衛隊の人狼の爪による一撃を辛うじて防ぎ、
(やっ、ヤバかったぁあぁ!)
二人の声に感謝を禁じ得なかったが、それ以上に、
(コイツ、何でまだ生きてやがるのさぁ!?)
確実に仕留めたつもりの獲物からの「想定外の反撃」に驚きを隠せず、チカラ比べの鍔迫り合いの形になりながら斬った筈の部位をチラ見、
(う、ウソだろぅ?!)
二度目の驚きを喫した。
深々とえぐった傷が、既に完治していたのである。
しかし考え込んでいる暇は無く、
『ニプル! 後ろからも来てるよォ!』
ラディッシュの声に、
「チッ!」
ニプルウォートは鍔迫り合いを「チカラ任せの強引」で弾き返して振り向きざま、
「セヤァ!」
牽制の横一線を振るうと、
『ガルァ!』
迫りつつあった「元ミネズの人狼」は後方に大きく飛び退き。ニプルウォートと対峙して、「元隊員の人狼」は駆け付けたラディッシュ、ドロプウォートの二人と対峙した。
一瞬の膠着の後、痺れを切らしたニプルウォートが、
『黙って見合ってたってぇカラクリは分かりゃぁしないさァ!』
元ミネズに斬り掛かり、
『どうしてぇ貴方はそぅも「堪え性」がありませんですのぉ!』
ドロプウォートが呆れ声を上げ、ラディッシュが苦笑する中、均衡が崩れた事により、
『『ガルァア!』』
人狼二人も、牙と爪を剥き出し襲い掛かり、
「でも僕も、ニプルさんの言う事には一理あると思うよ♪」
「それはそうですが、そうではなくぅ! まったく仕方ありませんですわぁ!」
二人も剣を構え直して応戦体制に入った。
何回となく剣を振るい手傷を負わせ、
「「「!?」」」
戸惑いを覚える三人。
やはり人狼は二人とも、斬っても斬っても傷がスグに再生し、何ごとも無かった様に反撃して来たのである。
加えて厄介な事に、通常の人狼たちより明らかに攻撃力が高く、元ミネズに至っては攻撃の回転まで速く、止まぬ執拗な連続攻撃からは怨念すら覚え、ニプルウォートは出鼻を挫かれた事もあり、
(いったい、どうなってやがんのさぁ! しかも一撃一撃が重い!)
防戦一方の形に押し込まれて、
『『ニプル!』』
焦りの声を上げるラディッシュとドロプウォート。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します
みおな
ファンタジー
王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。
それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。
死んだはずの私が目覚めたのは・・・
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる