ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-14

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 数日後――
 
 インディカは憑き物が落ちた様な満面の笑顔で、

『姐さん方ぁドコ行くんスかぁ♪』

 教会から出掛けようとしていたドロプウォートたち女子組に声を掛け、男尊女卑的発想が消えた様な笑顔を見せたが、それもその筈、彼はドロプウォートに戦わずして敗北を喫した後、ニプルウォートとカドウィード、そしてパストリスにも手合わせを懇願し、

≪秒殺≫

 更には頼まれてもいない飛び入り参加の「容赦を知らないチィックウィード」にまで、瞬殺どころか、女性陣が慌てて止めに入っていなければ急所を射抜かれ、即死させられる所であった。
 蔑んでいた女子に、五人立て続けに、無残な敗北をすれば、流石にモノの見方も変わると言うモノ。
 しかし、その代わりに「新たな問題」も。

 それは、ラディッシュに対する横柄。

 インディカは「拳で分かり合う気質」らしく、ターナップや女子五人とは打ち解けた受け答えをするが、連続惨敗への気遣いから戦いを拒んだラディッシュに対しては、よそよそしいとは生優しい表現の、

≪ケッ! 家事しかしねぇ軟弱ヤローが!≫

 下に見たままであった。
 実力を認めたターナップ達の手前、あからさまな態度を取る事までは無かったが。
 そして下に見られたままのラディッシュも、他人から見下される事に「慣れ」を覚えてしまっていて、

≪仕方が無いよ。だって軟弱なのは本当なぁんだし♪≫

 それは「諦め」では無く「悟りの境地」に近く、その「受け入れ」こそが二人の関係を余計にこじらせ、ターナップ達の頭を悩ませていた。
 そんなある日、インディカが教会内の身廊を掃除していると何処からともなく、

(((インディカ兄ちゃん!)))

 声を潜めた呼び声が。
(ん?)
 声のした方に振り返ると、そこには、座席の背もたれに身を隠し、周囲の様子を窺う「彼を庇った幼子たち」と思しき姿が。
 インディカは村の子供たちに、何故か、妙に好かれていた。
 面倒見が良いのは確かであったが、裏表の無い性格が受け入れられているのか、精神年齢が近いと思われ親近感を抱かれているのか、常に眉間にシワを寄せ、ヤンキー張りのイカツイ顔したモヒカン頭であるにも関わらず。
 しかし彼の眼には、

「…………」

 どの子供も同じような、顔、形をした「村人A」としか映っていなかった。
 それは子供に限らず、

≪オレっちが認めたモノ以外は、全てがモブだ≫

 何故その様な身勝手な発想が沁み着いているのか、発端は後々明らかとなるが。

 子供たちの「声を潜める理由」が気に掛かり、
『どぉしたぁ、オマエらぁ?』
 問い掛けた途端、

(((シィーーーーーーッ!)))

 幼子三人から、慌てた様子で静まるように、ジェスチャーで諭されるインディカ。
(?)
 不思議に思う彼を尻目に三人は、何かを警戒している様子で再び周囲をキョロキョロ。
 ひと気が無いと知るや、彼の下に駆け寄り、

(((オトナにナイショでタンケンに行くんだ♪)))
(探検?)

 思わず釣られて声を潜めると、

(((ミナミの森に行くんだ♪)))
(南? 南の森っつうとぉアレかぁ? 「不帰(かえらず)の森」とか言う?)
(((そうだよ♪)))
「…………」

 インディカは少し考えて後、
(オレっちぁ余所モンだからよぉ、よく分かんねぇけどよぉ、行ったヤツぁ誰も帰って来れねぇくれぇヤベェ所なんだろ? ガキだけで行くにぁかなりアブネェんじゃねぇのか?)
 しかし子供たちはあっけらかんと、

(あんなのぉオトナの作り話だよぉ♪)
(ボクぅたちを行かせないようにするため、だよぉ♪)
(村のまわりにはオセンジュウだって出ないじゃないか♪)

 ドコ吹く風な物言いに、
(汚染獣……言われてみりゃぁ確かに、この辺にぁ見ねぇわなぁ?)
 インディカは丸め込まれつつあった。

 故国アクアから長旅を経て、この村で過ごす間に「彼が感じた実感」ではあったのだが、その認識が誤りであったのを、彼は後々イヤと言うほど思い知る羽目になる。
 事実誤認から「安全な森」と思い込んではしまったが、流石に子供たちダケで行かせるのには抵抗を覚え、

(オレっちも行っとくかぁ?)

 思い至り、
「なぁ、オレっちも一緒でイイかぁ、ガキどもよぉ? その「探検」ってヤツにぃ」
 すると子供たちは何事かヒソヒソと話し合った後、

『『『タイチョウはボクたちだからねぇ♪』』』

 満面の笑顔を口元で返し、契約は成立した。
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