ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-31

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 ラディッシュ達の下へ戻るサロワートとアイドル弟子――

 戻るなりニプルウォートがからかい満面、

「アンタが「ショタ好き」だったとは意外さぁ~もぅ唾付けかぁい♪」
「だっ!」

 誰がとツッコミを入れるより先、アイドル弟子が両手で顔を覆いながら、

「もぅオムコに行けませぇん♪」
『アンタも適当に調子合せてんじゃないわよぉ!』
「そうですねぇ♪」

 ケロッとした顔を上げ、

『ア・ン・タ・達ねぇ~~~!』

 わなわなと怒りに打ち震える「忙しいツッコミ担当」に、ラディッシュ達が笑い合っていると、共に笑っていた親方が、
「それじゃぁ勇者様がたぁ、そろそろ工房を案内しますじゃ」
 建物の中へと促した。
 些か腑に落ちなさを残すサロワートも引き連れて。

 建物の内部は外観から感じた以上に広く、職種によってブースとフロアで分けられ、中庭には鍛冶や、ガラス職人など、複数種の専用窯まであり、建物自体が技術の漏洩を防ぐ役割も担っているのが窺え、職人の待遇改善を強く訴えていたドロプウォートは想像以上の設備に、

「凄いですわぁ……」

 感嘆をこぼすと、

「なぁに、領主さまを始めとする「オエナンサ家の御助力」があったればこそ、なのですじゃ」
「え? 当家がぁ?!」

 未だ癒えぬ遺恨は数々あれど、彼女は初めて「両親以外の同族」を誇りに感じた。


 一通り案内された後――

 職人ギルドの長たる親方の執務室に招かれるラディッシュ達。
 一人で使うには広く思われる部屋の壁側には、大きな一枚布が被せられた何かがあり、親方は部屋に入るなり、アイドル弟子と共に その一枚布に手を掛けると、豪快にバサリとはぎ取り、

「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」

 ラディッシュ達は思わず目を見張った。
 そこには「打ちたて」と思われる、煌びやか装備を纏った七体のマネキン人形が。
 素人目から見ても秀作であるのが分かる品々を前に、幾度もの激戦を経て装備の劣化が著しい勇者組が思わず息を呑むと、親方はニッと笑って、

「今後の活躍に役立て下せぇ、勇者様がたぁ♪」
『『『『『『『!』』』』』』』

 手放しで喜びそうになるラディッシュ達。
 しかし、

(((((((…………)))))))

 戸惑いの顔を互いに見合わせ、仲間たちの思いを代弁するが如くラディッシュが申し訳なさげに、

「ごめんなさい、親方……」
「ん? どぅなされたぁ???」
「実はその……僕たち、こんな高価そうな装備を買えるようなお金が……」

 彼ら、彼女たちが得ていた報奨金の多くはアルブル国の復興に、個人的に充てていて、懐事情は決して豊かでは無かったのである。
 アルブル国復興支援として、エルブ、フルール、カルニヴァ、同盟各国からの資金援助は行われていたものの、各国とも地世の襲撃による「自国の立て直し」が優先で、贈られる資金は十分と言えず、その穴埋めを「少しでも」と買って出ていたのであった。
 新装備を手に出来ない事よりも、親方たちの気遣いを無下に扱う結果にラディッシュ達が視線を落とすと、親方は「カァーカッカッ」と愉快そうに一笑い、

『ナニを心配されておられるのじゃ、勇者様がたぁ♪』
(((((((?)))))))
「御代はとうにエルブの陛下から頂いておりますじゃぁ」
(((((((え???)))))))

 鳩が豆鉄砲を食った顔する勇者組に、

「当然ですじゃろぉ? 国や中世を救った英雄様がたから御代を貰うなど、バチが当たると言うモノですじゃ♪」
(((((((!)))))))

 ラディッシュは仲間たちと笑顔を見せ合い、

「ありがとう、親方ぁ!」

 頭を下げた。
 
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