ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-37

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 一夜明け――

 馬車を走らせるラディッシュ達。
 昨日、話し合った通り、サロワートを村に招き入れてしまった責任を自主的に取る形で村を後にしたのだが、そこにインディカの姿は無かった。

 彼は、やはり残ったのである。

 村に実害が無かったのが幸いし、村人たちにインディカやラディッシュ達を責める気持ちは無かったが、インディカの監督役のターナップと、その上司に当たるラディッシュが自ら責任を取るのに加え、大司祭が彼の再教育を申し出た事で形式上の「手打ち」となり、村に残るのを正式に許されたのである。

 しかし彼は、許される、許されないに関わらず、どの様な謝罪をしてでも村に残る決意をしていた。

 以前の彼であったなら、村から追い出されるのを幸いに「ラディッシュ達について行く」と言い出したであろうが。
 ターナップに諭されたのも大きかったが、現在に至るまでの数々の出来事を顧みて、自らのチカラ不足を痛感し「今のままでは足手まとい」と判断した上で、村に残り、大司祭の指導の下、武闘僧侶としての本格的修行に入る覚悟をしたのであった。

 村を出て数時間経ち、手綱を引くラディッシュが思い出すは、男泣きを必死に堪え見送るインディカの姿。
(辛そうだったなぁ……)
 思わず呟くと、

「何がですの?」

 隣のドロプウォートに顔を覗き込まれ、
(声に出ちゃってたぁ?!)
 ラディッシュは自省しながら、
「彼が寂しそうだったなって思ってさ」
 少し悲し気な笑みを見せると、

「気持ちは理解出来ますが、それも含めて「彼が決めた事」なのですわぁ」
「そう、なんだよね」

 ラディッシュの頷きに、ドロプウォートの反対に座るニプルウォートも、
「そぅ言う事さぁ。過保護は良くないのさぁ♪」
 笑みを見せ、
「それはそうと……」
 ドロプウォートと同時に、荷台の方に振り返り、

『『なんで(貴方・オメェ)は(居ますの・居やがる)!』』

 二重奏の批判に、

『ケチケチすんじゃなぁいさぁねぇ細かい女たちさねぇ~んなぁこっちゃぁ男ぁ逃げるよぉ?』

 皮肉笑いを返したのは、当たり前の顔して荷台に座るイリス。
 チィックウィードのおねだりで、パストリス、ターナップ、カドウィードも交え、カードゲームに興じていた。

 子供の御遊びに付き合う気は無いと、当初は渋っていた彼女であったが、カドウィードの煽りに、いとも容易く乗せられ、一度始めた途端に「負けず嫌い」が顔を出し、

『もぅ一回さぁねぇ!』

 今のゲームで何度目か。
 しかし勝負は幼いチィックウィードの連戦連勝、

「ムフフぅ、ヨイなぁおぅ♪」

 すっかり女王様気取りの彼女に、
「くぅ~っ! 次は負けないさぁねぇ!」
 最下位まい進中ながらも気合だけは十分、気持ちは折れないイリスに、苦笑のパストリス、ターナップとカドウィード。

 和気あいあいと言えなくも無い空気を、ラディッシュは「ハハハ」と笑いながら、
「イイんじゃないかなぁ~みんな退屈しなくてぇ♪」
 その笑顔に、

「「…………」」

 少々納得がいかない、ドロプウォートとニプルウォート。
 何故にイリスが居るのか、話は昨日に遡る。
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