ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-36

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 彼女の一食に対する「想い入れの強さ」は感嘆に値する物であり、ラディッシュは「何か協力してあげたい」と思い、

「因みに「イリスさん」の探している、」
「イリィ」
「へ?」
「アタシの事ぁ「イリィ」で構いやしないよぉ。因みに「さん付け」も不要さぁねぇ」
「…………」

 つっけんどんながらも、ざっくばらんな物言いに、そこはかとなく懐かしさを感じた彼は、
「分かったよ、イリィ♪」
 笑顔で答えつつ、

「それで、イリィの探してる料理人って、どんな人なの?」
「どんな?」
「えと……例えば容姿とか、服装とか、特徴とか?」
「そぅさぁねぇ……」

 イリスは腕組みして黙考すると、
「アタシの集めた情報じゃぁ、ソイツはイケメンで……何人もの「趣向の違う女」を連れ歩いていて……連れているにも関わらず、行く先々の村や町で女と見れば手当たり次第に毒牙に掛けて、ヤリ逃げ放題。最っ低野郎らしいんだがぁねぇ、料理人としての腕は天下一品らしいのさぁねぇ♪」
(((((((…………)))))))
 何処かで聞いた様な、見た様な、誰かの話が交じっている様な、複雑な感覚に陥るラディッシュたち勇者組。

(((((((まさか……ね……)))))))

 自分たちの話に尾ヒレがついて、僻みも混じって広がっている可能性に苦笑していると、
「…………」
 イリスが物言いたげな顔してラディッシュを見つめ、
「い、イリィ? なっ、何かぁ?」
 しどろもどろで尋ねる彼に、

「そぅ言やぁ~」

 彼女は品定めでもするように、
「アンタも、趣向の違う女を何人も侍(はべ)らせてると思ってねぇ~」
 ギクリとしたラディッシュは、苦笑でお茶を濁しながら、

「はっ、侍らせるなんてぇそんなぁ~彼女たちに失礼だよぉ。そっ、それに僕たちは勇者パーティーなんだからぁ~♪」
「ふぅ~ん」

 些か腑に落ちない様子を見せる彼女は、
「まぁ「ぱーてー」ってのが何なのか、アタシぁ知らないけどさぁねぇ~」
 前置きした上で、からかうようにニッと笑って、

「アンタも十分、一部の連中の悪評を買ってるようだけどさねぇ♪」
「へ?!」
「なんだ、知らないのかい? 侍(はべ)らせた女にばかり戦わせて、自分は「夜の床(とこ)」でしか戦わない「淫乱勇者」だってぇねぇ~♪」

『い、いんらぁん勇者ぁ?!』

 それが妬みや嫉み、嫉妬に端を発する悪言であるのは容易に推察できたが、それでも中世の為に戦っている身としては、ショックを受けずに居られなかった。
 しかし、落ち込む彼以上に、

「ラディを淫乱、呼ばわりぃ……」

 わなわなと、怒りに打ち震えたのはドロプウォートを始めとする仲間たち。
 刀の柄に手を掛け、

『下郎ッ叩き斬るベシッ!』

 鬼神の如く両眼を光らせると、
「おぉ~とぉアタシを斬んじゃないだろうさぁねぇ♪ アタシが言ったんじゃないさぁんねぇ♪」
 イリスはおどけて見せながら、腹の中で、

(コイツ等ぁ「イジリ甲斐がある連中」さぁねぇ~♪)

 ラディッシュ達との出会いを、ある意味で喜んでいた。

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