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第六章
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買い物を済ませて続々と宿の部屋に戻る仲間たち――
ラディッシュが購入予定リストと照らし合わせて漏れが無いか確認をしていると、
バァン!
扉が勢いよく開き、
『たっ、大変なのでぇす!』
医薬品の買い出しに、チィックウィードと出ていた筈のパストリスが血相を変えて飛び込んで来て、
「チィちゃんがガラの悪い連中に連れ去られたらしいのでぇす!」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
「ボクが、ちょっと目を離した隙に居無くなってぇ! 探したら「連れ去られるのを見た」ってオジサンが居たのでぇす!」
「「「「「「!」」」」」」
真っ先に、頭に浮かんだのはアクア国の冒険者たち。
((((((ヤバイぃ!))))))
仲間たちは青ざめ、
「とぉっ、とにかく探しに行こうよぉ!」
ラディッシュが部屋から駆け出すと、
「おうさねぇ! まごまごしてると殺されっちまうさねぇ!」
イリスも部屋から駆け出し、緊迫を纏ったドロプウォート達も続いて駆け出し、
≪チィちゃんに!≫
幼子に適切に処理された、アクア国の冒険者たちの「哀れな末路」を想像し。
その頃のチィックウィードはと言うと――
スティック状のお菓子を手に、
「なぉ♪」
上機嫌。
違法村の村はずれにある、森にひっそり佇むあばら屋の、薄暗い一室に居た。
ラディッシュ達が予想した通り、アクア国の冒険者たちに囲まれて。
大人しく菓子を食べる幼子を横目に、
「うまくいったっスねぇ、流石はリーダー♪」
ニヤケる仲間に、気を良くした頭目は愉快そうに笑いながら、
「ハッハッハッ♪ 楽勝よ楽勝♪ 当たり前ぇだろぅ♪」
すると頭目に「辛気女(しんきおんな)」と言わしめた仲間の女性が、通常モードの暗い顔して淡々と、
「幼児を誘拐して、餌にして、アノ女と交換にする。正にクズなのよねぇ~」
それは批判か、称賛か、判断のつかない表情と物言いではあったが、後ろ暗さのある頭目は、
「うっ……」
批判されていると捉え、
「う、うっるせぇな! 依頼を完遂できりゃぁ経過は何でも構わねぇだろが!」
キレ気味の声を上げ、傍らのチィックウィードに視線を移した。
しかし、
「…………」
手にしたお菓子を平然と、何食わぬ笑顔で食べ続ける幼女の姿に、
「このガキぁ……この状況が怖くはねぇのかぁ?」
「「「「「…………」」」」」
正直な話で、仲間の冒険者たちも薄気味悪さを感じてはいた。
そんな折に唐突に、
{依頼はどうなっている}
男性と女性の声が合成されたような「異質な声」が背後から。
『『『『『うわぁ?!』』』』』
跳ねるように驚き振り向く頭目たち。
そこに立って居たのは、頭からローブを被った何者か。
薄暗闇に佇む、その「異様な姿」もさることながら、入り口から扉を開けて入って来た気配もなく現れたのだから、彼ら、彼女たちが驚いたのも無理からぬ話。
(あ、相変わらず気味が悪ぃぜぇ……)
頭目は額の冷や汗を拭いつつ、愛想笑いの低姿勢で、
「じゅ、順調でさぁリクエスターさん♪ 今もこのガキを餌にアノ女を呼び寄せてぇ……」
説明するも、
「…………」
幼女チィックウィードをジッと見つめているように見えるローブの人物に、
「あ、あの……リクエスターさん? このガキが、何かぁ?」
するとリクエスターと呼ばれたその人物は、緊張感が漂う中で平然とお菓子を食べ進める彼女を見下ろしたまま、淡々と、
{無用の長物だ}
「「「「「「へ?」」」」」」
意味が分からないと言った顔する頭目たちを前に、
シャキィーーーン!
「「「「「「!!!」」」」」」
ローブの端から短刀の刀身を。
『り、リクエスターさぁん♪』
咄嗟に声を上げる頭目。
幼子を手に掛けるのは流石に良心が痛み、
「な、何もぉそこまでする事ぁ~♪」
愛想良く、思い留まらせようと試みた次の瞬間、薄暗い室内に一瞬の光跡が走り、
『ッ!?』
彼の首元に刃先がピタリと止められ、
{依頼したのは「アノ女ダケ」だ。計画に不要なモノは抹消する}
「そっ……」
何の躊躇いも感じられない物言いに、
(ま、まともじゃねぇ……)
思わず息を呑む。
すると頭目の命の危機を感じた仲間たちは、
「り、リーダーぁ。依頼主には逆らわない方が良いっスよぉ」
助け舟を出すと同時、反抗の意思が無いのをアピール。
すると頭目も折れ、
「わ、分かった……」
頷きにリクエスターは刃を戻し、変わらぬ笑顔でお菓子を食べ続けるチィックウィードに視線を戻すと、
{…………}
無言のまま、
ヒュゥン!
刀身から風切り音を鳴らし、彼女を一閃。
「「「「「「ひぃ!」」」」」」
思わず顔を背ける頭目たち。
無残に斬り殺された幼女の亡骸を思い。
しかし、
『オショクジちゅうにあそんじゃダメって、ママにおそわらなかったなぉ♪』
リクエスターや頭目たちの背後から、呆れ笑いの声がし、
{!?}
「「「「「「!?」」」」」」
驚き振り返ると、そこにはいつ、どうやって移動したのか、お菓子を手にしたチィックウィードの笑顔があった。
ラディッシュが購入予定リストと照らし合わせて漏れが無いか確認をしていると、
バァン!
扉が勢いよく開き、
『たっ、大変なのでぇす!』
医薬品の買い出しに、チィックウィードと出ていた筈のパストリスが血相を変えて飛び込んで来て、
「チィちゃんがガラの悪い連中に連れ去られたらしいのでぇす!」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
「ボクが、ちょっと目を離した隙に居無くなってぇ! 探したら「連れ去られるのを見た」ってオジサンが居たのでぇす!」
「「「「「「!」」」」」」
真っ先に、頭に浮かんだのはアクア国の冒険者たち。
((((((ヤバイぃ!))))))
仲間たちは青ざめ、
「とぉっ、とにかく探しに行こうよぉ!」
ラディッシュが部屋から駆け出すと、
「おうさねぇ! まごまごしてると殺されっちまうさねぇ!」
イリスも部屋から駆け出し、緊迫を纏ったドロプウォート達も続いて駆け出し、
≪チィちゃんに!≫
幼子に適切に処理された、アクア国の冒険者たちの「哀れな末路」を想像し。
その頃のチィックウィードはと言うと――
スティック状のお菓子を手に、
「なぉ♪」
上機嫌。
違法村の村はずれにある、森にひっそり佇むあばら屋の、薄暗い一室に居た。
ラディッシュ達が予想した通り、アクア国の冒険者たちに囲まれて。
大人しく菓子を食べる幼子を横目に、
「うまくいったっスねぇ、流石はリーダー♪」
ニヤケる仲間に、気を良くした頭目は愉快そうに笑いながら、
「ハッハッハッ♪ 楽勝よ楽勝♪ 当たり前ぇだろぅ♪」
すると頭目に「辛気女(しんきおんな)」と言わしめた仲間の女性が、通常モードの暗い顔して淡々と、
「幼児を誘拐して、餌にして、アノ女と交換にする。正にクズなのよねぇ~」
それは批判か、称賛か、判断のつかない表情と物言いではあったが、後ろ暗さのある頭目は、
「うっ……」
批判されていると捉え、
「う、うっるせぇな! 依頼を完遂できりゃぁ経過は何でも構わねぇだろが!」
キレ気味の声を上げ、傍らのチィックウィードに視線を移した。
しかし、
「…………」
手にしたお菓子を平然と、何食わぬ笑顔で食べ続ける幼女の姿に、
「このガキぁ……この状況が怖くはねぇのかぁ?」
「「「「「…………」」」」」
正直な話で、仲間の冒険者たちも薄気味悪さを感じてはいた。
そんな折に唐突に、
{依頼はどうなっている}
男性と女性の声が合成されたような「異質な声」が背後から。
『『『『『うわぁ?!』』』』』
跳ねるように驚き振り向く頭目たち。
そこに立って居たのは、頭からローブを被った何者か。
薄暗闇に佇む、その「異様な姿」もさることながら、入り口から扉を開けて入って来た気配もなく現れたのだから、彼ら、彼女たちが驚いたのも無理からぬ話。
(あ、相変わらず気味が悪ぃぜぇ……)
頭目は額の冷や汗を拭いつつ、愛想笑いの低姿勢で、
「じゅ、順調でさぁリクエスターさん♪ 今もこのガキを餌にアノ女を呼び寄せてぇ……」
説明するも、
「…………」
幼女チィックウィードをジッと見つめているように見えるローブの人物に、
「あ、あの……リクエスターさん? このガキが、何かぁ?」
するとリクエスターと呼ばれたその人物は、緊張感が漂う中で平然とお菓子を食べ進める彼女を見下ろしたまま、淡々と、
{無用の長物だ}
「「「「「「へ?」」」」」」
意味が分からないと言った顔する頭目たちを前に、
シャキィーーーン!
「「「「「「!!!」」」」」」
ローブの端から短刀の刀身を。
『り、リクエスターさぁん♪』
咄嗟に声を上げる頭目。
幼子を手に掛けるのは流石に良心が痛み、
「な、何もぉそこまでする事ぁ~♪」
愛想良く、思い留まらせようと試みた次の瞬間、薄暗い室内に一瞬の光跡が走り、
『ッ!?』
彼の首元に刃先がピタリと止められ、
{依頼したのは「アノ女ダケ」だ。計画に不要なモノは抹消する}
「そっ……」
何の躊躇いも感じられない物言いに、
(ま、まともじゃねぇ……)
思わず息を呑む。
すると頭目の命の危機を感じた仲間たちは、
「り、リーダーぁ。依頼主には逆らわない方が良いっスよぉ」
助け舟を出すと同時、反抗の意思が無いのをアピール。
すると頭目も折れ、
「わ、分かった……」
頷きにリクエスターは刃を戻し、変わらぬ笑顔でお菓子を食べ続けるチィックウィードに視線を戻すと、
{…………}
無言のまま、
ヒュゥン!
刀身から風切り音を鳴らし、彼女を一閃。
「「「「「「ひぃ!」」」」」」
思わず顔を背ける頭目たち。
無残に斬り殺された幼女の亡骸を思い。
しかし、
『オショクジちゅうにあそんじゃダメって、ママにおそわらなかったなぉ♪』
リクエスターや頭目たちの背後から、呆れ笑いの声がし、
{!?}
「「「「「「!?」」」」」」
驚き振り返ると、そこにはいつ、どうやって移動したのか、お菓子を手にしたチィックウィードの笑顔があった。
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