ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-83

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 幼子は平然と、残りを一口でパクリと食べ、モグモグしながら飲み込むと、

「チィは、おそわったなぉ♪」

 笑顔を怯え顔に急変させ、
「ヤサシイめをした、ツメタイこえのママ(ドロプウォート)から、こっぴどぉくぅ……」
 説教を受けた当時を思い出して身震いしたが、人知を超えたチカラの断片を目の当たりにした頭目たちは、それどころではない。

((((((い、いつの間にぃ後ろにぃ?!!!))))))

 自分たちがかどわかして来た幼子から感じていた違和感が現実の物となった瞬間であり、曲がりなりにも冒険者である経験が、直感が、彼ら、彼女たちに告げる、

≪コイツ等はヤベェ!≫

 そう思った矢先、
{ハァ―ハッハッハ!}
 リクエスターが高笑い、

((((((?!))))))

 慄く頭目たちを尻目に、
{やはり、ただの稚児ではナイと言う訳か。オモシロイッ!}
 言い終わるが先か、剣を素早く真横に一閃。

 しかし紙一重に近い、上体反らしのみでかわすチィックウィード。

 驚きも慄きもせずニカッと笑って右拳に白銀の輝きを宿すと、小屋の横壁を細腕一本で、

 ドォバカァアーーーン!

 苦も無く派手にブチ抜き、
「オショクジおわったからぁ、すこしアソンデあげるなぉ♪」
 おっとりがてら外に出ると、

{オモシロイですねぇ実にオモシロイ♪}

 リクエスターも釣られる様に外へと出て行き、
「「「「「「…………」」」」」」
 呆気に取られるアクア国の冒険者たちであったが、真っ先にハッと正気を取り戻した一人が、

『り、リーダーぁ逃げよう! 騒ぎが大きくなって人が集まる前にぃ!』

 すると頭目も、この機を逃すまいと、

「だな! 巻き添え食って警備隊にでも捕まっちまったら強制送還だ!」

 もっともらしい理由を引き合いに頷き合い、

『全員ずらかるぞぉ!』

 仲間たちと共に、お楽しみの二人が居るのと反対方向へ逃げ出した。
 しかし、そんな事などお構いなし、

「オジサンなかなかヤルなぉ♪」
{偽装を施しているのに性別まで見破りますか?}

 互いに武器を手に激しく交錯しながら、

「それダケじゃないなぉ♪」
{ん?}
「チィにはぁオジサンがダレなのかも、わかってるなぉ♪」
{ふっふっふっ。七草に「名を連ねる」は、伊達ではナイようですね}

 リクエスターも、彼女が何者であるか知っている口振りを見せながら刃を繰り出し、
{オモシロイ! オモシロイですよ、キミィは!! 少し本気を出したくなりました!!!}
 高揚した口調と共に、斬撃の速さ、鋭さを急に増した一刀を放ち、

 ギャリィリィリィーーーン!

 両手の暗器を交差させ受け止めるチィックウィードではあったが、
『オモイ、なぉお?!』
 チカラを受け止めきれず弾き飛ばされ、

{今の一撃を受け止めますか♪}

 悦に入った様子のリクエスター。
 すかさず追撃に入りながら、

{主(あるじ)の命(めい)とは言え「アノ女の企て」に気乗りがしなかったのですが、気が変わりました!}

 楽しさを溢れさせながら、空中で体勢を立て直し着地したばかりの彼女に、更なる一刀を浴びせ掛け、
{あの女の事も、中世も、天世も、全てが詰まらなかったァ! しかし今はッ!}
 その一撃がかわされるや否や、そこから連撃連撃連撃連撃。
 素早くかわし続けるチィックウィード。

 しかし次第に回転数を上げ行くリクエスターの連撃に、
「オジサン、ツヨイなぉ♪」
 分の悪さを明るい口調で口にした途端、彼女の内側から、

{{チィじゃマケル(なんぉ・なんのぉ)}}
(!)

 声にハッとする中、リクエスターは一瞬の鈍りを見逃さず、
{どうしましたぁ、もぅお疲れですかぁ?! そんな筈はありませんよねぇ!!!}
 歪んだ意味合いでの信用を示し迫る。
 その一刀は大振りながらも素早く、

{受け止めて見せて下さいよ小娘ぇーーーッ!}

 幼き小さな体に、致命傷となり得る一撃を容赦なく叩き込もうとした。
 しかし、

{ッ!?}

 微かに動いた彼女の口元に悪寒を覚え咄嗟に身を翻す。
 それは第六感とでも言うモノか。
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