ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-89

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 話はラディッシュ達に戻り――
 
 関所に辿り着いた一行は目の当たりにした光景に、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
 言葉を失っていた。
 関所の現状を一言で表現するならば、

≪閑散≫

 国の境でありながら活気が無く、そもそも入国待ちの人の姿が皆無で、今まで立ち寄った国々を思い返せば、あり得ぬ光景であった。
 思い当たる節は、ただ一つ。

≪天世から「罰を受けた国」だから≫

(みんながみんな悪い訳じゃないのに……)

 ラディッシュ達は世間の風の冷たさに寂しさを覚え、明日は我が身(祖国)かと、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
 一様に無言になる。
 そんな矢先、

『そこの馬車ぁ止まれぇーーーっ!』

 関所内から警備の兵士たちが続々と、槍を手に手に近づいて来た。
 数少ない訪問客に対する、少々上から目線の物言いに、

(…………)

 多少引っ掛かりを覚えるラディッシュではあったが、
(でも、警備の兵士の腰が低くいのは良くないよなぁ。だって、国の入り口を守る番人なんだから)
 思い改め、敬意を以て指示に従い馬車を止めた彼に対し、

(チッ)

 小さく舌打ちする兵士B。
 他の兵士たちも口にこそ出さなかったが、目は口ほどに物を言う。
 彼らの眼は雄弁に語っていた、

≪貴族紋章付きの馬車で女に囲まれてぇ、いったい何処のボンボンだぁ?!≫

 迷惑と僻みの色がありありと感じられ、
(((((((ッ!)))))))
 イラッとする勇者組(※ラディッシュを除いた)。

 当の本人は「それが彼らの仕事」と割り切った上に、自身の気弱から「下に見られても止む無し」と思っていたので仲間たちの苛立ちに苦笑していると、異世界勇者を「金持ち貴族の御曹司」と思い込む兵士たちは尊大な物言いで、

『サッサと手形を出せぇ!』
(((((((コイツらッ!!!)))))))

 怒りのギアを更に一段上げる仲間たち(※ラディッシュを除いて)。
 今にも飛び掛からんとする複数の気配を背で感じたラディッシュは、兵士たちに対する愛想笑いでソレらを制しつつ、

「すっ、済みませぇん♪ 確認をぉお願いしますぅ♪」

 仏頂面した兵士たちに差し出した。
 それはカルニヴァ王から直々に拝領した手形であり、地世に行く方法を探している本音を語った後、覚悟に感銘を受けた王から、

≪何かの折に役立てよ≫

 直々に手渡された品。
 天世より命を受けし四国同盟が一つ、カルニヴァ国。
 その効果は言わずもがな絶大で、

((((((かぁっ、カルニヴァ王の手形ぁあぁぁあッ!!!))))))

 腰を抜かさんばかりに驚愕する兵士たち。
 ガタガタと激しく震えだし、顔から血の気が一気に引くと同時、

『『『『『『済みましぇぇんでしたぁーーーーーーッ!』』』』』』

 真っ青な顔して一斉土下座。
 平身低頭、何度も頭を下げ上げ。
 あまりの態度の落差にラディッシュは慌てに慌て、

「あっ、頭を上げて下さぁいぃ皆さぁん! 国防の要である皆さんが強気で居なければいけないのは重々理解しているつもりですからぁ♪」

 その寛大さが、

((((((うぅっ……))))))

 むしろ心に痛かった。
 不遜な態度の素が「単なる僻み」であったから。

 しかし、彼らの「そんな心の痛み」に気付かぬラディッシュは良かれと思い、
「皆さんが「僕みたいな弱気」で居たら、悪党が次々やって来てしまいますもんねぇ♪」
 キラキラとした笑顔を見せ、褒められれば褒められるほど、

((((((…………))))))

 傷口に塩。
 もう勘弁してと言わんばかりの涙目が、流石に気の毒に思えて来たドロプウォート達は無自覚な褒め殺しに、
「「「「「「「もぅ、そのヘンで」」」」」」」
 困惑笑いの苦言を呈し、

『へ?!』
(何で僕が止められたの?)

 ラディッシュは意味が分からず、キョトンとした。

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