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第六章
6-97
仲間たちが何かに息を呑む一方で、何も感じられない置いてけ堀のイリス。
怪訝な顔して、
「何だい何だいアンタ達ぁ何かあるのさねぇ? ここは王族しか入れない通路さぁねぇ? 何もある筈が、」
無いと断言しようとした言葉は口から出るより先、進行方向数十メートル先、弱い照明下の仄暗い闇に浮かぶ、幾つもの「赤黒い光」の存在に、
「いッ!?」
打ち消された。
それは言わずもがな、
『『『『『『『『オセンジュウぅうぅ!!!』』』』』』』』
驚愕の声を上げると、薄暗闇の中から赤黒い目の主である「多種多様な汚染獣」の方々が犬歯や鋭い爪を剥き出し一斉に駆け迫り、
『王族しか入れないんじゃなかったのぉ!!!』
泣き喚くラディッシュに、
『コッチが訊きたいさねぇ!!!』
泣き喚き返すイリス。
モメ始める二人に血相を変えたドロプウォートはすかさず、
『言い合いしている場合ですわのぉお!!!』
苦笑の苦言を呈して戦陣に駆け立ち、
「迎え討ちますわぁ!」
刀の柄に手を掛けた。
しかし、
「!?」
ここは空間的な融通が利かない地下通路。
『刀が振るえませんのですわぁあぁぁ!』
頭を抱えたが、急激に迫りつつある汚染獣の群れに焦りを覚えた彼女は眼の色を変え、
『なればァア!!!』
気合いを込めて右手を振りかざし、
『全てを燃やし尽くすまでなのですわァ!!!』
盛大な天技を発動させようと構えた。
先に呈された苦言も忘れた、暴走寸前の彼女に、
『ナニしようとしてるさねぇーーーッ!!!』
激昂するイリス。
慌てて首根っこを掴んで強引に引っ張り、
『このぉお大馬鹿ぁ! 揃ってドザエモンになりたいさねぇ!』
泣き笑いで説教すると、自身の迂闊さに気付いたドロプウォートは迂闊を誤魔化す為に、
『でぇ、でしたらぁどうしろとぉでもぉ!!!』
正に逆ギレ。
しかし今は「罵り合い」をしている場合ではない。
イリスは迫りつつある汚染獣の群れを見据え、
『そんなモンは決まってるさねぇえ!!!』
毅然と咆哮すると、
「逃げるが勝ちさねぇ」
真っ先に枝道へと逃げ込んだ。
『『『『『『『ちょっぉおぉお?!!!』』』』』』』
慄くラディッシュ達。
迷宮のように入り組んだ地下道で案内人とはぐれては、汚染獣から逃れられても、はぐれた時点でイコールの「死」。
勇者組は迫る数多(あまた)の敵を前に、討伐の職責も忘れ、
『『『『『『『おいてくなぁーーーーーーッ!!!』』』』』』』
逃げた彼女の背を一斉に追った。
薄暗い地下迷宮の中を全力疾走するイリスと、その背を見逃さないよう懸命に追う勇者一行。
その後方には、卑しい唾液を垂れ流し迫る汚染獣の群れ。
≪世界を護る勇者たちにとって屈辱的光景≫
ではあったが、そのような体裁を気にしている場合では無い。
イリスを先頭に地下迷宮を駆け回り、一つ目の角を曲がると新た群れに遭遇、二つの角を曲がると更に新たな群れと遭遇し、遭遇と逃走を繰り返しながら、
『群れがぁどんどんどんどん大きくなって来てるんですけどぉおぉーーーっ!!!』
泣き喚く勇者と、
『ウッサイさねぇ! ヤツ等の糞になりたくなかったら死に物狂いで走るさねぇ!!!』
品の無い物言いで叫ぶ、一国の姫君。
いつか何処かで見た光景ではあったが、今は感傷に浸る余裕も無ければ、懐古する余裕も無い。
正に命懸け。
しかしそんな状況下にありながら、
「オニゴッコなぉ♪ オニゴッコなぉ♪」
同人誌作業で目にした一場面の再現に、喜び走るはチィックウィード。
娘(仮)の「場違いな喜びよう」に、
「喜んでる場合ですわのぉーーーっ!」
流石の母(仮)も苦笑の苦言を呈すと、
『外に出るさねぇーーーっ!』
イリスが必死の声を上げ、
「「「「「「「!」」」」」」」
一行は遂に外へと飛び出し、飛び出すと同時、
『コイツ等を外に出す訳にはいかない出口を潰さねぇーーー!』
彼女の叫びに仲間たちは即座に、
≪天世より授かりし恩恵を以て、我が眼前の敵を打ち滅ぼさん!≫
合唱するように前小節を叫んで、その身を白銀の輝きに包むと、
『あっ、ちょっとぉ皆ぁ待ってぇ!』
制止を口にしたラディッシュに気付く余裕も無く、各々天技を以て出入り口を破壊した。
中でも突出した一撃を見舞ったのは、言わずもがな。
【ドロプウォート】
元よりスペックが高い彼女は、本人的に通常レベルのつもりであっても破壊力は抜群。
そこへ来て焦りも加わり、仲間たちは出入り口を崩落させて汚染獣たちが出て来られない程度で済ますつもりであったが、彼女は毎度の如くチカラが入り過ぎ、放った一撃は地下通路を維持する「補強の天技」をも破壊。
支えであった天法を失った通路は「衝撃と外圧」に耐え兼ね、見るも無残。
『『『『『『『『・・・・・・』』』』』』』』
唖然と見つめる勇者たちの前で弱いところから連鎖的に大崩落を起こし、謎の汚染獣の群れ共々、多量の土砂と水に瞬く間に没した。
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
誰も、何も言わないしばしの沈黙中、
『またぁまたぁやり過ぎてしまいましてですわぁあぁぁっぁあぁーーー』
頭を抱えるドロプウォート。
とは言え秘密の地下通路の崩落現場で、いつまでも落ち込んでいる場合では無く、
「反省するなら後にするさねぇ! 早くここからずらかるんだよぉ!」
イリスは凹む彼女の腕を引っ張り上げながら、
「こんな所ぉ誰かに見られたらぁ密入国の意味が無くなっちまうさねぇ!」
「「「「「「「!」」」」」」」
ラディッシュ達はイリスを先頭に脱兎の如く、その場から逃走した。
怪訝な顔して、
「何だい何だいアンタ達ぁ何かあるのさねぇ? ここは王族しか入れない通路さぁねぇ? 何もある筈が、」
無いと断言しようとした言葉は口から出るより先、進行方向数十メートル先、弱い照明下の仄暗い闇に浮かぶ、幾つもの「赤黒い光」の存在に、
「いッ!?」
打ち消された。
それは言わずもがな、
『『『『『『『『オセンジュウぅうぅ!!!』』』』』』』』
驚愕の声を上げると、薄暗闇の中から赤黒い目の主である「多種多様な汚染獣」の方々が犬歯や鋭い爪を剥き出し一斉に駆け迫り、
『王族しか入れないんじゃなかったのぉ!!!』
泣き喚くラディッシュに、
『コッチが訊きたいさねぇ!!!』
泣き喚き返すイリス。
モメ始める二人に血相を変えたドロプウォートはすかさず、
『言い合いしている場合ですわのぉお!!!』
苦笑の苦言を呈して戦陣に駆け立ち、
「迎え討ちますわぁ!」
刀の柄に手を掛けた。
しかし、
「!?」
ここは空間的な融通が利かない地下通路。
『刀が振るえませんのですわぁあぁぁ!』
頭を抱えたが、急激に迫りつつある汚染獣の群れに焦りを覚えた彼女は眼の色を変え、
『なればァア!!!』
気合いを込めて右手を振りかざし、
『全てを燃やし尽くすまでなのですわァ!!!』
盛大な天技を発動させようと構えた。
先に呈された苦言も忘れた、暴走寸前の彼女に、
『ナニしようとしてるさねぇーーーッ!!!』
激昂するイリス。
慌てて首根っこを掴んで強引に引っ張り、
『このぉお大馬鹿ぁ! 揃ってドザエモンになりたいさねぇ!』
泣き笑いで説教すると、自身の迂闊さに気付いたドロプウォートは迂闊を誤魔化す為に、
『でぇ、でしたらぁどうしろとぉでもぉ!!!』
正に逆ギレ。
しかし今は「罵り合い」をしている場合ではない。
イリスは迫りつつある汚染獣の群れを見据え、
『そんなモンは決まってるさねぇえ!!!』
毅然と咆哮すると、
「逃げるが勝ちさねぇ」
真っ先に枝道へと逃げ込んだ。
『『『『『『『ちょっぉおぉお?!!!』』』』』』』
慄くラディッシュ達。
迷宮のように入り組んだ地下道で案内人とはぐれては、汚染獣から逃れられても、はぐれた時点でイコールの「死」。
勇者組は迫る数多(あまた)の敵を前に、討伐の職責も忘れ、
『『『『『『『おいてくなぁーーーーーーッ!!!』』』』』』』
逃げた彼女の背を一斉に追った。
薄暗い地下迷宮の中を全力疾走するイリスと、その背を見逃さないよう懸命に追う勇者一行。
その後方には、卑しい唾液を垂れ流し迫る汚染獣の群れ。
≪世界を護る勇者たちにとって屈辱的光景≫
ではあったが、そのような体裁を気にしている場合では無い。
イリスを先頭に地下迷宮を駆け回り、一つ目の角を曲がると新た群れに遭遇、二つの角を曲がると更に新たな群れと遭遇し、遭遇と逃走を繰り返しながら、
『群れがぁどんどんどんどん大きくなって来てるんですけどぉおぉーーーっ!!!』
泣き喚く勇者と、
『ウッサイさねぇ! ヤツ等の糞になりたくなかったら死に物狂いで走るさねぇ!!!』
品の無い物言いで叫ぶ、一国の姫君。
いつか何処かで見た光景ではあったが、今は感傷に浸る余裕も無ければ、懐古する余裕も無い。
正に命懸け。
しかしそんな状況下にありながら、
「オニゴッコなぉ♪ オニゴッコなぉ♪」
同人誌作業で目にした一場面の再現に、喜び走るはチィックウィード。
娘(仮)の「場違いな喜びよう」に、
「喜んでる場合ですわのぉーーーっ!」
流石の母(仮)も苦笑の苦言を呈すと、
『外に出るさねぇーーーっ!』
イリスが必死の声を上げ、
「「「「「「「!」」」」」」」
一行は遂に外へと飛び出し、飛び出すと同時、
『コイツ等を外に出す訳にはいかない出口を潰さねぇーーー!』
彼女の叫びに仲間たちは即座に、
≪天世より授かりし恩恵を以て、我が眼前の敵を打ち滅ぼさん!≫
合唱するように前小節を叫んで、その身を白銀の輝きに包むと、
『あっ、ちょっとぉ皆ぁ待ってぇ!』
制止を口にしたラディッシュに気付く余裕も無く、各々天技を以て出入り口を破壊した。
中でも突出した一撃を見舞ったのは、言わずもがな。
【ドロプウォート】
元よりスペックが高い彼女は、本人的に通常レベルのつもりであっても破壊力は抜群。
そこへ来て焦りも加わり、仲間たちは出入り口を崩落させて汚染獣たちが出て来られない程度で済ますつもりであったが、彼女は毎度の如くチカラが入り過ぎ、放った一撃は地下通路を維持する「補強の天技」をも破壊。
支えであった天法を失った通路は「衝撃と外圧」に耐え兼ね、見るも無残。
『『『『『『『『・・・・・・』』』』』』』』
唖然と見つめる勇者たちの前で弱いところから連鎖的に大崩落を起こし、謎の汚染獣の群れ共々、多量の土砂と水に瞬く間に没した。
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
誰も、何も言わないしばしの沈黙中、
『またぁまたぁやり過ぎてしまいましてですわぁあぁぁっぁあぁーーー』
頭を抱えるドロプウォート。
とは言え秘密の地下通路の崩落現場で、いつまでも落ち込んでいる場合では無く、
「反省するなら後にするさねぇ! 早くここからずらかるんだよぉ!」
イリスは凹む彼女の腕を引っ張り上げながら、
「こんな所ぉ誰かに見られたらぁ密入国の意味が無くなっちまうさねぇ!」
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