ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第七章

7-5

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 一夜明けて朝食も済ませて後――

 怖い位の満面の笑顔で、

『ラディ♪ 皆様ぁ♪♪ 行ってらっしゃませなのですわぁ♪♪♪』

 ダイニングから、ラディッシュたちを半ば強制的に送り出すのはドロプウォート。
 その妙に作られた笑顔の背後には、

「「…………」」

 うつむき加減で正座する、オエナンサ夫妻の姿が。
「「「「「「…………」」」」」」
 これから二人に「果てしなきお説教タイム」が待ち受けていると知る仲間たちは、夫妻の助けを求める眼差しから急ぎ逃れるように、

「う、うん♪ さっ、先に行ってるからねぇ♪」

 引きつり気味の笑顔を残して部屋を後にした。
 ダイニングの扉が完全に閉まるまで、仮面のように、
「…………」
 寸分動かぬ笑顔の彼女に見送られながら。

「「「「「「…………」」」」」」

 重い足取りを軽くしてくれたのは、見送りの為にロビーに集まって居た、

『『『『『『『『行ってらっしゃいませ、勇者様方♪』』』』』』』』

 二心を感じさせないメイド達の笑顔。
 ラディッシュ達は少し気分が軽くなった面持ちで屋敷を後にしたが、その直後、背にした屋敷内から、

『ドッ*+$%#“#‘&%$$#ノォーーーーーーッ!!!』

 人語を話していると思えない「ドロプウォートの雷鳴(説教)」が轟き渡り、思わず身を縮めた仲間たちは互いの顔色を窺い合い、
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
 苦笑し合った。
 憐れなる「二人(オエナンサ夫妻)の今」を想い。

 しかし二人がしでかした企てを考えれば、ドロプウォートの激怒も自業自得と言え、ラディッシュは何ごとも「聞こえなかった」かの素振りで抜けるような青空を見上げると、

『じゃあ行こうかぁ♪』

 オエナンサ邸の大門を通り、六人が向かった先は、
≪貴族街にある同人誌専門店≫
 以前にオエナンサ夫人の薦めで女性陣が訪れた、同人誌専門店とは思えぬ豪奢で。煌びやかな佇まいを持った、例の店である。
 初見参(ういけんざん)となるチィックウィードと、彼女の手を引くラディッシュ、そしてターナップ。
 想定を超えた店構えを目の当たりにした男子組は、

「「…………」」

 唖然と店を見上げ、

「こ、この店って……同人誌で描いた「コスメショップ」って、お店じゃないよねぇ……タープ……」
「そ、そぅっすね……フルール国の即売会場たぁ、エライ違い……っスね……」

 幼きチィックウィードも満面の笑顔で、

「ホンやさぁん、おっきぃなぉお♪」

 驚きを隠せずに居ると、既に「驚きを経験済み」のニプルウォート、パストリス、カドウィードは、三人の驚く様を愉快げに、

「店の前でたむろってると迷惑になるさぁ♪」
「でぇすでぇすよぉ♪」
「早々入るでぇありぃんすぇ♪」

 先輩風を吹かせて入店を促した。
 何故、沼(同人誌)に浸かった信者でもないラディッシュ、チィックウィード、ターナップの三人も、この店に訪れたのか。
 それは朝食中の「何気ない会話」の一つが、きっかけであった。

 自分たちが手掛けた作品が、店から、客から、どの様な評価を受けているのか気になっている類いの話をラディッシュがすると、ターナップも同調。
「「「「!」」」」
 すかさず信者ドロプウォート、ニプルウォート、パストリス、カドウィードの眼がギラリ。

 それぞれ「自分の沼(好みのジャンル)」に二人を誘い込もうと布教を画策、口八丁手八丁で訪店を促した。
 女子組の思惑など「とうにお見通し」の男子組ではあったが、警戒心より、生真面目にも「手掛けた作品の評価」が気に掛かり、店に行く事を承諾し、現在に至っていた。

 ただし今回は幼きチィックウィードも同伴するが故に、十八禁作品が彼女の眼に触れないよう、特段の配慮をしつつ。
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