ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第七章

7-28

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 次の日の昼下がり――
 
 拠点で作業するラディッシュ達の下に、ニプルウォートが早々と戻って来た。
しかし戻って来るなり、

『どだぁばはぁあぁぁ疲れたぁさぁあぁぁ~~~』

 出来たばかりの簡易寝床にゴロリと寝転がり、
「馬車のありがたみが骨身に沁みた帰りだったさぁ~」
 仰向けで大の字を描いた。
 恥じらいを欠いた大開脚に、

「オナゴが大股開きでぇぁはしたなきぃにぃありんすぇ~」

 妖艶な笑みの苦言を呈すカドウィード。
 しかし彼女は寝転がったまま「シッシッシッ」と笑い、悪びれる様子もなく、

「固ぇ事を言うなさぁ、カディ♪ こっちぁ森ん中を一晩中、ヤバイ汚染獣を避けながら走って来たんだぜぇ~♪」

 すると仕切りの裏でパストリスと保存食を作っていたラディッシュが、騒ぎに気付いて顔を覗かせ、

「お疲れ様ぁ、ニプル♪ 急ぎの報告は無いなら、ゆっくり休んでて♪」

 その笑顔にニプルウォートは沁み沁みと、
(ウチは無事に帰って来れたのさぁ~♪)
 安堵を得て、

「そうかい♪」

 斜に構えた笑みを「シッシッシッ」と笑って見せながら、
「ならぁそうさせてもらうさぁ♪ 作業経過は飯時にでも聞かせてもらうさぁ♪」
 言い終わると同時、

『『え?!』』

 彼女は二人の前で一瞬にして寝落ち。
 その身に、よほどの緊張を強いていたのか「すぅすぅ」と安らかな寝息を立て、無防備な寝顔からは信頼も感じ、

「げにぃ、子供のようにぃありぃんすなぁ~」

 妖艶な笑みの中に嬉しさを滲ませ見つめるカドウィード。
 呆れた言葉とは裏腹の、優しき眼差しに、

(カディも素直じゃないんだからぁ♪)

 からかいを趣味としないラディッシュは揚げ足を取らず、
「それだけ心を許してくれてるって事、なんじゃないかなぁ♪ つまりは「信頼の表れ」みたいな?」
 するとカドウィードは妖艶な笑みに、ニヤリと悪巧みを窺わせながら、

「とは言えにぃ、ありぃんすぇ~? メスがぁ「好いたオス」の前でぇこの無防備は、どぅにぃありんしょうなぁ~?」
「お、「オス」と「メス」ってぇ……」

 思わず苦笑するラディッシュ。
 しかし、
(!)
 彼女の「良からぬ意図」を即座に見抜き、

「いっ、言っておくけどぉ、ぼ、僕は理性的であるつもりだよぉ?!」

 無防備な女性に手を掛ける「信頼を裏切る行為」などしないのを、自己弁護的に主張すると、カドウィードはヤレヤレとでも言いたげに、妖艶に「ふっ」と笑って口元を隠し、
「それはぁ据え膳を食(しょく)す「勇気が無いだけ」でぇ、ありぃんせぇんのかぇ♪」
 からかいを多分に含んだ眼差しではあったが、

「うっ……」

 痛い所を突かれて絶句。
 すると彼女は更に追い込みを掛けるように、

「それを待ってぇるオナゴもぉ居(お)りぃすぇ♪」
(えっ!?)

 意味深な流し目にドキリ。
 傍らで穏やかな寝顔を見せるニプルウォートをチラ見し、

「・・・・・・」

 思わず良からぬ妄想をしてしまったが、
(ッ!)
 カドウィードの妖艶な含み笑いの眼差しに気付き、

(いやいや調子に乗せられるな僕ぅーーーっ!)

 客観的で冷静な判断力を取り戻し、
(これ以上ここに居ると本格的に玩具にされそぉ)
 成人男子の「良からぬ馬脚」を露呈する前にと、早々に逃げを決め込み、

『そ、そうだぁ。僕はぁ料理を火にかけたままだったぁあ』

 棒読み台詞で仕切りの裏へ。
 からかい甲斐のある反応を見せる彼に、

(ほんにぃ飽きぬにぃありぃんすなぁ~♪)

 カドウィードは「クスリ」と小さく笑いながら、爆睡中のニプルウォートに視線を落とし、

(さりとてぇ、此方はぁ此方でぇ色気無しぃ。ニプルも少しはぁ「恋の駆け引き」を覚えてもぉ罰(ばち)ぁ当たりぃんせんにぃ~)
 裏表の無いライバルの姿に、呆れの笑みを見せた。
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