ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第八章

8-53

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 自称ではない「勇者と言う肩書」を持ちながら、危地に飛び込む仲間(ゴゼン)の護衛さえままならないラディッシュ。
 しかし、中世の人々に降り掛かる災いを引き合いに出されては、ゴゼンの身を案じつつも、成り行きを見守るしかなかった。
 何も出来ないジレンマから、苛立ちから、

(だったら僕たち勇者って何なんだよ! 何の為に召喚されたんだよ!)

 未だ誰も明確に答えてくれなかった疑問が、今更ながら重く首(こうべ)を垂れた。

 答えられない理由がそこにあるのは、なんとなく分かっていたが。
 タブー視されているのも。

 分かっていたからこそ強く詰問する事はしなかったのだが、それを理解してなお、
「僕たち百人の勇者って何なんだよ……友達一人も守れないなんて……」
「「「「「「…………」」」」」」
 愚痴っぽい呟きに仲間たちも視線を落とすと、彼の辛い心中を察した天世の二人は、

「「…………」」

 目で会話し、頷き合い、

「良いわ」
「教えてあげるしぃ」
「え?!」

 想定外の展開に驚くラディッシュに、
「「「「「「!?」」」」」」
 勇者組に、覚悟の眼差しを見せるリンドウは、

「三世(天世・中世・地世)を見て来たラディ達には、聞く資格があるのしぃ」

 いつになく真剣な口調で語り始めた。
「知っての通りぃ勇者は「魔王討伐の為に召喚された」っと、言うのは表向きの理由しぃ」
「お、表向き?!」
「ラディぁオカシイと思わなかったいし?」
「何を?」
「どうして「百人」しぃ?」
「え?」
「本気で魔王を討伐して地世を破壊したいならぁ、千でも万でも召喚すれば良いのしぃ」

 改めて問われると、

(((((((たしかに……)))))))

 空の「青さの理由」を問われるが如き、あまりに根本的な話であり、それ故に気にも留めなかった問いに、
「「「「「「「…………」」」」」」」
 勇者組が答えられずに居ると、彼女の問いは重ねて更に、

「百人の天世人の順位付けはぁ、実績と人気票以外はぁ何でぇしてると思うしぃ?」
「「「「「「「…………」」」」」」」

 追い打ちに疑問が深まる七人であったが話の流れから、

『『『『『『『『『『!』』』』』』』』』』

 とある一つの答えに至った。

《百人の天世人の身代わり!》

 百人の勇者の存在とは、言わば「ボードゲームの駒」と同等であった。

 気付いた様子の七人に、リンドウは不敵にニヤリと笑い、

「天世にとってぁ勇者が魔王に勝とうが負けようが、本音はどっちでも良いのしぃ~。魔王軍に対してより得点を上げた者が勝者なのしぃ」
「それなら誓約者は! 誓約者は何の為に、」
「足枷があった方が盛り上がるのしぃ」
「なっ?! で、でも……魔王が天世に攻めて来たら、」
『そう簡単に攻めては来れないわ♪』
「「「「「「「?!」」」」」」」

 ヒレンの笑いを含んだ声に振り向くと、彼女はワルイ顔して、

「戦場になるのは、間にある中世よ」
「「「「「「「ッ!」」」」」」」

 天世に対する不信が決定的な物となる中、

「もう分かると思うけど魔王は邪魔な存在だけど、地世に無くなられては天世も困るのよ」
「天世にとって地世の認識は、要らない者、物を捨てる、都合の良い場所なのしぃ」

 淡々と語る天世の二人に、
「なんで……」
 納得いかないラディッシュ。

「そもそも僕たちは天世のみんなを……中世のみんなを守る為に集められたんじゃないの……」
「それは、ある意味で間違いじゃナイのしぃ」
「?!」
「中世を守る事は「天世を守る事」に繋がるのしぃ」

(それって中世は「天世を守る盾代わり」って意味なんじゃ……)

 この世界の理(ことわり)は、天世を中心に創られていると知る。
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