ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第八章

8-55

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 お祭り騒ぎの一夜が明け――

 朝靄が立ち込める中、大あくびの門兵二人。
「今日から早出の当番なのは分かっていたのに、」
「昨日はついつい騒ぎ過ぎちまったなぁ」
「分かるわぁ~最近じゃ村の近くに汚染獣すら現れないから、」
「つい、なぁ~」
 互いの不摂生を笑い合っていると、

「「!?」」

 視界の利かない靄の奥から、
 ジャリッ、ジャリッ
 ゆっくり、次第に近付く足音が。

 二日酔い気味な二人でこそあったが、

『とっ、止まれぇ!』

『何者だぁ!』

 即座に槍を構え威圧的な声を発したが、近付く足音は歩みを止めず、
 ジャリッ、ジャリッ
「「…………」」
 緊張を増す二人は靄の中に、

((人ぉ?!))

 一人の人影らしき物を見た。
 しかしそのおぼろげながら見え始めた影は、右に、左に、ゆらゆら揺れ動き、人とは到底思えぬ歩みに、
「「…………」」
 息を呑む門兵たち。

 やがて分厚い靄の中から、異様な緊張を強いられる二人の前に姿を現したのは、

『『オンナぁ?!』』

 女性であった。
 何かに襲われたのか、命からがら逃げて来た様子で服はボロボロ、土汚れまみれ、ゾンビさながらヨロめきながら姿を現し、二人の発した声に緊張の糸が切れたかの如く、

 バタッ!

 彼女はその場に倒れ込んだ。
 まるで目に見えないつっかい棒でも外れたかのように。

『『大丈夫か!』』

 慌てて駆け寄る二人はうつ伏せで倒れた女性を抱き上げ顔を見るなり、

『『ッ!』』

 声にならない驚きをした。


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