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第八章
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悲しみを以て諦めを促す仲間たちが、無言で何を訴えているのか、ラディッシュにも分かっていた。
地世の世界の創造主、全知全能の神とでも称すべき初代魔王から、そのチカラの全てを引き継いだプエラリアが行使した地法を、百人も居る天世人の一人でしかない自分に「一朝一夕で真似る」など、不可能であるのを。
それでも彼は彼女が逝ってしまうのを、何もせず、言われた通り、ただ黙って葬送するなど出来なかったのである。
唇の端を噛み締め、
(何か手段はある筈なんだぁ!)
自ら心を鼓舞して顔を上げたが、
「ラディ……」
「!?」
悲し気に首を横に振る、ドロプウォートたち女性陣。
サロワートの真意が、痛いほどによく分かる。
《朽ち果てた姿を「愛する人(ラディッシュ)」には見られたくない》
同じ想いを彼に抱(いだ)く者として。
残された時間も僅かであると。
同じ立場であったなら、間違いなく「同じ願いを口にした」であろう事も。
彼女たちがどれ程の心痛を抱え制しているか、混乱の渦中のラディッシュでも容易に想像でき、
「また……またなのか……また僕は、また…………」
扉の前で無力感と悲しみに苛まれていると、閉ざされた扉の向こうから、
「悲しまないで、ラディ……」
『!』
「アタシは……アンタ達に会えて感謝しているの……」
あえて「ラディッシュの名」を口にせず、
「アンタ達に会っていなかったら、アタシは未だに深い闇の底だったわ……♪」
弱弱しくも、精一杯と思われる明るい声の後、
「もぉ限界……よ……お願い……ラディ……」
声は次第に嗄(しわが)れていき、
「「「「「「「ラディ……」」」」」」」
「パパ……」
ドロプウォート達の悲し気な声に、
「ラディの兄貴……」
ターナップの悲痛に、
「クッ……」
ラディッシュは苦悶の表情で、
「みんな……建物から離れて……」
自身も家屋から距離を取ると、涙を振り払い、
《我がチカラァ! 内なる天世のチカラを以て我は行使す!》
その身を白き輝きに包み、天世人の姿になると右手を扉に向け広げ、すると、
『!』
悲しみに暮れるその手に、仲間たちも手を添え、
(みんな……)
想いを受け取ったラディッシュは精一杯の凛然で、
《浄化の炎ぉお!》
倒壊寸前の家屋を白き炎で包み込んだ。
建物ごと白き炎に包まれる、体の崩壊が始まったサロワート。
しかし燃えながらも、その表情は穏やかに、
(熱くない……温かいわぁ、ラディ……本当に、何処までも優しい人……)
笑みを浮かべ、
(愛していたわ……アタシの、勇者……)
最後まで口にしなかった、それが彼女の「最期の言葉」であった。
燃え盛り、次第に崩れていく家屋に涙し、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
ラディッシュ達や村の人々が咽(むせ)ぶ中、
『(プエラリアは)何でぇこんなヒドイ事が出来るのしィイ!』
涙ながらに激怒するリンドウ。
彼女にとってサロワートとは「倒すべき相手」であったが、打ち解け、気の置けない間柄となった親友の一人であり、そこに「付き合いの長さ」など無関係。
『(サロワートは)勇者時代からのぉ仲間じゃなかったのしぃーーーっ!』
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
やり切れない怒りの咆哮は、勇者組や村人たちも同じであった。
白き炎に浄化されて次第に崩れ逝く家を、
「…………」
涙ながらの凛然で見据えるラディッシュ。
サロワートと描いた、数々の思い出と重ね。
そして想う。
(僕の考えが甘かった……プエラリアとも「共存の道」があるんじゃないかと、刃を交えるのを躊躇って……)
仲間たちにさえ語っていなかった本心に、後悔を覚えた。
しかしそれは、彼が勇者となって歩んで来た道程(どうてい)から導いた選択肢であり、互いにラミウムから勇者として見出され、互いに「彼女に想い」を寄せる、いわば『同志である』と、心の何処かで感じていたから。
敵対ではなく、融和の道がある筈と。
一方的な感情であったと言わざるを得ないが、サロワートを失った事で、
(この結果を生んだのは「僕の迷い」のせいだ! もっと早くに決断していたら違った未来が!)
勇者ラディッシュの心の天秤は、怒りと悲しみから、
《プエラリア討伐》
揺るぎなく定まった。
物語は、次の章へと紡がれる。
地世の世界の創造主、全知全能の神とでも称すべき初代魔王から、そのチカラの全てを引き継いだプエラリアが行使した地法を、百人も居る天世人の一人でしかない自分に「一朝一夕で真似る」など、不可能であるのを。
それでも彼は彼女が逝ってしまうのを、何もせず、言われた通り、ただ黙って葬送するなど出来なかったのである。
唇の端を噛み締め、
(何か手段はある筈なんだぁ!)
自ら心を鼓舞して顔を上げたが、
「ラディ……」
「!?」
悲し気に首を横に振る、ドロプウォートたち女性陣。
サロワートの真意が、痛いほどによく分かる。
《朽ち果てた姿を「愛する人(ラディッシュ)」には見られたくない》
同じ想いを彼に抱(いだ)く者として。
残された時間も僅かであると。
同じ立場であったなら、間違いなく「同じ願いを口にした」であろう事も。
彼女たちがどれ程の心痛を抱え制しているか、混乱の渦中のラディッシュでも容易に想像でき、
「また……またなのか……また僕は、また…………」
扉の前で無力感と悲しみに苛まれていると、閉ざされた扉の向こうから、
「悲しまないで、ラディ……」
『!』
「アタシは……アンタ達に会えて感謝しているの……」
あえて「ラディッシュの名」を口にせず、
「アンタ達に会っていなかったら、アタシは未だに深い闇の底だったわ……♪」
弱弱しくも、精一杯と思われる明るい声の後、
「もぉ限界……よ……お願い……ラディ……」
声は次第に嗄(しわが)れていき、
「「「「「「「ラディ……」」」」」」」
「パパ……」
ドロプウォート達の悲し気な声に、
「ラディの兄貴……」
ターナップの悲痛に、
「クッ……」
ラディッシュは苦悶の表情で、
「みんな……建物から離れて……」
自身も家屋から距離を取ると、涙を振り払い、
《我がチカラァ! 内なる天世のチカラを以て我は行使す!》
その身を白き輝きに包み、天世人の姿になると右手を扉に向け広げ、すると、
『!』
悲しみに暮れるその手に、仲間たちも手を添え、
(みんな……)
想いを受け取ったラディッシュは精一杯の凛然で、
《浄化の炎ぉお!》
倒壊寸前の家屋を白き炎で包み込んだ。
建物ごと白き炎に包まれる、体の崩壊が始まったサロワート。
しかし燃えながらも、その表情は穏やかに、
(熱くない……温かいわぁ、ラディ……本当に、何処までも優しい人……)
笑みを浮かべ、
(愛していたわ……アタシの、勇者……)
最後まで口にしなかった、それが彼女の「最期の言葉」であった。
燃え盛り、次第に崩れていく家屋に涙し、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
ラディッシュ達や村の人々が咽(むせ)ぶ中、
『(プエラリアは)何でぇこんなヒドイ事が出来るのしィイ!』
涙ながらに激怒するリンドウ。
彼女にとってサロワートとは「倒すべき相手」であったが、打ち解け、気の置けない間柄となった親友の一人であり、そこに「付き合いの長さ」など無関係。
『(サロワートは)勇者時代からのぉ仲間じゃなかったのしぃーーーっ!』
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
やり切れない怒りの咆哮は、勇者組や村人たちも同じであった。
白き炎に浄化されて次第に崩れ逝く家を、
「…………」
涙ながらの凛然で見据えるラディッシュ。
サロワートと描いた、数々の思い出と重ね。
そして想う。
(僕の考えが甘かった……プエラリアとも「共存の道」があるんじゃないかと、刃を交えるのを躊躇って……)
仲間たちにさえ語っていなかった本心に、後悔を覚えた。
しかしそれは、彼が勇者となって歩んで来た道程(どうてい)から導いた選択肢であり、互いにラミウムから勇者として見出され、互いに「彼女に想い」を寄せる、いわば『同志である』と、心の何処かで感じていたから。
敵対ではなく、融和の道がある筈と。
一方的な感情であったと言わざるを得ないが、サロワートを失った事で、
(この結果を生んだのは「僕の迷い」のせいだ! もっと早くに決断していたら違った未来が!)
勇者ラディッシュの心の天秤は、怒りと悲しみから、
《プエラリア討伐》
揺るぎなく定まった。
物語は、次の章へと紡がれる。
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