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第九章
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息を呑む勇者組の見つめる先にあるのは、言わずもがな全身鎧。
プエラリアが先に発した言葉が事実なら、三代目魔王の誕生であったから。
それを証明するかのように魔王プエラリアが消えたにも拘らず、地世の世界から感じる地法、地技に、変化は無く、チカラの継承が、否(いな)、強奪が、スムーズに行われたのを示していた。
(敵? 味方? どっち?!)
判断に迷うラディッシュ達。
素顔を覆い隠すフルフェイスの兜からでは、性別どころか、何を思っているか、何を見ているかさえ、判断がつかない。
すると剣を突き立てた格好のまま、彫像のように微動だにしなかった全身鎧が、
「…………」
無造作に剣を一振り。
剣先に纏わる「主を失った衣服」を邪魔だと言わんばかりに払い落とすと、鎧に「ギシリ」と音を立て、
「…………」
明らかにドロプウォート達を見据えた動きを見せた。
仲間たちに及ぶ危機の気配に、
『!』
即座に視線を遮るよう、間に割って立つラディッシュ。
緊迫の表情で切っ先を全身鎧に向け、仲間たちを背に守る気概を見せ付けたが、守ったつもりの仲間たちから、
「未知の敵を相手に、一人で何をしてますわのラディ♪」
「タイマンの約束はプエラリアだけだろうさぁ♪」
「兄貴は一人で背負い過ぎなんスよ♪」
「好いた男に守られてばかりぁ「オナゴが廃(すた)る」と言うモノにありんすぇ♪」
「なのでぇす♪ なのでぇす♪」
「オナコがしたるぅなぉ♪」
笑顔の苦言の数々。
横に並ぶ、頼もしい六つの顔に、
「みんな……」
ラディッシュは感動を覚えつつ、緊張感を以て仲間たちと武器を構え直した。
不意を狙った一刺しでプエラリアを葬った相手とは言え、地世を統べる魔王に殺意を気取らず命を奪った「腕利き」である。
しかも「魔王のチカラ」まで手に入れ、有する実力は単純計算でもプエラリア以上に。
全身鎧の戦闘スタイル、手の内が分からぬ今、ラディッシュだけに戦闘を強いるのは、あまりにリスキーなのであった。
一人対七人。
しかも七人は「一般兵」などではなく、
《中世の英雄、七草》
実力が計り知れない相手だとしても、ラディッシュたちの優位性は揺ぎない筈であったが、緊張を緩めることなく、
「「「「「「「…………」」」」」」」
身構える七人。
不安めいた言葉は誰も口にしなかったが、数々の戦いで培われた「勘」が危険を知らせていた。
《甘く見ていると足元をすくわれる》
両陣、互いに無言で対峙し、
「…………」
「「「「「「「…………」」」」」」」
静けさが場を支配する中、唐突に、
「「「「「「「!」」」」」」」
全身鎧の両肩が、微かに小刻みに上下した。
見えぬ表情からでは真意が読み取れず、戸惑うラディッシュたち勇者組。
(((((((…………)))))))
せめて一挙手一投足を見逃さぬよう、睨むように見据えていると、
『キィーーーシッシッ♪』
「「「「「「「!?」」」」」」」
全身鎧が兜の額を抑えて笑い出し、そのあまりに特徴的な笑い方に、
(((イリス!)))
ニプルウォート、カドウィード、チィックウィードが彼女を連想してギョッとしたが、ラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップの古参の四人は、
『『『『そぉっ!?』』』』』
我が耳を疑った。
その声に、笑い方に、ふとした仕草に、驚愕の驚きを以て。
笑い続ける全身鎧から目が離せず、打ち震えるラディッシュ。
「「「「「「「…………」」」」」」」
七者七様、天地がひっくり返ったような驚き顔で固まる七人を前に、愉快気な笑いで肩を上下に揺らす全身鎧は、自身の兜に両手を掛けながら、
『何てぇマヌケ面してるのさぁねぇ~♪』
脱いで露にした素顔にラディッシュ達は、その艶やかな薄紫の髪に、紫水晶アメジストのような美しい瞳に、
《ラミィ!!!》
エルブ国を、中世の民を守る為に命を落した筈の彼女であった。
プエラリアが先に発した言葉が事実なら、三代目魔王の誕生であったから。
それを証明するかのように魔王プエラリアが消えたにも拘らず、地世の世界から感じる地法、地技に、変化は無く、チカラの継承が、否(いな)、強奪が、スムーズに行われたのを示していた。
(敵? 味方? どっち?!)
判断に迷うラディッシュ達。
素顔を覆い隠すフルフェイスの兜からでは、性別どころか、何を思っているか、何を見ているかさえ、判断がつかない。
すると剣を突き立てた格好のまま、彫像のように微動だにしなかった全身鎧が、
「…………」
無造作に剣を一振り。
剣先に纏わる「主を失った衣服」を邪魔だと言わんばかりに払い落とすと、鎧に「ギシリ」と音を立て、
「…………」
明らかにドロプウォート達を見据えた動きを見せた。
仲間たちに及ぶ危機の気配に、
『!』
即座に視線を遮るよう、間に割って立つラディッシュ。
緊迫の表情で切っ先を全身鎧に向け、仲間たちを背に守る気概を見せ付けたが、守ったつもりの仲間たちから、
「未知の敵を相手に、一人で何をしてますわのラディ♪」
「タイマンの約束はプエラリアだけだろうさぁ♪」
「兄貴は一人で背負い過ぎなんスよ♪」
「好いた男に守られてばかりぁ「オナゴが廃(すた)る」と言うモノにありんすぇ♪」
「なのでぇす♪ なのでぇす♪」
「オナコがしたるぅなぉ♪」
笑顔の苦言の数々。
横に並ぶ、頼もしい六つの顔に、
「みんな……」
ラディッシュは感動を覚えつつ、緊張感を以て仲間たちと武器を構え直した。
不意を狙った一刺しでプエラリアを葬った相手とは言え、地世を統べる魔王に殺意を気取らず命を奪った「腕利き」である。
しかも「魔王のチカラ」まで手に入れ、有する実力は単純計算でもプエラリア以上に。
全身鎧の戦闘スタイル、手の内が分からぬ今、ラディッシュだけに戦闘を強いるのは、あまりにリスキーなのであった。
一人対七人。
しかも七人は「一般兵」などではなく、
《中世の英雄、七草》
実力が計り知れない相手だとしても、ラディッシュたちの優位性は揺ぎない筈であったが、緊張を緩めることなく、
「「「「「「「…………」」」」」」」
身構える七人。
不安めいた言葉は誰も口にしなかったが、数々の戦いで培われた「勘」が危険を知らせていた。
《甘く見ていると足元をすくわれる》
両陣、互いに無言で対峙し、
「…………」
「「「「「「「…………」」」」」」」
静けさが場を支配する中、唐突に、
「「「「「「「!」」」」」」」
全身鎧の両肩が、微かに小刻みに上下した。
見えぬ表情からでは真意が読み取れず、戸惑うラディッシュたち勇者組。
(((((((…………)))))))
せめて一挙手一投足を見逃さぬよう、睨むように見据えていると、
『キィーーーシッシッ♪』
「「「「「「「!?」」」」」」」
全身鎧が兜の額を抑えて笑い出し、そのあまりに特徴的な笑い方に、
(((イリス!)))
ニプルウォート、カドウィード、チィックウィードが彼女を連想してギョッとしたが、ラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップの古参の四人は、
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我が耳を疑った。
その声に、笑い方に、ふとした仕草に、驚愕の驚きを以て。
笑い続ける全身鎧から目が離せず、打ち震えるラディッシュ。
「「「「「「「…………」」」」」」」
七者七様、天地がひっくり返ったような驚き顔で固まる七人を前に、愉快気な笑いで肩を上下に揺らす全身鎧は、自身の兜に両手を掛けながら、
『何てぇマヌケ面してるのさぁねぇ~♪』
脱いで露にした素顔にラディッシュ達は、その艶やかな薄紫の髪に、紫水晶アメジストのような美しい瞳に、
《ラミィ!!!》
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