ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十章

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 ラミウムが背後に従えた合成獣たちに対する強い警戒心を上回る三人の怪訝に、

『ん?! 何だい何だいアンタ達ぁ気付いていなかったのさぁねぇ~?』
「「「………」」」

「そうかいそうかい、キッシッシッ♪」
「「「…………」」」

 鈍い反応から愉悦を十二分に堪能した上で、

『コイツ等ぁラディの御友達さねぇ♪』
(((まさか?!)))

 明かされた真実の断片に驚愕しつつも、それならば「感じたチカラの異質」にも合点がいった。
 すると見透かしたように、

「そうさねぇ、プエラリアに合成獣化されちまっちゃぁいるが「拉致された百人の勇者」の、成れの果ってヤツさねぇ~♪」
「「「成れの果てぇ!?」」」

 疑念が全く無い訳ではなかった。
 心の何処かで「もしかしたら」との思いはあった。

 城内で初めて遭遇した時から。

 懸念であって欲しかった。
 間違いであって欲しかった。

 そして何より、
(無事で居て欲しかった……)
 同じ境遇の身として。

 何処かでボタンの掛け違いがあったならば、彼女の背後に並んで居る合成獣たちの一体が「自分であった可能性」もあり。
 今にして思えばリンドウ、ヒレン、ニプルウォート、カドウィードが取った行動も、それならば腑に落ち、

《ラディッシュに同胞殺しをさせたくない》

 四人の優しさが、気遣いが身に染みる。
 とは言え今は、

(感謝に浸っている場合じゃない!)

 気持ちの緩みを振り払ったが、彼の複雑な心の整理などラミウムはお構いなし。
 不敵に笑うとガッと立ち上がり、

『パストとター坊の相手ぁアンタ達に任すさねぇ!』
『『『『『『『『『『ゴォルラァアァーーーッ!!!』』』』』』』』』』

 トップエリートとでも称すべき十体の合成獣たちはパストリスとターナップに照準を合わせ、王の居る上座から一斉に襲い掛かった。

『させなァい!』

 即応するラディッシュ。
 二人を守る為、二人より早く、二人を置き去りに、

(百人の勇者以上のチカラを持った危険な合成獣なんかと戦わせる訳にはいかない!)

 先に動き出している合成獣たちを凌駕する初動で、十体を相手に牽制を仕掛けようとした。
 しかし、

『アンタの相手はアタシさねぇえ♪』
「ッ!」

 喜々として眼前に現れたのはラミウム。
 玉座から一瞬と呼べる速さにて合成獣の群れを追い越し。

『そぉっ!?』

 驚いている暇など無かった。
 手の届きそうな距離にいきなり迫られ、条件反射的な咄嗟で双剣を抜き出すラディッシュであったが、そこへ、

『キィーシッシッシィィィイイ!』
 ギャリリリィリィーーーリン!

 狂気の笑顔から放たれた、重く鋭い一刀が。
 重く鋭くはあるが、単調な光跡を描いた一振りであるがゆえ容易に受け止められたのだが、

(あぁっ、足を止められた!?)

 二人は鍔迫り合いの形に。
 そんな二人を横目にスルーして、照準を合わせたパストリスとターナップに迫る最強合成獣の群れであったが、

『ラディ!』
『兄貴ぃ!』

 むしろラディッシュの身を案じて叫ぶ二人。
 彼が相手にしているのが「単なる敵将」ではなく、容姿は変われどラミウムであり、傷付けてしまったドロプウォートと同等の「特別な人」であったから。
 心の傷が未だ癒えぬうち「想い人」と刃を交える彼の心身を案じたのだが、

『ぼっ、僕の事は気にしないで二人は戦いに集中してぇ! 自暴自棄になんてぇなったりしないからぁ!』
「「!」」

 その言葉にはチカラがあった。
 迷いは感じられなかった。
 リーダーの頼もしい言葉に、二人は緊迫の場面でありながらも笑顔を交え、

『ハイなのでぇす!』
『分かったぜぇ兄貴ぃ!』

 遅ればせながら迫って来たエリート合成獣たちを真正面に身構えた。

 先に開戦したのはターナップ。
 しかし、

(ん?!)

 群れを成して同時攻撃を仕掛けて来ると思われた敵は彼の予想に反し、

(先着順で攻撃だとぉ?!)

 強者揃いが災いしたのか我が強く、統率が取れておらず、攻撃がバラバラ。

『ギャワァーーーッ!』
『んなぁモンに当たるかよォオ!』

 単身で真っ先に辿り着いた一体が放つ大上段からの一刀を軽々かわし、反撃の一撃を横っ面に喰らわそうとした。
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