ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十一章

11-2

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 中世の現状が不明の中、積もる話も早々に、

「「「「「「…………」」」」」」

 遺跡に繋がる地世のゲートの前で見送られる勇者組。
 見送るは新生ゴゼンと金狼グラン、それに女王として正装させられたパストリス。

 衣装に着せられている感が否めない自身を苦笑う彼女を前に、勇者組を代表してラディッシュが新女王の前に立ったが、

「…………」

 彼女と出会ってから今日までの場面を目まぐるしく思い出し、
(こ…言葉が出ないよ……)
 表情は感情を露に暗く沈んだ。

 二度と会う事が叶わぬ可能性が高いがゆえに。
 その想いはパストリスとて同じ。

 しかし彼女は毅然と明るさを絶やさず、

「一生の別れじゃナイのでぇす♪ その為にも、ボクは地世を良くするのでぇす♪」

 精いっぱいの強がりではあったが、その様な気丈を見せつけられては悲嘆に暮れてばかりも居られず、背中を押された形となったラディッシュは、
(彼女にばかり気を遣わせて、僕は何を俯いてるんだぁ!)
 自省すると彼女に負けず劣らずの毅然で以て、

「うん! 二つの世界が融和を迎えたらまた会おう! それで!」
「それでぇ?」
「また一緒に旅をしようよ♪」
「!」

 差し出された笑顔の右手に、
(ずぅ……ズルイのでぇすラディ……そんな事を言われたらボクはぁ……)
 必死に堪えていた彼女の涙腺は綻び、気丈で支えていた笑顔の頬を一筋の涙がつたい落ち、

「じょ、女王様がこれじゃイケナイのでぇすぅ♪」

 慌てて拭うパストリス。
 両眼は潤みながらも笑顔は絶やさず、

「ハイなのでぇす♪ とっても約束なのでぇす♪」

 彼の手を握り返し、

「お互い、頑張ろうね」

 笑顔を見せあう二人であったが、
(!?)
 パストリスはラディッシュの眼の奥に、ただならぬ決意を見た。

 そして気付く、
(そうなのでぇす……ラディ達は、これから天世も相手にしないとイケナイなのでぇす。ボクは地世の心配をするだけでヨイなのに……)
 その気付きは彼女に、女王としての覚悟を改めて抱かせた。

《地世の女王としての真なる覚悟の目覚め》

 互いの覚悟を無言の目と目で確認し合った二人は、
「「…………」」
 固く結んだ手と手を離し、

「元気でね、パスト♪」
「ハイなのでぇす♪ ラディと皆もぉ♪」

 ラディッシュの背の仲間たちも引かれる後ろ髪を払う笑顔で各々別れを告げると、笑顔のパストリスは少し後ろに下がり、

「ドロプの回復を地世から祈ってるのでぇす♪」

 背後に控えていた新生ゴゼンと金狼グランの近くに立った。
 それは彼女が勇者組から地世側に移った意志表示でもあり、彼女が見せた動きにラディッシュは、

(時間だ……)

 別れの時と悟る。
 耐え難き悲しみの涙を堪え、

「それじゃぁまたねパスト」

 手を振り、背を向けようとした。
 すると、その別れの言葉を皮切りに堰を切ったように、

『頑張り過ぎはダメさぁパストぉ!』
『嫌になったらぁいつでも逃げてぇ来ぃんすぇえ!』

 唐突に声を上げたのは、それまで黙って居たニプルウォートとカドウィード。
 笑顔ながらも涙の滲んだ声に、リンドウとヒレンもきっかけを得てか、

『ゼッタイ! 絶対絶対ゼェーッタィイ! また逢うのしぃい!』
『負けるんじゃナイわよぉ!』

「みぃんなぁ……ありがとなのでぇす……」

 仲間たちからの声援に感涙するパストリスであったが、

『ねぇねぇキュミ達ぃ、俺にはナニも無しなのかぁ~い♪』

 水を差したのは新生ゴゼン。
 感動のセリフを台無しにされた勇者組の女子四人は恨みも込め、

『『『『パストにヤラシイ事したらスグに殺しに来る(さ・でぇありぃんす・しぃ・わよ)!』』』』

 強い口調で釘を刺し、優しい言葉の一つも贈られず、彼はさぞかしヘコムであろうと思いきや、女子たちからの手厳しい警告に、

「う~ん♪ 癖になる仕打ちだよねぇ~♪」

 むしろ悦に入った表情で身を震わせ、

((((ウっザぁ!))))

 地世に堕とされても「彼は変わらぬ彼である」と、女子四人は辟易した。
 涙に暮れる場面が思わぬ寸劇に、笑みを見せるパストリス。
 そして改めて、

『ありがとなのでぇす♪ 地世のみんなとぉガンバってみるのでぇす♪』

 かつてない愛らしい笑顔で別れを告げ、そんな笑顔で送られたラディッシュ達は、
((((((…………))))))
 仲間として小さな嫉妬を覚えつつ、後ろ髪も引かれつつ背を向け、歩き出そうとしたが、

『やっぱ俺には出来ねぇっスッ!』
「「「「「?!」」」」」

 声を上げたのはターナップ。
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