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第十一章
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時と場所は移り――
穏やかな木漏れ日が注ぐ森の中を、
「♪」
笑顔の幼きチィックウィードと手を繋いで歩く、
「…………」
一応の笑顔の、救出された幼女。
中世の七草であるラディッシュ達に守られ歩く、少々引きつりが見える笑顔の下で、
(な……ナゼなのじゃ……)
幼女は自身と変わらぬ容姿を持つ彼女と、笑顔で手を繋ぎ歩きながら、
(何がぁ、どうしてぇ、こぅなったのじゃぁあぁ?!)
内心は大困惑。
その理由とは、
(八部衆の一人のアブダであるワシがぁあぁ!)
いつ正体が知れるとも分からず。
敵としている中世の七草のただ中で素性を隠し続け、肝が冷える思いであったが、改めて面々を見回してみれば、
(…………)
意識障害を負っていると聴かされていた少女の乗る椅子車をニコやかに押して歩く勇者に、陽気に誘われ女子バナに花を咲かせ歩く仲間たち。
呑気を絵に描いたように歩く一行の背に、
(此奴ら……ホントに勇者一行なのかのぉ? 敵地にありながら無防備が過ぎておる)
先にあった「些細な出来事」と併せ、八部衆が一人アブダはラディッシュ達の警戒心の薄さを小さく呆れ笑った。
その出来事とは、
『大丈夫? 君の名前は何て言うのかな♪』
問われて、意識を取り戻した体(てい)で眼を開けると、
(!)
そこには勇者一行の顔が。
勇者の笑顔に、
(なっ、名前じゃとぉお?!)
彼女は大いに焦った。
面識が無い相手とは言え名を明かせば、百人の天世人であるリンドウに正体が知られる可能性がある。
気の利いた名前など咄嗟には浮かばず、
(どぉ、どうしたらぁ良いのじゃぁ!)
適当に、その場しのぎの名前の一つでも口にしておけば問題を回避できると思えるが、彼女が居るのは敵陣のド真ん中。
たった一人で。
しかも相手は雑兵などではなく中世の七草の面々で、中には百人の天世人の実質的一位と、ラミウムの後継者までもが。
ただならぬ緊張を強いられ平静でいられる筈もなく、問い掛けに口籠ってしまうと、
「「「名無しちゃぁん♪」」」
(!?)
からかいの笑顔で名付けるニプルウォート、カドウィード、リンドウ、女子三人。
無論、本意ではなく、いきなり大人に囲まれ困惑を見せる「幼女の緊張」を気遣っての冗談であったのだが、
『それぇじゃイジメだよぉ!』
生真面目に即でツッコミを入れる、勇者ラディッシュ。
彼女たちが「その様な呼称」を惑う幼女に対し、からかいであったとしても安易に口にする筈がなく、少し考えれば分かりそうなモノであるが、それとて女性陣の計算の内。
彼が返すであろうツッコミも含め、和ませようとしたのだが、
(そぉ、ソレだけは嫌じゃぁ!)
過度の緊張から真に受ける八部衆アブダ。
呼称が「名無しちゃん」になってしまうのを回避する為、咄嗟に、
『あ、アブぅ!』
言うまでもないが、八部衆としての名前の一部から。
すると、
『その名前ってぇ……』
訝しんだ表情で彼女を見るのは、百人の天世人リンドウ。
その表情の険しさに、
(しっ、しまったのじゃ! ワシとした事が、安易が過ぎたのじゃ!)
素性が知れた可能性に恐怖し、今更のように後悔したが懸念は現実となり、
「なぁんか天世人っぽくないのしぃ……」
(!)
気付けばニプルウォートとカドウィードも同じ顔を寄せて来て、こわばった作り笑顔の下は、
(うぅっ、迂闊でぇあったのじゃぁあぁ!)
捕縛されるも覚悟した。
しかし女子三人は、
『『『そこもぉキャワイイィイ♪』』』
破顔の笑顔の頬擦り。
想定外の事態に、
(ふへぇ?)
気が抜け、されるがまま、もみくちゃにされていると、
『イジワルしちゃダメなぉ!』
苦言を呈したのは、幼きチィックウィード。
穏やかな木漏れ日が注ぐ森の中を、
「♪」
笑顔の幼きチィックウィードと手を繋いで歩く、
「…………」
一応の笑顔の、救出された幼女。
中世の七草であるラディッシュ達に守られ歩く、少々引きつりが見える笑顔の下で、
(な……ナゼなのじゃ……)
幼女は自身と変わらぬ容姿を持つ彼女と、笑顔で手を繋ぎ歩きながら、
(何がぁ、どうしてぇ、こぅなったのじゃぁあぁ?!)
内心は大困惑。
その理由とは、
(八部衆の一人のアブダであるワシがぁあぁ!)
いつ正体が知れるとも分からず。
敵としている中世の七草のただ中で素性を隠し続け、肝が冷える思いであったが、改めて面々を見回してみれば、
(…………)
意識障害を負っていると聴かされていた少女の乗る椅子車をニコやかに押して歩く勇者に、陽気に誘われ女子バナに花を咲かせ歩く仲間たち。
呑気を絵に描いたように歩く一行の背に、
(此奴ら……ホントに勇者一行なのかのぉ? 敵地にありながら無防備が過ぎておる)
先にあった「些細な出来事」と併せ、八部衆が一人アブダはラディッシュ達の警戒心の薄さを小さく呆れ笑った。
その出来事とは、
『大丈夫? 君の名前は何て言うのかな♪』
問われて、意識を取り戻した体(てい)で眼を開けると、
(!)
そこには勇者一行の顔が。
勇者の笑顔に、
(なっ、名前じゃとぉお?!)
彼女は大いに焦った。
面識が無い相手とは言え名を明かせば、百人の天世人であるリンドウに正体が知られる可能性がある。
気の利いた名前など咄嗟には浮かばず、
(どぉ、どうしたらぁ良いのじゃぁ!)
適当に、その場しのぎの名前の一つでも口にしておけば問題を回避できると思えるが、彼女が居るのは敵陣のド真ん中。
たった一人で。
しかも相手は雑兵などではなく中世の七草の面々で、中には百人の天世人の実質的一位と、ラミウムの後継者までもが。
ただならぬ緊張を強いられ平静でいられる筈もなく、問い掛けに口籠ってしまうと、
「「「名無しちゃぁん♪」」」
(!?)
からかいの笑顔で名付けるニプルウォート、カドウィード、リンドウ、女子三人。
無論、本意ではなく、いきなり大人に囲まれ困惑を見せる「幼女の緊張」を気遣っての冗談であったのだが、
『それぇじゃイジメだよぉ!』
生真面目に即でツッコミを入れる、勇者ラディッシュ。
彼女たちが「その様な呼称」を惑う幼女に対し、からかいであったとしても安易に口にする筈がなく、少し考えれば分かりそうなモノであるが、それとて女性陣の計算の内。
彼が返すであろうツッコミも含め、和ませようとしたのだが、
(そぉ、ソレだけは嫌じゃぁ!)
過度の緊張から真に受ける八部衆アブダ。
呼称が「名無しちゃん」になってしまうのを回避する為、咄嗟に、
『あ、アブぅ!』
言うまでもないが、八部衆としての名前の一部から。
すると、
『その名前ってぇ……』
訝しんだ表情で彼女を見るのは、百人の天世人リンドウ。
その表情の険しさに、
(しっ、しまったのじゃ! ワシとした事が、安易が過ぎたのじゃ!)
素性が知れた可能性に恐怖し、今更のように後悔したが懸念は現実となり、
「なぁんか天世人っぽくないのしぃ……」
(!)
気付けばニプルウォートとカドウィードも同じ顔を寄せて来て、こわばった作り笑顔の下は、
(うぅっ、迂闊でぇあったのじゃぁあぁ!)
捕縛されるも覚悟した。
しかし女子三人は、
『『『そこもぉキャワイイィイ♪』』』
破顔の笑顔の頬擦り。
想定外の事態に、
(ふへぇ?)
気が抜け、されるがまま、もみくちゃにされていると、
『イジワルしちゃダメなぉ!』
苦言を呈したのは、幼きチィックウィード。
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