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第十一章
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襲撃者六人の姿勢は撤退へと変わり、一人が語った「アブダに対する誉め言葉」は一聴すると単なる負け惜しみとも聞こえたが、彼の言葉が負け惜しみなどではなく「切り札を隠し持って」の言葉であったのを示すよう懐に手を入れ、
『!』
不穏を感じ取るアブダ。
負傷により動きの鈍った体で怯える男児を即座に抱いた。
自身の体を盾に、次なる攻撃に備えたのである。
しかし六人の賊徒は彼女の懸念に反し何をするでもなく、先の不意打ちで壊れた窓から外へと逃走、
「?!」
言行不一致に、
(な、何なのじゃ……?)
戸惑いを覚える二人の前に、
「ッ!」
外から何かが投げ込まれた。
直感的な危機を覚えた彼女の目にスローモーションで空中に放物線を描くは、大人の拳ほどの「黒き球」。
それが「何であるか」まで即座の理解に及ばなかったが、背中に走った激しい悪寒が、
(これはマズイのじゃ!)
積み重ねて来た経験が命の危急を告げ、火事場の馬鹿力よろしく、
(くッ!)
球が床に着く寸前、満身創痍の体で男児を抱えて外に飛び出した。
賊徒の後を追うが如く、破れた窓から転がるように。
次の瞬間、黒き球は床に接触。
水で満たされた風船でも破裂するように「パァン」と音を立て弾けると、高濃度に圧縮されていた物が一斉開放、それは黒きモヤであり、辺りを一瞬にして黒で覆い尽くし、
「「!」」
二人が逃げ出した窓から外へも溢れ出した。
奇跡的に辛うじて外へ逃れる事まで成し遂げたアブダであったが、体はもはや限界。
疲労と痛みの蓄積により屋敷から十分な距離を確保する前、
(くっ……)
遂に膝を地に付けてしまったが、背後のおぞましき気配に、
『こっ、この気配はよもやぁあ!』
青ざめ振り返った。
感じたのは、
《地世のチカラ》
そして見通すことの出来ぬ黒煙の中に見たのは不気味に浮かぶ、赤黒い二つの眼。
その眼の主は幼女と男児を見据えるが如く鋭い眼光を放ち、過剰に荒い鼻息と、地鳴りを伴う踏み音を立て、黒煙の闇から徐々に姿を現した。
愕然とした表情でソレから目が離せぬアブダが、
(あぁ、アヤツ等ぁあぁ何と言う物まで持ち込んだのじゃぁあぁ……)
覚えたのは、不可避の死。
現れたのは獣型の巨大な合成獣であり、地球で言うところのミノタウロスに近い。
それも単体ではなく、続々と。
体躯差を補う戦い方の模索など無意味、無価値に思わせる、思考を停止させるに十分な群れであった。
(てぇ、敵対している相手とは言え周囲に及ぶ被害も考えず、同じ天世人にここまでするじゃとぉ……)
迫る踏み音に、絶望感に、満身創痍の体が過分に下を向かせたが、
(ここで諦めるワケにはいかぬのじゃ!)
自身の弱気を叱り、心を奮い立たせた。
彼女の背には「守るべき存在」が居たから。
見た目が幼女の小さな背より、更に小さく丸まって震える男児。
その姿を肩越しにチラリと見た彼女は、徐々に迫る合成獣たちをきつく睨み、
『死なせるワケにはいかぬのじゃ!』
咆哮してナイフを手に応戦の構え。
未だ衰えぬ戦いの気概を見せ付けたが、
「!」
膝がガクリと折れ、地に付きそうに揺れた。
慌てて態勢を立て直すアブダ。
(かぁっ、体が言うことを聞かぬのじゃと?!)
実戦経験が乏しくも「持ち前の身体能力」で賊徒六人を辛うじて退けた彼女であったが、全身傷だらけの体は、
(こ、ここまで凌いでおきながらじゃとぉ!?)
諦めより悔しさが。
『!』
不穏を感じ取るアブダ。
負傷により動きの鈍った体で怯える男児を即座に抱いた。
自身の体を盾に、次なる攻撃に備えたのである。
しかし六人の賊徒は彼女の懸念に反し何をするでもなく、先の不意打ちで壊れた窓から外へと逃走、
「?!」
言行不一致に、
(な、何なのじゃ……?)
戸惑いを覚える二人の前に、
「ッ!」
外から何かが投げ込まれた。
直感的な危機を覚えた彼女の目にスローモーションで空中に放物線を描くは、大人の拳ほどの「黒き球」。
それが「何であるか」まで即座の理解に及ばなかったが、背中に走った激しい悪寒が、
(これはマズイのじゃ!)
積み重ねて来た経験が命の危急を告げ、火事場の馬鹿力よろしく、
(くッ!)
球が床に着く寸前、満身創痍の体で男児を抱えて外に飛び出した。
賊徒の後を追うが如く、破れた窓から転がるように。
次の瞬間、黒き球は床に接触。
水で満たされた風船でも破裂するように「パァン」と音を立て弾けると、高濃度に圧縮されていた物が一斉開放、それは黒きモヤであり、辺りを一瞬にして黒で覆い尽くし、
「「!」」
二人が逃げ出した窓から外へも溢れ出した。
奇跡的に辛うじて外へ逃れる事まで成し遂げたアブダであったが、体はもはや限界。
疲労と痛みの蓄積により屋敷から十分な距離を確保する前、
(くっ……)
遂に膝を地に付けてしまったが、背後のおぞましき気配に、
『こっ、この気配はよもやぁあ!』
青ざめ振り返った。
感じたのは、
《地世のチカラ》
そして見通すことの出来ぬ黒煙の中に見たのは不気味に浮かぶ、赤黒い二つの眼。
その眼の主は幼女と男児を見据えるが如く鋭い眼光を放ち、過剰に荒い鼻息と、地鳴りを伴う踏み音を立て、黒煙の闇から徐々に姿を現した。
愕然とした表情でソレから目が離せぬアブダが、
(あぁ、アヤツ等ぁあぁ何と言う物まで持ち込んだのじゃぁあぁ……)
覚えたのは、不可避の死。
現れたのは獣型の巨大な合成獣であり、地球で言うところのミノタウロスに近い。
それも単体ではなく、続々と。
体躯差を補う戦い方の模索など無意味、無価値に思わせる、思考を停止させるに十分な群れであった。
(てぇ、敵対している相手とは言え周囲に及ぶ被害も考えず、同じ天世人にここまでするじゃとぉ……)
迫る踏み音に、絶望感に、満身創痍の体が過分に下を向かせたが、
(ここで諦めるワケにはいかぬのじゃ!)
自身の弱気を叱り、心を奮い立たせた。
彼女の背には「守るべき存在」が居たから。
見た目が幼女の小さな背より、更に小さく丸まって震える男児。
その姿を肩越しにチラリと見た彼女は、徐々に迫る合成獣たちをきつく睨み、
『死なせるワケにはいかぬのじゃ!』
咆哮してナイフを手に応戦の構え。
未だ衰えぬ戦いの気概を見せ付けたが、
「!」
膝がガクリと折れ、地に付きそうに揺れた。
慌てて態勢を立て直すアブダ。
(かぁっ、体が言うことを聞かぬのじゃと?!)
実戦経験が乏しくも「持ち前の身体能力」で賊徒六人を辛うじて退けた彼女であったが、全身傷だらけの体は、
(こ、ここまで凌いでおきながらじゃとぉ!?)
諦めより悔しさが。
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