奇跡と言う名のフォトグラファー

青木 森

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続章_18

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 未だ怒っているのか、ズンズン先を歩くサクラ。
 話し声が生徒会室に聞こえない距離まで来ると、ヒカリは満面の笑みで、
「サクラちゅわぁ~ん、ありがとうぉ! 」
 背後から抱き付き、
「ハーくん以外でボクの為に、あんなに怒ってくれたクラスメイトは初めてだよぉーーー!」
 嬉しさのあまり頬擦りすると、サクラが機械仕掛けの人形の様に、首だけゆ~っくりと振り返り、
「ど、ど、ど、ど、どうしようぅーーー!」
 真っ青な顔して頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「「へ?」」
 先程までの勇ましさは何処へやら。
「上級生の、しかも生徒会にケンカ売るみたいな事を言っちゃったよぉおぉぉぉぉ!」
 サクラは床にへたり込んで泣き始め、
「うあぁぁぁぁぁぁん。わのアンズますぃ(穏やかな)高校生活がぁ~~~~~~」
「あははは……サクラちゃん……なんか、ほんとゴメンねぇ」
 ヒカリとハヤテが申し訳なさげに笑ってお茶を濁していると、
「二人の巻き込み体質は、今に始まった事じゃないですよねぇ」
 背後から突如女子の声がし、三人は振り返った。
「今度のお相手は、生徒会ですかぁ~~~」
 呆れ半分笑う、細身で、カールしたくせ毛のショートヘアが印象的な女子生徒。
「「………………………………」」
 固まるハヤテとヒカリ。首を傾げるサクラ。
 キョトンとするハヤテとヒカリに、少女は少し残念そうな笑みを浮かべ、
「それはそうですよね。小学校以来。でも私は二人の事を、ずっ~と想っていたのですよぉ」
 女子生徒が微笑んだ瞬間、ハヤテとヒカリの脳裏に少女の幼い頃の姿がオーバーラップ。
「「ツバサ(ちゃん)!?」」
 二人が驚いた声を上げた途端、女子生徒は笑顔を弾けさせ、
「ありがとう! やっと会えたァ!」
 両腕を広げ、二人に抱き付いた。
 そんな三人の気の置けないやり取りに、
(……昔の友達……なんだ……)
 サクラが取り残された様な、疎外感の様な、得も言われぬ孤独感を感じていると、ツバサはすかさずサクラにも抱き付いた。
(えぇ? 何? 何? えぇーーー!?)
 突然の事に、狼狽するサクラ。
 するとツバサは、ハヤテとヒカリに聞こえない様にサクラの耳元で、
(二人の味方をしてくれて、ありがとうです。私には出来なかったんですよ……)
「え?」
 サクラが驚いた声を上げると、ヒカリが不思議そうに、
「どうしたのサクラちゃん? ツバサちゃんが何か言ったの?」
 するとツバサはサクラから離れ、サクラに笑顔を向け、
「二人だけの秘密ですよねぇ~」
 その笑顔と声の色に、
(何があったかは分からないけど……この人も、本当に二人の事を想ってる……)
 そう思うと自然に笑みがこぼれ、
「うん」
 まるで旧知の間柄の様に、サクラはツバサに笑顔を返した。
 
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