奇跡と言う名のフォトグラファー

青木 森

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続章_45

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 学校に着いてみると、サクラの懸念は全くの稀有である事が分かった。正確に言うならば、学校全体がそれどころではない騒めきに包まれていたのである。
 玄関で、廊下で、教室内で、学校のあちらこちらで、まるで陰口でも言い合う様に、不安気な表情でヒソヒソ言い合う生徒達。更には教師達まで。
 サクラは矛先が自身に向いていない事に安堵しつつ、
「ヒカリちゃん……何だろう?」
「分かんない……」
 周囲の不穏な空気に当てられつつ、教室へ向かうサクラとヒカリであったが、後ろを歩くハヤテが不安げな二人を小さく笑い、
「俺達以外の事で、二人が暗い顔する必要はないだろう?」
「「!」」
 サクラとヒカリは顔を見合わせ、お互いが怪訝な顔をしている事に気付き、プッと小さく吹き出し笑い、
「「そうだよね」」
 ハヤテに笑顔を返し、三人は教室に入った。
 サクラのクラスも他と同様、生徒達がグループで固まり、ボソボソと仄暗い噂話に包まれていた。
「…………」
(何だろ……みんな同じ、不安の声の色……)
 自席から周囲を回し、席に荷物を置いたハヤテとヒカリが戻って来ると、
「サクラさん、大丈夫でしたか!」
 血相を変えたツバサが駆け込んで来た。
「ツバサちゃん、おはよう。全然平気だよ」
 その笑顔に、
「そうですかぁ~良かったぁ~~~」
 心から安堵し、緊張の抜けたふやけ顔をして、
「こういう時は、一人だけ家が遠い事が悔やまれますでぇす!」
「ありがとう。でも本当、全然大丈夫だからぁ」
「ハイです。それより……」
 ツバサは周囲の目を警戒する様に見回しつつ、三人に顔を寄せる様にジェスチャーすると、声を潜め、
(みなさん聞きましたか?)
「「「?」」」
(そのご様子ですと、御存じない様で……実は昨日、生徒会長が怪我をして病院に運ばれたそうなんです)
「「!」」
「本当かい!?」
 驚いたヒカリが思わず声を上げると、ツバサは慌てて「静かに!」とジェスチャー。
 ヒカリも慌てて両手で口を塞ぎ、
(事故!?)
 小声で改めて尋ねると、ツバサが怪訝な表情になり、
(それがハッキリしないんですよ)
(((?)))
(明らかに何者かによる暴行の跡があり、病院に警察が呼ばれたそうなんですが、本人がかたくなに「階段から落ちた」と言い張ってるそうでして……)
(ツバサちゃん……それって会長さんが、誰かを庇ってるってことなの?)
(ハイでぇす。サクラさんがご推察した通りの可能性が、高いと思われます)
 ハヤテは不愉快そうに、眉間にシワを寄せ、
(しかし本人が違うと言っている以上、相手が有力者の娘でもあるし、警察も迂闊に動けない……そんなとこか)
 ツバサは小さく頷き、
(ただ……)
(ツバサちゃん、何かあるのかい?)
(ハイです。学校の裏サイトの情報なので信憑性は疑われますが、そこには『父親の意見に反発した為に殴られ、反動で壁に頭を打ち付けた』と言う話が載っていました。「豊葦原家」後継最有力候補の彼女が父親の言いなりだと言う話は、この町では有名なようですから)
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