奇跡と言う名のフォトグラファー

青木 森

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続章_50

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 次の日の放課後、写真部活動第一日目―――
 ホワイトボードの前で、マジックを手に立つ満面の笑みを浮かべたヒカリ。
 対峙する長テーブルには、ハヤテ、サクラ、ツバサ。
 するとヒカリは手にしたマジックをマイク代わりに、
「今日はボク達の念願だった写真部活動の記念すべき第一歩目だよ!」
 笑顔で拍手するハヤテ、サクラ、ツバサ。
「とは言ってもボク達は写真のド素人。そこで「とある先生」に、講義をお願いしたいと思いまぁす! 拍手でお迎え下さい「ハヤテ先生」でぇ~~~す!」
「え? 俺ぇ!? 聞いてねぇぞ!」
「だって、今初めて言ったんだもん」
「俺は人前に立つのはちょっと……」
 ハヤテが珍しく尻込みしていると、自席で事務作業をしていた黄が悪い顔して振り返り、
「このメンツで講義が出来るのはアンタ位のモンだろう? 無垢な乙女達に教えてやったらどうだぁい?」
「黄先生ぇ……絶対面白がってるだろぅ」
 困惑顔で振り向けば、期待の眼差しで両眼を輝かせるサクラとツバサの顔が。
「!」
 うろたえるハヤテに、ヒカリも悪い顔してニヤリ。
「ハーくん、ボクや彼女達の期待を、まさか裏切ったりしないよねぇ~」
「くっ……」
(ヒカリのヤツも、面白がりやがってぇ)
 からかい半分の二人に反発しようとするハヤテであったが、両眼を潤ませて見つめるサクラとツバサに、
(こぉ、断ったら泣き出すんじゃないのかぁ……)
 そう思うと拒否する事が出来ず、小さくため息を吐き、
「わ、分かったぉ」
 少し照れ臭そうな、赤い顔して立ち上がった。
 満足そうに、ウンウン頷くヒカリと黄。
 期待の眼差しでハヤテを見上げるサクラとツバサ。
「それではハーくん先生、講義をよろしくぅ」
 マイク代わりのマジックを渡そうとすると、
「そ、それは要らねぇってぇ」
 少し赤い顔してホワイトボードの前に立つハヤテ。
 笑顔のヒカリが席に座ると、
「俺は、その……人に教えたりするのは正直苦手だから、その……分かりにくかったら、遠慮なく「分かんねぇ」って、言って下さい。よ、よろしく。じゃあ……」
 早々に自席へ戻ろうとするハヤテ。
「戻っちゃダメだよ、ハーくん」
「はぁ?」
「講義を始めておくれよ」
「えぇ!? で、でも心の準備がぁまだぁ! そ、それにカメラだって、」
 言い訳がましくその場から逃れようとすると、書類に向かい事務仕事をする黄が背を向けたまま、
「カメラならあるぞ。棚の前に置いてある、デカイ段ボールを開けて見なぁ」
「黄先生ぇ……俺が困るの見て楽しんでるだろぉ?」
 ハヤテが恨めしそうな顔をすると、黄は肩越しにチラリと振り返り、ニヤリと笑い、
「さぁ~ねぇ」
 ヒカリ達三人娘は早速段ボールに群がり、箱を開け、
「「おぉ~!」」
「ハーくん! ハーくん! これ、凄いよぉ!」
「ハーくん、言うな。でぇ、何が凄いんだぁ?」
 興奮気味のヒカリ達の下に歩み寄ったハヤテは、
「!」
 中を見るなり驚いた。
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