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続章_55
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写真部が本格始動を開始して、数日後の朝―――
登校したサクラ、ヒカリ、ハヤテはいつも通りサクラの席に集まり、カメラ談議に花を咲かせていた。
「ハヤテくん、写真を撮る時に、綺麗に見せる構図ってあるの?」
「あっ! それはボクも知りたいな。やっぱりハーくんの写真と比べると、バランスが悪いって言うかぁ」
「ハーくん、言うな。まぁ、よく使うのは三角構図だったり、三分割法かなぁ。でもサクラの気にしてた日の丸写真だって、撮りようによっては良い写真になるんだぞ」
「へぇ~~~そうなんだぁ」
「それでそれで、ハーくん! 「さんかくこうず」って、どんななんだい!」
「それはな、」
ハヤテが解説しようとすると、
「皆さん大変でぇす!」
ツバサが血相を変えて駆け込んで来た。
「ど、どうしたのツバサちゃん?」
「どうしたのじゃありませんよ、サクラさん! これを見て下さい!」
ツバサはその場でクルリと一回転すると、どこから出したのか十インチほどのタブレットを取り出しサクラの机の上に置き、
「この記事を見て下さい!」
画面をタップした。
「「「こ、コレは!」」」
おののきつつ、画面を食い入る様に見つめるサクラ、ヒカリ、ハヤテ。
映し出されていたのは十八禁イラスト。
しかし、意図しない画像が映し出されている事に気付かないツバサは、困惑顔で眉間にシワを寄せ、
「凄い事になりましたでありますぅ」
腕組みして天井を見上げると、ツバサの声で我に返ったハヤテは慌ててヒカリの両眼を手で塞ぎ、自身も恥ずかしそうに顔を背けながら、
「つ、ツバサ! 朝からなんてモノを見せてるんだ!」
「へ? まぁ確かに不愉快な話しではありますがぁ……?」
「ちょ、ハーくん! 見えないよ!」
「オマエにはまだ早い!」
サクラも、保健体育の教科書でしか見た事の無かった画像に、真っ赤な顔を両手で覆い、
「そぉ、そうだよヒカリちゃん! こ、こう言うのは大人になってからぁ!」
苦言を呈しつつ、指と指の隙間から画像を見ていると、
「先程からお三方は、何をおっしゃって……」
やっと異変に気付いたツバサはタブレットの画面を覗き込み、
「ひゃぁ&%#+“#%‘&%##”=(’&%$;のぷぉとぉーーー!」
真っ赤な顔して慌てて画面をスワイプ。
「コッチのニュース記事でぇすぅ!!!!!」
衝撃的、刺激的な画像を期せずして見せられたサクラ達は、未だ動悸が治まらずにいたが、表示されたニュース記事を見るなり愕然とした。
『東京都K市のアパートを放火した疑いのある容疑者、ストーカー規制法違反の嫌疑のみで送検』
「どう言う事なんだい、ツバサちゃん?」
「ハイでぇす。記事によると放火のあった日時、容疑者の男は別の場所にいたと主張し、防犯カメラの映像から、そのアリバイが立証されたとの事であります」
「つまりそれは……」
「放火犯が「別にいる」と言う事であります」
「「「!」」」
姿の見えない犯罪者の影が脳裏をチラつき、背筋に冷たい物を感じるサクラ達。
「「「「…………」」」」
思わず押し黙ると、教室に入って来た男子のクラスメイトが、
「おぅ東ぁ~、保健室のひがし先生がお前達四人に、昼休みに来いって言ってたぞ」
「分かった」
ヒカリ達と話している時と違い、素っ気なく頷くハヤテ。
相変わらず、クラスメイト達とは馴染めずにいたのである。
人付き合いが苦手なハヤテが、一方的に壁を作っているだけとも言えるのだが。
クラスメイトが遠ざかると、ハヤテの表情から緊張が消え、いつも通りの優しい表情に戻り、
「昼休みに、放火犯の話しもアイ先生にしてみよう」
頷くヒカリ達。
(ハヤテくん……私達と話す時みたいに、クラスのみんなとも話せば良いのに……)
自分の事を棚に置き、そう思うサクラであった。
登校したサクラ、ヒカリ、ハヤテはいつも通りサクラの席に集まり、カメラ談議に花を咲かせていた。
「ハヤテくん、写真を撮る時に、綺麗に見せる構図ってあるの?」
「あっ! それはボクも知りたいな。やっぱりハーくんの写真と比べると、バランスが悪いって言うかぁ」
「ハーくん、言うな。まぁ、よく使うのは三角構図だったり、三分割法かなぁ。でもサクラの気にしてた日の丸写真だって、撮りようによっては良い写真になるんだぞ」
「へぇ~~~そうなんだぁ」
「それでそれで、ハーくん! 「さんかくこうず」って、どんななんだい!」
「それはな、」
ハヤテが解説しようとすると、
「皆さん大変でぇす!」
ツバサが血相を変えて駆け込んで来た。
「ど、どうしたのツバサちゃん?」
「どうしたのじゃありませんよ、サクラさん! これを見て下さい!」
ツバサはその場でクルリと一回転すると、どこから出したのか十インチほどのタブレットを取り出しサクラの机の上に置き、
「この記事を見て下さい!」
画面をタップした。
「「「こ、コレは!」」」
おののきつつ、画面を食い入る様に見つめるサクラ、ヒカリ、ハヤテ。
映し出されていたのは十八禁イラスト。
しかし、意図しない画像が映し出されている事に気付かないツバサは、困惑顔で眉間にシワを寄せ、
「凄い事になりましたでありますぅ」
腕組みして天井を見上げると、ツバサの声で我に返ったハヤテは慌ててヒカリの両眼を手で塞ぎ、自身も恥ずかしそうに顔を背けながら、
「つ、ツバサ! 朝からなんてモノを見せてるんだ!」
「へ? まぁ確かに不愉快な話しではありますがぁ……?」
「ちょ、ハーくん! 見えないよ!」
「オマエにはまだ早い!」
サクラも、保健体育の教科書でしか見た事の無かった画像に、真っ赤な顔を両手で覆い、
「そぉ、そうだよヒカリちゃん! こ、こう言うのは大人になってからぁ!」
苦言を呈しつつ、指と指の隙間から画像を見ていると、
「先程からお三方は、何をおっしゃって……」
やっと異変に気付いたツバサはタブレットの画面を覗き込み、
「ひゃぁ&%#+“#%‘&%##”=(’&%$;のぷぉとぉーーー!」
真っ赤な顔して慌てて画面をスワイプ。
「コッチのニュース記事でぇすぅ!!!!!」
衝撃的、刺激的な画像を期せずして見せられたサクラ達は、未だ動悸が治まらずにいたが、表示されたニュース記事を見るなり愕然とした。
『東京都K市のアパートを放火した疑いのある容疑者、ストーカー規制法違反の嫌疑のみで送検』
「どう言う事なんだい、ツバサちゃん?」
「ハイでぇす。記事によると放火のあった日時、容疑者の男は別の場所にいたと主張し、防犯カメラの映像から、そのアリバイが立証されたとの事であります」
「つまりそれは……」
「放火犯が「別にいる」と言う事であります」
「「「!」」」
姿の見えない犯罪者の影が脳裏をチラつき、背筋に冷たい物を感じるサクラ達。
「「「「…………」」」」
思わず押し黙ると、教室に入って来た男子のクラスメイトが、
「おぅ東ぁ~、保健室のひがし先生がお前達四人に、昼休みに来いって言ってたぞ」
「分かった」
ヒカリ達と話している時と違い、素っ気なく頷くハヤテ。
相変わらず、クラスメイト達とは馴染めずにいたのである。
人付き合いが苦手なハヤテが、一方的に壁を作っているだけとも言えるのだが。
クラスメイトが遠ざかると、ハヤテの表情から緊張が消え、いつも通りの優しい表情に戻り、
「昼休みに、放火犯の話しもアイ先生にしてみよう」
頷くヒカリ達。
(ハヤテくん……私達と話す時みたいに、クラスのみんなとも話せば良いのに……)
自分の事を棚に置き、そう思うサクラであった。
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