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続章_54
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(なる程、被写界深度(ひしゃかいしんど)か……ツバサの話しとも関連があるし丁度良い)
ハヤテは一考すると、
「それはさっきツバサに言いかけた「絞り」で調整するんだ」
「「絞り」って、何だい?」
「レンズの中には羽が何枚か組み合わせて入っていて、ちょうど人間の目の、瞳孔みたいな働きをしてるんだ。それを調整するのが「絞り」だ」
「それで、どうすれば良いんだぁい!?」
「焦るな、焦るな」
急かすヒカリを、ハヤテは小さく笑い宥めると、
「今度はモードを「絞り優先」にして、背景をぼかしたい時には数値を小さく、奥までクッキリ見せたい時は数値を大きくすれば良いんだ。数値の調整は、シャッタースピードの時と同じ要領だ」
「へぇ~そうなんだ。でも、どっちの値がどっちか忘れちゃいそう」
「簡単さぁ」
「?」
「ヒカリは凄く遠くを見る時、目をどうする? 逆に近くの時は?」
「遠くを見る時は目を細めて……近くは見開く……かなぁ?」
「そう言う事だ。近くの物だけハッキリ見せたい時は目を見開く。だから絞りの一番小さな値は開放値(かいほうち)って言うんだ。因みに開放値が低いレンズ程、バカ高くなるぞ」
「「「ほぅ~」」」
感心しきりの三人娘。
「ただし、気を付けないといけない点がある」
「それは何だい?」
「絞りの値を大きくすればするほど、シャッタースピードは自動的に落とされる。だから写す時にはカメラ本体を動かさない様にしっかり持たないと、手ブレした写真になるんだ」
「どうしてだろぉ?」
「どうしてなんでしょうね?」
「ハーくん、何でなんだい?」
「カメラには標準露出(ひょうじゅんろしゅつ)ってのがあるんだ」
「「「うっ……」」」
難しそうな専門用語に、訝し気な顔する三人。
「アハハハハハ。そんなに難しい話じゃないさぁ」
「本当かぁい?」
「綺麗な写真を撮る為の基本は、カメラの中に一定の光を入れる事。シャッタースピードを上げるって事は「カメラに入る光の量が減る」って事だろ? だから絞りの値を小さくして光が入り易い様にする」
「「「ふむふむ」」」
「逆に「絞りの値が大きい時」は目を細めているのと一緒だから、シャッタースピードを遅くして、光が入れる時間を長くしてやらないと、トータルでカメラに入る光の量が足りなくなる。まぁ、シーソーみたいなモンなんだ」
するとツバサがハッと何かに気付いた顔をし、
「もしかして私の写真が暗かったのは、絞りの数字が大きくて光の量が足りなかったからで、鳩がブレたのは、絞りの影響でシャッタースピードが遅くなったから……では!?」
「正解!」
ハヤテはニッと笑い、
「絞り優先モードになっていて強制的に光の入る量が少なくなっている上に、カメラは少しでも光を取り込もうとして、シャッタースピードを落としていた。だから鳩の動きが捉え切れずブレて写ったんだ」
「「「なる程ぉ~~~」」」
「まぁ今話したのはあくまでも基本だ。そこから先は自由。意図して暗く撮りたければ暗くなる様に設定すれば良いし、明るく撮りたければ明るくなる様に設定すれば良い。俺達がこれから撮ろうとしているのは記念写真じゃない、自己表現写真なんだ」
(((自己表現!)))
新たに知った未知の言葉にサクラは目を輝かせ、ヒカリとツバサもこれからの写真活動に思いを馳せて目を輝かせた。
一人机に向かい、黙々と事務作業をこなす黄。
その口元には、微かな笑みがこぼれていた。
ハヤテは一考すると、
「それはさっきツバサに言いかけた「絞り」で調整するんだ」
「「絞り」って、何だい?」
「レンズの中には羽が何枚か組み合わせて入っていて、ちょうど人間の目の、瞳孔みたいな働きをしてるんだ。それを調整するのが「絞り」だ」
「それで、どうすれば良いんだぁい!?」
「焦るな、焦るな」
急かすヒカリを、ハヤテは小さく笑い宥めると、
「今度はモードを「絞り優先」にして、背景をぼかしたい時には数値を小さく、奥までクッキリ見せたい時は数値を大きくすれば良いんだ。数値の調整は、シャッタースピードの時と同じ要領だ」
「へぇ~そうなんだ。でも、どっちの値がどっちか忘れちゃいそう」
「簡単さぁ」
「?」
「ヒカリは凄く遠くを見る時、目をどうする? 逆に近くの時は?」
「遠くを見る時は目を細めて……近くは見開く……かなぁ?」
「そう言う事だ。近くの物だけハッキリ見せたい時は目を見開く。だから絞りの一番小さな値は開放値(かいほうち)って言うんだ。因みに開放値が低いレンズ程、バカ高くなるぞ」
「「「ほぅ~」」」
感心しきりの三人娘。
「ただし、気を付けないといけない点がある」
「それは何だい?」
「絞りの値を大きくすればするほど、シャッタースピードは自動的に落とされる。だから写す時にはカメラ本体を動かさない様にしっかり持たないと、手ブレした写真になるんだ」
「どうしてだろぉ?」
「どうしてなんでしょうね?」
「ハーくん、何でなんだい?」
「カメラには標準露出(ひょうじゅんろしゅつ)ってのがあるんだ」
「「「うっ……」」」
難しそうな専門用語に、訝し気な顔する三人。
「アハハハハハ。そんなに難しい話じゃないさぁ」
「本当かぁい?」
「綺麗な写真を撮る為の基本は、カメラの中に一定の光を入れる事。シャッタースピードを上げるって事は「カメラに入る光の量が減る」って事だろ? だから絞りの値を小さくして光が入り易い様にする」
「「「ふむふむ」」」
「逆に「絞りの値が大きい時」は目を細めているのと一緒だから、シャッタースピードを遅くして、光が入れる時間を長くしてやらないと、トータルでカメラに入る光の量が足りなくなる。まぁ、シーソーみたいなモンなんだ」
するとツバサがハッと何かに気付いた顔をし、
「もしかして私の写真が暗かったのは、絞りの数字が大きくて光の量が足りなかったからで、鳩がブレたのは、絞りの影響でシャッタースピードが遅くなったから……では!?」
「正解!」
ハヤテはニッと笑い、
「絞り優先モードになっていて強制的に光の入る量が少なくなっている上に、カメラは少しでも光を取り込もうとして、シャッタースピードを落としていた。だから鳩の動きが捉え切れずブレて写ったんだ」
「「「なる程ぉ~~~」」」
「まぁ今話したのはあくまでも基本だ。そこから先は自由。意図して暗く撮りたければ暗くなる様に設定すれば良いし、明るく撮りたければ明るくなる様に設定すれば良い。俺達がこれから撮ろうとしているのは記念写真じゃない、自己表現写真なんだ」
(((自己表現!)))
新たに知った未知の言葉にサクラは目を輝かせ、ヒカリとツバサもこれからの写真活動に思いを馳せて目を輝かせた。
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その口元には、微かな笑みがこぼれていた。
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