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竜神シエル
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「ラルク、構ってくれたも」
「本当にこういうところは変わらないよね。はいはい。シエルもう神様なんだから、って頑張ってるからね、お疲れ様」
ラルクが抱きついてきたシエルの頭を撫でるとシエルは嬉しそうに足をパタパタさせた。
「もう参拝時間も終わりだし、最近休みもないから疲れたよねシエル」
「うむ、でもラルクがこうしてくれるからの、わらわはこれが楽しみでやっておる。しかしのぅ、ラルクが従者みたいになっておるのだけは気に食わん。ラルクはわらわの旦那様じゃ」
「ふふっ、シエルがそう言ってくれるだけで俺はいいよ」
「わらわが納得いかぬ。前からそうじゃが、ラルクはもっと欲をだせ。わらわが一番叶えてやりたいのはラルクの願いじゃ」
「うーん、じゃあシエルがいつまでもずーっと俺に甘えてくれますように。」
「...。ば、馬鹿者!そんなの願わずともずっとじゃ!」
「願い叶っちゃった」
くすくす笑うラルクに完全にシエルは翻弄されるようになっていた。いつの間にか、主導権をラルクが握るようになり、シエルは真っ赤になって、膝枕されていた。
「俺さ、シエルが頑張ってる姿見てて、何処か行っちゃうみたいで、悲しくなる時がある。でもこうやってシエルが甘えてくれて、この姿見れるのは俺だけなんだって思うとね、凄く嬉しい。シエルはさ、皆の前で自分を律して、相手を律して、その上で真摯に相談とか願いとか聞いて、受け止めて、凄いなって。つくづく生き物の願いって勝手なものが多いな、って思うけど本人にとってそれはすごい問題で、どうしようもなくて苦しいんだよね、だから神様に祈ったり願い事をする。シエルはこうやって形があるけど、その前には俺たちからしたら形がない神様に祈ってでも解決したいことなんだよね。最近になってようやく分かった」
「そうじゃの、常に皆勝手じゃよ。だが、それが愛しい。光り輝いておる。ラルクは今故郷の人間たちを殺したいか?」
「ううん、短い命の中で皆懸命に生きてる事が分かったから」
「そうか。」
シエルが手を伸ばして、ラルクの頬に触れた。
「ずっとあった闇が消え、優しく澄んだ綺麗な目をしておる。ラルクちとここ抜け出して散歩いかぬか?」
「え、だってここシエル賢者たちが逃さないようにって結界張ってて出れないんじゃ...」
「そんなものわらわに効くわけがなかろう?ほれ、今日は祭りじゃ。前にラルクが用意してくれた浴衣を着ていくかの。ずっと...待ってたのじゃ。」
「シエル...。うん、分かった。じゃあ行こう。」
「ほー!えりゃっ!!」
「姉ちゃん上手いな!!!」
「すごい!これで10匹!...よーし、おりゃっ」
「ははは、兄ちゃんは一匹も取れずだな!」
金魚すくい。
「ラルク!ふわふわしてとろけて甘い!!」
「もーらい!」
「うにゃ!?」
綿あめ。
「...」
「え、なに、このお面がいいの?ひょっとこだよ?」
「それがいい。可愛い」
ひょっとこお面。
「ぎゃあああ!!たこ!タコ入ってる!!」
「たこ焼きだからね...」
「ぎゃあああ!!足の部分!!吸盤くっつくのじゃ!!」
「...たこ焼きだからね」
たこ焼き。
「らっせーらーらっせーらー」
「おお!神輿か!よし!わらわが今...」
「ちょっ!!お忍びなんだから!」
神輿。
「...じーっ。」
「や、やりずらいから...」
「一個くれ。」
「うん、はい。どうぞ。」
「うにゃあ!バシャバシャ言っておる!ボヨンボヨン楽しいぞ!」
「はいはい。」
水風船。
ずっと城の中で公務をしていたシエルにとって、なにもかもが眩しく見えた。お見合いや結婚の話、他の女なら食いつくだろう男は嫌という程出てきたが、シエルは全部蹴ってきた。ラルクは容姿端麗とはいかないし、シエルと身長差もそんなにない。性格も難あり。だが、シエルにとってラルクがどんなものよりも美しく、大切なものであり、シエルにいろいろ新しいことを教えてくれる。そんな存在だった。
「...エル、シエル!」
「なんじゃ?聞こえとる!! 」
「なら反応してくれる!?」
「花火綺麗じゃの。」
「聞いてないし」
「聞いてないのはラルクの方じゃよ、わらわは何回言えばいいのじゃ!!」
「え?」
「お前が死ぬまでずっと愛してる」
「え?え?花火の音で聞こえない!!」
「もう知らん。」
竜神シエルは見守り続けるのだろう。
愛する不老不死になったはずのラルクからその力を奪い、人間として生き、幸せな人生だったと死ぬその時まで。
そして竜神は愛するものの死に涙するだろう。
その涙が地に落ちた時、竜神は呪いから解き放たれ、世界の歯車は動き出す。
再び出会えるその時まで。
女王ドラゴンシエルは、再びこの地に降り立つ。愛するものと共に一つの木となって。
「本当にこういうところは変わらないよね。はいはい。シエルもう神様なんだから、って頑張ってるからね、お疲れ様」
ラルクが抱きついてきたシエルの頭を撫でるとシエルは嬉しそうに足をパタパタさせた。
「もう参拝時間も終わりだし、最近休みもないから疲れたよねシエル」
「うむ、でもラルクがこうしてくれるからの、わらわはこれが楽しみでやっておる。しかしのぅ、ラルクが従者みたいになっておるのだけは気に食わん。ラルクはわらわの旦那様じゃ」
「ふふっ、シエルがそう言ってくれるだけで俺はいいよ」
「わらわが納得いかぬ。前からそうじゃが、ラルクはもっと欲をだせ。わらわが一番叶えてやりたいのはラルクの願いじゃ」
「うーん、じゃあシエルがいつまでもずーっと俺に甘えてくれますように。」
「...。ば、馬鹿者!そんなの願わずともずっとじゃ!」
「願い叶っちゃった」
くすくす笑うラルクに完全にシエルは翻弄されるようになっていた。いつの間にか、主導権をラルクが握るようになり、シエルは真っ赤になって、膝枕されていた。
「俺さ、シエルが頑張ってる姿見てて、何処か行っちゃうみたいで、悲しくなる時がある。でもこうやってシエルが甘えてくれて、この姿見れるのは俺だけなんだって思うとね、凄く嬉しい。シエルはさ、皆の前で自分を律して、相手を律して、その上で真摯に相談とか願いとか聞いて、受け止めて、凄いなって。つくづく生き物の願いって勝手なものが多いな、って思うけど本人にとってそれはすごい問題で、どうしようもなくて苦しいんだよね、だから神様に祈ったり願い事をする。シエルはこうやって形があるけど、その前には俺たちからしたら形がない神様に祈ってでも解決したいことなんだよね。最近になってようやく分かった」
「そうじゃの、常に皆勝手じゃよ。だが、それが愛しい。光り輝いておる。ラルクは今故郷の人間たちを殺したいか?」
「ううん、短い命の中で皆懸命に生きてる事が分かったから」
「そうか。」
シエルが手を伸ばして、ラルクの頬に触れた。
「ずっとあった闇が消え、優しく澄んだ綺麗な目をしておる。ラルクちとここ抜け出して散歩いかぬか?」
「え、だってここシエル賢者たちが逃さないようにって結界張ってて出れないんじゃ...」
「そんなものわらわに効くわけがなかろう?ほれ、今日は祭りじゃ。前にラルクが用意してくれた浴衣を着ていくかの。ずっと...待ってたのじゃ。」
「シエル...。うん、分かった。じゃあ行こう。」
「ほー!えりゃっ!!」
「姉ちゃん上手いな!!!」
「すごい!これで10匹!...よーし、おりゃっ」
「ははは、兄ちゃんは一匹も取れずだな!」
金魚すくい。
「ラルク!ふわふわしてとろけて甘い!!」
「もーらい!」
「うにゃ!?」
綿あめ。
「...」
「え、なに、このお面がいいの?ひょっとこだよ?」
「それがいい。可愛い」
ひょっとこお面。
「ぎゃあああ!!たこ!タコ入ってる!!」
「たこ焼きだからね...」
「ぎゃあああ!!足の部分!!吸盤くっつくのじゃ!!」
「...たこ焼きだからね」
たこ焼き。
「らっせーらーらっせーらー」
「おお!神輿か!よし!わらわが今...」
「ちょっ!!お忍びなんだから!」
神輿。
「...じーっ。」
「や、やりずらいから...」
「一個くれ。」
「うん、はい。どうぞ。」
「うにゃあ!バシャバシャ言っておる!ボヨンボヨン楽しいぞ!」
「はいはい。」
水風船。
ずっと城の中で公務をしていたシエルにとって、なにもかもが眩しく見えた。お見合いや結婚の話、他の女なら食いつくだろう男は嫌という程出てきたが、シエルは全部蹴ってきた。ラルクは容姿端麗とはいかないし、シエルと身長差もそんなにない。性格も難あり。だが、シエルにとってラルクがどんなものよりも美しく、大切なものであり、シエルにいろいろ新しいことを教えてくれる。そんな存在だった。
「...エル、シエル!」
「なんじゃ?聞こえとる!! 」
「なら反応してくれる!?」
「花火綺麗じゃの。」
「聞いてないし」
「聞いてないのはラルクの方じゃよ、わらわは何回言えばいいのじゃ!!」
「え?」
「お前が死ぬまでずっと愛してる」
「え?え?花火の音で聞こえない!!」
「もう知らん。」
竜神シエルは見守り続けるのだろう。
愛する不老不死になったはずのラルクからその力を奪い、人間として生き、幸せな人生だったと死ぬその時まで。
そして竜神は愛するものの死に涙するだろう。
その涙が地に落ちた時、竜神は呪いから解き放たれ、世界の歯車は動き出す。
再び出会えるその時まで。
女王ドラゴンシエルは、再びこの地に降り立つ。愛するものと共に一つの木となって。
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