猫舌ということ。

結愛

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お泊まり会

第103話

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ブーブー。スマホが震え画面が光る。
仰向けからうつ伏せになり、枕元のスマホを取り、通知を確認する。

「今電話しても大丈夫ですか?」

ビックリして固まる。固まる表情や体に反し、鼓動が高鳴り、心拍数が早くなり始めた。
画面が消え、暗くなる。そおっっと布団から抜け出し、そおっっと部屋を出る。
暗闇が怖かったのですぐにスマホのライトをオンにする。
すぐ隣の3階に上がる階段のある広場に行き
階段を上り、3階から屋上の扉の鍵を開け、サンダルを履き、屋上に出る。
ビーチベッドに座り、スマホのホームボタンを押し
妃馬さんからの通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面に飛び、返信を打ち込む。

「はい。全然大丈夫ですよ」

「大丈夫ですよ」と打ったものの気持ちとしては「僕も電話したいです」だった。
すぐに既読がつく。既読がついたかと思ったら妃馬さんのアイコンが大きく表示される。
電話に出るほうのボタンをドキドキしながらタップする。
「あ、もしもし?」
妃馬さんの声が聞こえ、鼓動がさらに高鳴る。
「あ、もしもし」
「大丈夫でした?寝てませんでした?」
「はい。鹿島と小野田は寝ましたけど」
「そうなんですね。こっちも姫冬、フィンちゃん、恋ちゃんはたぶん寝てます」
「今は?」
「今?」
「あぁ、えぇ~っと。外ですか?」
「あぁ、はい。ベランダですね」
「そうなんですね。てか急にどうしたんですか?」
「あ、えぇ~っと…」
「ホラー映画見て怖くなったとか?」
半笑いで揶揄うように言ってみる。
「よくわかりましたね」
当たっていた。
「マジですか?」
「マジです」
「実は…」
僕たち3人も怖い系のものを見ていたこと
全然怖くなくて舐めてかかったら急にめちゃくちゃ怖い映像が出てきたこと
匠邸が広すぎて真っ暗にしたら、めちゃくちゃ怖かったことなどを話した。
「いいなぁ~。楽しそう」
「めっちゃ怖いですけどね?」
「その怖さも楽しそう!」
「でも怖くて僕に電話してるのに
匠邸の暗闇で怖いやつみたら泣いちゃうんじゃないですか?」
揶揄うように言ってみる。
「はい。もう切りまーす」
不機嫌そうな声を出す妃馬さん。
「あ、ごめんなさいごめんなさい」
「まったく」
「すいませんすいません」
その後機嫌を直してくれた妃馬さんはホラー映画のタイトル
ホラー映画を見たときの姫冬ちゃんや、森本さん、音成さんのリアクション
怖かったシーンなどを話してくれた。
「それ明日見てみようかな。3人で」
「ぜひ見てみてください!感想聞かせてください。
あ、怖かったら私に電話してもいいですよ?」
揶揄うように言う妃馬さんに鼓動が高鳴る。
「まぁ?妃馬さんほど、怖がりはしないと思いますけど。
…って言ってもたぶん電話するとしても今日と同じくらいの時間くらいですよ?」
「はい。たぶん起きてると思いますよ?…たぶんですけど」
「妃馬さんて結構夜型なんですね?」
「ん~まぁ。朝はそんな強くないので朝型か夜型かといえば夜型ですかね?」
「明日…ってかもう今日か。今日もなんか夜遅くまで起きてるなんかあるんですか?」
「なんか?」
「なんていうのかな?イベント?的な」
「あぁ!あぁなるほどそういう意味ですね!?
明日はフィンちゃん家にお泊まりに行くんです」
「あぁ~それで?」
「そういうことです」
「んで明日もホラー映画見ると?」
「んん~…どうでしょう?」
その後、妃馬さんたちの明日の予定や僕たちの明日の予定
今日素晴らしの湯に行ったこと、めちゃくちゃ美味しいお寿司を食べたことを話した。
「いいですね温泉」
「猫井戸駅の近くにあるんですよ」
「へぇ~猫井戸駅の近くにそんなのあるんですね」
「あるんですよ」
「へぇ~行ってみようかな?」
「広くてほんとに銭湯というより温泉なんです」
「いいですね」
「まぁでも割としますよ?」
「マジですか?」
「えぇ~っと千…三百円とかだったかな?」
「おぉ。なんとも言い難いお値段」
「ですよね。タオルレンタルもありますけどお金かかりますし
平日と休日で値段差あるんですよ」
「へぇ~。てことは?平日は?お安い?」
「平日はお安いです。でもゴールデンウィークは祝日に含まれるようで」
「マジですか!?」
「おぉ、今日一の驚き」
「今日一の驚きです」
「平日は800円だか、900円だか」
「えっ。結構な差額」
「なんですよ。まぁわかりますけどね?
ゴールデンウィーク平日と同じ800円にしたら人がわんさか来て大変だってのも」
「まぁたしかに。回んなくなりそうですもんね」
「大人はあれですけど、子供とか学生で、ごった返しになりそうですよね」
「たしかに!修学旅行のクラス毎のお風呂のローテーションみたいに」
「あぁ!わかる!上がるの遅いやつとかが
次のクラスが入ってきてる中まだ着替えてたり」
「そうそう!なんなら入り忘れた子が次のクラスにしれっと溶け込んで入ってたり」
「部屋風呂使うなって言われてたのに部屋風呂はいってたりね」
「あったあった!」
まるで同じ中学、高校であったかのように修学旅行のお風呂あるあるで盛り上がった。
ふと空に目をやる。紺色の夜空が白みががって奥から太陽の頭頂部が覗いていた。
「あっ」
つい声が漏れる。
「どうかしました?」
「あ、いや、もう日の出なんだなって」
「え!?ほんとですか?」
「あ、そっちからは見えないですかね?」
「たぶん反対ですね。残念」
「そろそろ寝ましょうか。朝だし」
「ですね。朝ご飯起こされるんだよなぁ~」
「起きられるかな?」
「ほんとそうです」
2人で笑う。
「じゃ、今度こそおやすみなさいですね」
「はい。おやすみなさい。また明日?今日か。LIMEします」
「はい。楽しみにしてます。じゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
耳からスマホを離し、通話終了ボタンをタップしようとするが少しだけ躊躇する。
ほんの少し指が宙を彷徨い、意を決して、通知終了ボタンをタップする。
画面が妃馬さんとのトーク画面に戻った。トーク一覧に戻り、スマホの電源を切る。
ビーチベッドに寝転がる。夢のような、青春のような時間だった。
鼻から空気を思い切り吸い込む。春の夜明け特有の香りがする。口から思い切り息を吐き出す。
ニヤけ顔が張り付いたように口角が上がったままなことに気づく。
そんな自分にまたニヤける。足を上げ、足を振り子のように使い、思い切り立ち上がる。
扉を開け、サンダルを脱ぎ、室内に入る。
扉の鍵を閉め、階段を下り、和室のゲストルームに戻る。
鹿島は寝相が悪く、掛け布団が左脚だけにかかっているような状態になっていた。
鹿島の掛け布団を鹿島のお腹が隠れるようにかけ直す。
パッっと匠の布団を見るとそこに匠の姿はなかった。
トイレにでも行ってるのか。と思い特に気にすることなく
鹿島を起こさないように、そっと自分の布団に潜り込む。掛け布団を体にかける。
和室の木製の天井と和室に合うような木の枠で囲われた四角形のライトが目に入る。
妃馬さんとの電話の内容が自然と頭に流れ、またニヤける。布団を頭まで被る。
妃馬さんとの電話を思い出し、ふかふかの掛け布団に掛け
布団の香りを楽しんでいるといつの間眠りについていた。

ぼやぁ~と目を開ける。柔らかく優しい自然光で照らされた和室が視界に入る。
ガサファサッっとした掛け布団の感覚が伝わる。
「んん~…」
仰向けのまま枕元のスマホを手探りで手に取る。
顔の前に掲げ、ホームボタンを押す。9時12分。
休日でも9時に妹が起こしてくれるので癖付いているのか、9時頃に起きてしまった。
鹿島の布団を見る。鹿島はいない。トイレか?と思い、匠のほうを見る。
姿こそ見えないが掛け布団が上下していたので
布団に丸まって寝ているのがわかった。枕元にスマホを戻し、二度寝することにした。

ぼやぁ~と目を開ける。柔らかく優しい自然光で照らされた和室が視界に入る。
「んなぁ~」
足と手を伸ばす。うつ伏せになり、スマホを手にホームボタンを押し、電源をつける。
11時37分。鹿島のほうを見る。布団の上で胡座をかき、床の間のほうを向きテレビを見ていた。
気づけば起きたときから、なにかしらの声やら音楽が聞こえていた。
寝転がりながら、黙って鹿島とテレビを見る。
「あ、このチョコケーキんまそう」
「あぁなに?怜ちゃん起きてたの?」
「うん。おはよー」
「おはよ。匠ちゃんはぁ~…」
鹿島が匠のほうに視線を向ける。僕も匠のほうを向く。
匠はいつの間に持ってきたのか、抱き枕を抱きながら気持ち良さそうに寝ていた。
「まだ寝てるか」
「コイツ起こさないと夕方まで寝るよ」
「あぁ~仲間だ」
「あぁ、そういえば鹿島もそうだな」
「えへへぇ~」
「褒めてねぇ」
それから12時過ぎるまで布団の上で
テレビを見ながら鹿島と話したりダラダラしたりして過ごした。
「そろそろ昼にするか」
「めっちゃ気持ち良さそうに寝てるけど」
「匠ー。匠ー。おーきてー」
匠が左右に寝返りをうち、うっすく目を開き
「なぁ"ー?」
と少しガラガラ声を出す。
「コンビニ行くぞー。顔洗って歯ー磨いて出るぞー」
「ん"ー」
ガラガラ声で返事をする匠。
「寝起き弱いんね匠ちゃん」
「永遠に寝れるタイプだから」
「永遠は無理よ」
まだ寝転がっている匠がガラガラ声で応える。
「歯ブラシの場所教えてー。行くぞー」
と立ち上がり、匠にも起きるように急かす。鹿島と匠と3人でお風呂場の洗面所に向かい
洗面台の下の棚から予備の新品の歯ブラシを鹿島と僕にくれた。
眠い目を擦りながら半分寝ながら歯を磨く匠を笑いながら
3人で横並びで仲良く歯を磨き、顔を洗った。
その後財布とスマホを持ち、部屋着のままコンビニに向かった。
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