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新鮮な日々
第115話
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相も変わらず妹に起こされ朝を迎える。激烈に眠かった。それもそうだ。
5時前に起きて、7時前に起こされたのだ。眠いに決まっている。
その短時間になにか変な夢を見た気がしたが
全く思い出せず、ほっそい目に眉間に皺を寄せながら1階へ行く。洗面所で歯を磨き顔を洗う。
冷水を顔に浴びたお陰で少し目が覚めた感覚になったがやはり眠くあくびが出る。
リビングへ入り、家族と朝の挨拶を交わす。
いつも通り家族で朝ご飯を食べ、妹が制服に着替えて学校へ向かう。
少し時間が経ってから父も会社へ向かう。
母に「今日大学は?」と聞かれ、1限は置いといて「休講ー」と事実を伝える。
お昼ご飯をどうするかを聞かれ、それに答えて部屋に戻る。
部屋に戻り、なにも考えずお腹からベッドに倒れ込む。
そのまま布団を巻き込み、スッっと眠りに落ちた。
お昼に母に起こされ、母と2人でお昼ご飯を食べた。
部屋に戻り、撮り溜めていた動画を編集する。
結局お昼から夕方まで時間をかけて2本の動画ができた。
別日に投稿されるよう、予約投稿を行う。妹が帰ってきて、リビングに行く。
父も帰ってきて家族で夜ご飯。いつも通り過ごし、いつも通りベッドで眠りについた。
次の日もいつも通り。家族と朝ご飯を食べて、妹が学校に行き、父も会社へ向かう。
この日は3限に講義があったため、お昼を食べずに、大学へ向かった。
講義室に入ると妃馬さんと音成と
マスクをしていたが明らかに美人であろうことが滲み出ている人。
ほぼ確実に森本さんだと思った。妃馬さんと音成と目が合い
妃馬さんと音成は軽く手を挙げ、挨拶してくれた。
僕も軽く手を挙げ、軽く頭を下げる。マスクをした森本さんと思われる人とも目が合う。
ペコリと頭を下げて挨拶してくれたので僕も軽く頭を下げて挨拶し返す。
講義室を見渡す。しかし鹿島も匠も見当たらない。
仕方ないので、後ろの席で1人ポツンと座る。
スマホを取り出し、ホームボタンを押す。妃馬からの通知があった。
「今日来たのはラッキーでしたね」
その一文だけでマスクの人が森本さんだと確信を持てた。
妃馬さんの通知をタップし、返信を打ち込む。
「といいますと?」
ほぼわかっていたけど、とぼけた文を送る。
トーク一覧に戻るとデルフィンという名前が一番上に来ていた。
森本さんとのトーク画面にひさしぶりに足を踏み入れる。
「初めまして。いや初めましてじゃないけど会うのに関して初めまして」
この正確に伝えようとしている感じについ、口元が笑ってしまう。
「やっぱり森本さんだったんですね。そうですね。対面では初めまして」
送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻ると今度は妃馬さん名前が一番上にあった。
また妃馬さんとのトーク画面に入る。
「フィンちゃんと会えましたね!」
わかっていた。
「やっぱりそうだったんですね!レア日だ」
送信する。トーク一覧に戻る。また森本さんの名前が一番上にあって
森本さんに返信したら、今度は妃馬さんでということになるかと思ったが
通知はなかったので、最近使ったアプリ一覧に行き
音楽アプリに飛び、今再生されている音楽を止める。
スマホの電源を切り、画面を下にした状態で机に置く。
イヤホンをスマホからも耳からの抜き、丸めてスマホの近くに置く。
すぐに講師の方が入ってきて講義が始まる。
鹿島も匠もおらず、1人寂しく、太ももの上にサティスフィーを乗せ
机の陰で講師の方に見えないようにゲームをする。
まずはあつまれせいぶつの森の日課をこなす。日課は20分もあれば終わった。
ホーム画面、ゲームタイトルがずらっと並んだ画面に行き、今度はスプラタウンを起動する。
起動するまでに時間がかかり、その間に机の上に置いたスマホを裏返し、ホームボタンを押す。
妃馬さんと森本さんからの通知。太ももの上にサティスフィーを置きっぱなしにし
今度はスマホを机の陰に持っていき、妃馬さんからのメッセージを読む。
「わかってました?」
通知をタップし、返信を打ち込む。
「美人オーラダダ漏れですよ?」
送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻り、今度は森本さんとのトーク画面に入る。
「気づいてました?」
返信を打ち込む。
「まぁ、そうですね?マスクしてても美人オーラダダ漏れだし
なにより妃馬さんと音成と並んでいたから」
送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻る。
妃馬さんの名前が一番上に来ているのを期待したが
今返信した森本さんの名前が一番上で妃馬さんの名前は二番目だった。
電源を切り、スマホの画面を下にして机の上に置く。
太ももの上置かれたサティスフィーを手に取る。
スプラタウンのタイトル画面。ZLとZRのボタンを同時押しする。
いつも通りマッチに接続する。待ち時間にスマホの電源を入れる。
妃馬さんと森本さんからの通知。返信しようとしたが試合が始まりそうだったのでやめた。
試合はあっという間に終わった。勝ち。
気持ち良くスマホを手に取り、妃馬さんからの通知をタップする。
「美人オーラwまぁたしかにね?」
少し口調が崩れた文面でニヤケそうになり、上下の唇をしまう。唇戻し返信を打ち込む。
「ですですw目立つでしょ」
美人オーラダダ漏れなのもそうだが森本さんは派手髪だった。
金髪にインナーカラーが赤。そりゃ目立つ。送信ボタンをタップする。
トーク一覧に戻り、森本さんとのトーク画面に入る。
「マジっすか?ダダ漏れてました?まぁたしかに2人いたらそうか」
「自分で言うかね」
半笑いで呟き、返信を打ち込む。
「しかも髪色が髪色だから、また目立ちますよね。
妃馬さんと音成、2人と仲良いといえば森本さんですからね」
送信ボタンをタップする。電源を切り、机に置く。
太ももの上のサティスフィーでまた試合をする。試合を終え、スマホを触る。
妃馬さんと森本さんからの通知がある。
「目立ちますねぇ~。髪も派手だし」
頷く。
「あんな派手髪だなんて思っても見なかったです」
次は森本さんとのトーク画面に入る。
「派手ーですか?」
「いや派手だろ」
そうツッコみつつ返信を打ち込む。
「派手派手。赤ですよ?」
送信ボタンをタップする。またサティスフィーでスプラタウンの試合をして
終わったら2人に返信していた。それを繰り返しているとあっという間に
講義終了の時間が近づく。講義中最後の試合を終える。
「えぇ~少し早いですが今回はここまでにします。お疲れ様でした~」
講義室内が騒めき出す。次々と講義室を出ていく生徒たち。
僕もいつも通り荷物をまとめて妃馬さんと音成に近づく。
しかしそこで「いつも通り」でないことを1つ思い出す。
いつもは妃馬さん、音成と一緒に帰り、2人の家まで送っている。
しかし今日は森本さんがいる。それに気づいたときにはもう遅かった。
妃馬さんが僕に気づき微笑みかけていて、音成も机から身を乗り出し、手を振っていた。
「じゃ、帰りましょうか」
「あっ…そ う で す ね?」
森本さんも含めた4人で大学を出る。妃馬さん、音成、森本さん、女子3人で話をする中
なんとなく気まずく周りの景色を見る。
「ね!」
妃馬さんの一言が僕に向けられているようで
「え?あ、はい?すいません。なんですか?」
と輪に入る。
「怜夢さんの最寄り駅周辺の話です」
「周辺?素晴らしの湯とか?」
「ですです」
「暑ノ井さんはずっと猫井戸ですか?」
森本さんとまともに初めて会話する。妙に緊張する。
「あ、はい。そうですね。1回も引っ越したことないです」
「へぇ~。じゃあ何田川もよく通ります?」
「あぁ、もちろん。駅下りたらすぐですからね」
「あそこ6月頃になると提灯ぶる下がってるじゃないですか」
「あぁ~はいはい。ありますね」
「あれなにか知ってます?」
「え、あぁ~。言われてみると知らないっすね」
「マジですか?知ってるかと」
「森本さんも知らないんすか」
この会話をし出したのに、知らないということが少しおかしく半笑いになってしまった。
「いや知ってます」
「え、あぁ知ってんすか」
「あれほたる祭りの提灯だそうですよ」
「あぁ!ほたる祭り!あの玖我山のほうのね」
「そうですそうです。行ったことあります?」
「ありますよー。小学生のときにも行ったことありますし
それこそ匠と一緒に行ったこともあります」
「蛍見ました?」
「見ましたよー。暗い何田川の中に微かな光がぼやぁ~ってなってましたよ」
「おぉ~。やっぱ蛍って日本の夏の風物詩って感じですよねぇ~」
「森本さんも見てたんですか?」
「はい。小学生のときにサキちゃんと行ったり、中学生でも行ってましたよ」
「マジっすか!?じゃあちっちゃい頃会ってたかもなんですね?」
「まぁ最寄り駅も同じですし、高校とかでもすれ違ってたかもですよ」
「え?あ、え?猫井戸なんすか?」
「そうなんですよ」
「え、あぁ~。へぇ~。マジか」
まさかの森本さんと最寄り駅が同じということに少し親近感が湧き、少しテンションが上がる。
「森本さんってドイツとのハーフでしたよね?」
「ですね」
「ドイツには住んでたんでしたっけ?」
「はい。小学生のときに日本に来ました」
「あ、あぁ、そうか。そうでしたね。小学生の頃か。ドイツのこと覚えてたりします?」
「んん~。まぁ覚えてるっちゃ覚えてるんでしょうね。
ただたまにこの思い出はドイツか日本かわかんなくなるときあります」
「へぇ~。似てる?んですか?日本と」
「似てぇ~…なくもないですけど、日本よりなんだろう柔らかい感じ?」
「柔らかい感じ?」
「表現が難しいですね。日本よりこうだだっ広いって感じかな?」
「ドイツの~…いや聞いてもわからんか」
「あぁ場所ですか?」
「そうです。聞こうとしたけど聞いたとこで「あぁ!」とはならないなって」
「ベルリンは聞いたことありますよね?」
「もちろんもちろん。世界史で出てきましたからね」
「の近くのブランデンブルクのテルトーってとこです」
「んなあぁ~。聞いたこと、あるような、ないような」
「日本のアパートみたいのがダーってある感じです」
「団地的な?」
「そ う で す か ね?まぁ一軒家もあるけど」
「難しい」
「そうなんですよ。難しいんですよ」
妃馬さんは音成と話す中、森本さんと僕で難しい顔で悩む。
「でもイメージだとドイツってこう、なんてーのかな。
のどかな田舎なイメージがありますけど」
「まぁ合ってるっちゃ合ってるかな?
日本の田舎~…って言ったら悪いか。山梨とか静岡とかに近いかな?」
「へぇ~」
表面上は納得したものの、全然イメージができていなかった。
「全然納得いってないですよね?」
バレた。
「バレました?」
「女の勘てスゴいんですよ」
「ふっ…。ははははは」
つい笑ってしまった。
「な、なんですか。なにがおかしんですか」
「すいませんすいません。この前妃馬さんも同じこと言ってたから」
「え、そうなんですか?」
「妃馬さんは第六感って言ってましたけど」
「へぇ~」
距離が少し縮まったとも感じられるし
まだ全然距離が縮まったとも言えない、なんとも言えない感じだった。
「でも田舎なら虫とか多そうですね」
「んん~そうですね。割と多いんじゃないですかね。
私が住んでたのはそんなに田舎ではなかったので」
「へぇ~」
「あ、それこそ蛍いるとは聞いたことあります」
「え!?ドイツにもいるんですか!?」
「らしいですよ。母が言ってただけなので本当かは知りませんけど」
「蛍って日本だけのものかと思ってた」
「私も日本に来てから母に聞いたので驚きましたね」
駅について4人でホームに入る。
5時前に起きて、7時前に起こされたのだ。眠いに決まっている。
その短時間になにか変な夢を見た気がしたが
全く思い出せず、ほっそい目に眉間に皺を寄せながら1階へ行く。洗面所で歯を磨き顔を洗う。
冷水を顔に浴びたお陰で少し目が覚めた感覚になったがやはり眠くあくびが出る。
リビングへ入り、家族と朝の挨拶を交わす。
いつも通り家族で朝ご飯を食べ、妹が制服に着替えて学校へ向かう。
少し時間が経ってから父も会社へ向かう。
母に「今日大学は?」と聞かれ、1限は置いといて「休講ー」と事実を伝える。
お昼ご飯をどうするかを聞かれ、それに答えて部屋に戻る。
部屋に戻り、なにも考えずお腹からベッドに倒れ込む。
そのまま布団を巻き込み、スッっと眠りに落ちた。
お昼に母に起こされ、母と2人でお昼ご飯を食べた。
部屋に戻り、撮り溜めていた動画を編集する。
結局お昼から夕方まで時間をかけて2本の動画ができた。
別日に投稿されるよう、予約投稿を行う。妹が帰ってきて、リビングに行く。
父も帰ってきて家族で夜ご飯。いつも通り過ごし、いつも通りベッドで眠りについた。
次の日もいつも通り。家族と朝ご飯を食べて、妹が学校に行き、父も会社へ向かう。
この日は3限に講義があったため、お昼を食べずに、大学へ向かった。
講義室に入ると妃馬さんと音成と
マスクをしていたが明らかに美人であろうことが滲み出ている人。
ほぼ確実に森本さんだと思った。妃馬さんと音成と目が合い
妃馬さんと音成は軽く手を挙げ、挨拶してくれた。
僕も軽く手を挙げ、軽く頭を下げる。マスクをした森本さんと思われる人とも目が合う。
ペコリと頭を下げて挨拶してくれたので僕も軽く頭を下げて挨拶し返す。
講義室を見渡す。しかし鹿島も匠も見当たらない。
仕方ないので、後ろの席で1人ポツンと座る。
スマホを取り出し、ホームボタンを押す。妃馬からの通知があった。
「今日来たのはラッキーでしたね」
その一文だけでマスクの人が森本さんだと確信を持てた。
妃馬さんの通知をタップし、返信を打ち込む。
「といいますと?」
ほぼわかっていたけど、とぼけた文を送る。
トーク一覧に戻るとデルフィンという名前が一番上に来ていた。
森本さんとのトーク画面にひさしぶりに足を踏み入れる。
「初めまして。いや初めましてじゃないけど会うのに関して初めまして」
この正確に伝えようとしている感じについ、口元が笑ってしまう。
「やっぱり森本さんだったんですね。そうですね。対面では初めまして」
送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻ると今度は妃馬さん名前が一番上にあった。
また妃馬さんとのトーク画面に入る。
「フィンちゃんと会えましたね!」
わかっていた。
「やっぱりそうだったんですね!レア日だ」
送信する。トーク一覧に戻る。また森本さんの名前が一番上にあって
森本さんに返信したら、今度は妃馬さんでということになるかと思ったが
通知はなかったので、最近使ったアプリ一覧に行き
音楽アプリに飛び、今再生されている音楽を止める。
スマホの電源を切り、画面を下にした状態で机に置く。
イヤホンをスマホからも耳からの抜き、丸めてスマホの近くに置く。
すぐに講師の方が入ってきて講義が始まる。
鹿島も匠もおらず、1人寂しく、太ももの上にサティスフィーを乗せ
机の陰で講師の方に見えないようにゲームをする。
まずはあつまれせいぶつの森の日課をこなす。日課は20分もあれば終わった。
ホーム画面、ゲームタイトルがずらっと並んだ画面に行き、今度はスプラタウンを起動する。
起動するまでに時間がかかり、その間に机の上に置いたスマホを裏返し、ホームボタンを押す。
妃馬さんと森本さんからの通知。太ももの上にサティスフィーを置きっぱなしにし
今度はスマホを机の陰に持っていき、妃馬さんからのメッセージを読む。
「わかってました?」
通知をタップし、返信を打ち込む。
「美人オーラダダ漏れですよ?」
送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻り、今度は森本さんとのトーク画面に入る。
「気づいてました?」
返信を打ち込む。
「まぁ、そうですね?マスクしてても美人オーラダダ漏れだし
なにより妃馬さんと音成と並んでいたから」
送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻る。
妃馬さんの名前が一番上に来ているのを期待したが
今返信した森本さんの名前が一番上で妃馬さんの名前は二番目だった。
電源を切り、スマホの画面を下にして机の上に置く。
太ももの上置かれたサティスフィーを手に取る。
スプラタウンのタイトル画面。ZLとZRのボタンを同時押しする。
いつも通りマッチに接続する。待ち時間にスマホの電源を入れる。
妃馬さんと森本さんからの通知。返信しようとしたが試合が始まりそうだったのでやめた。
試合はあっという間に終わった。勝ち。
気持ち良くスマホを手に取り、妃馬さんからの通知をタップする。
「美人オーラwまぁたしかにね?」
少し口調が崩れた文面でニヤケそうになり、上下の唇をしまう。唇戻し返信を打ち込む。
「ですですw目立つでしょ」
美人オーラダダ漏れなのもそうだが森本さんは派手髪だった。
金髪にインナーカラーが赤。そりゃ目立つ。送信ボタンをタップする。
トーク一覧に戻り、森本さんとのトーク画面に入る。
「マジっすか?ダダ漏れてました?まぁたしかに2人いたらそうか」
「自分で言うかね」
半笑いで呟き、返信を打ち込む。
「しかも髪色が髪色だから、また目立ちますよね。
妃馬さんと音成、2人と仲良いといえば森本さんですからね」
送信ボタンをタップする。電源を切り、机に置く。
太ももの上のサティスフィーでまた試合をする。試合を終え、スマホを触る。
妃馬さんと森本さんからの通知がある。
「目立ちますねぇ~。髪も派手だし」
頷く。
「あんな派手髪だなんて思っても見なかったです」
次は森本さんとのトーク画面に入る。
「派手ーですか?」
「いや派手だろ」
そうツッコみつつ返信を打ち込む。
「派手派手。赤ですよ?」
送信ボタンをタップする。またサティスフィーでスプラタウンの試合をして
終わったら2人に返信していた。それを繰り返しているとあっという間に
講義終了の時間が近づく。講義中最後の試合を終える。
「えぇ~少し早いですが今回はここまでにします。お疲れ様でした~」
講義室内が騒めき出す。次々と講義室を出ていく生徒たち。
僕もいつも通り荷物をまとめて妃馬さんと音成に近づく。
しかしそこで「いつも通り」でないことを1つ思い出す。
いつもは妃馬さん、音成と一緒に帰り、2人の家まで送っている。
しかし今日は森本さんがいる。それに気づいたときにはもう遅かった。
妃馬さんが僕に気づき微笑みかけていて、音成も机から身を乗り出し、手を振っていた。
「じゃ、帰りましょうか」
「あっ…そ う で す ね?」
森本さんも含めた4人で大学を出る。妃馬さん、音成、森本さん、女子3人で話をする中
なんとなく気まずく周りの景色を見る。
「ね!」
妃馬さんの一言が僕に向けられているようで
「え?あ、はい?すいません。なんですか?」
と輪に入る。
「怜夢さんの最寄り駅周辺の話です」
「周辺?素晴らしの湯とか?」
「ですです」
「暑ノ井さんはずっと猫井戸ですか?」
森本さんとまともに初めて会話する。妙に緊張する。
「あ、はい。そうですね。1回も引っ越したことないです」
「へぇ~。じゃあ何田川もよく通ります?」
「あぁ、もちろん。駅下りたらすぐですからね」
「あそこ6月頃になると提灯ぶる下がってるじゃないですか」
「あぁ~はいはい。ありますね」
「あれなにか知ってます?」
「え、あぁ~。言われてみると知らないっすね」
「マジですか?知ってるかと」
「森本さんも知らないんすか」
この会話をし出したのに、知らないということが少しおかしく半笑いになってしまった。
「いや知ってます」
「え、あぁ知ってんすか」
「あれほたる祭りの提灯だそうですよ」
「あぁ!ほたる祭り!あの玖我山のほうのね」
「そうですそうです。行ったことあります?」
「ありますよー。小学生のときにも行ったことありますし
それこそ匠と一緒に行ったこともあります」
「蛍見ました?」
「見ましたよー。暗い何田川の中に微かな光がぼやぁ~ってなってましたよ」
「おぉ~。やっぱ蛍って日本の夏の風物詩って感じですよねぇ~」
「森本さんも見てたんですか?」
「はい。小学生のときにサキちゃんと行ったり、中学生でも行ってましたよ」
「マジっすか!?じゃあちっちゃい頃会ってたかもなんですね?」
「まぁ最寄り駅も同じですし、高校とかでもすれ違ってたかもですよ」
「え?あ、え?猫井戸なんすか?」
「そうなんですよ」
「え、あぁ~。へぇ~。マジか」
まさかの森本さんと最寄り駅が同じということに少し親近感が湧き、少しテンションが上がる。
「森本さんってドイツとのハーフでしたよね?」
「ですね」
「ドイツには住んでたんでしたっけ?」
「はい。小学生のときに日本に来ました」
「あ、あぁ、そうか。そうでしたね。小学生の頃か。ドイツのこと覚えてたりします?」
「んん~。まぁ覚えてるっちゃ覚えてるんでしょうね。
ただたまにこの思い出はドイツか日本かわかんなくなるときあります」
「へぇ~。似てる?んですか?日本と」
「似てぇ~…なくもないですけど、日本よりなんだろう柔らかい感じ?」
「柔らかい感じ?」
「表現が難しいですね。日本よりこうだだっ広いって感じかな?」
「ドイツの~…いや聞いてもわからんか」
「あぁ場所ですか?」
「そうです。聞こうとしたけど聞いたとこで「あぁ!」とはならないなって」
「ベルリンは聞いたことありますよね?」
「もちろんもちろん。世界史で出てきましたからね」
「の近くのブランデンブルクのテルトーってとこです」
「んなあぁ~。聞いたこと、あるような、ないような」
「日本のアパートみたいのがダーってある感じです」
「団地的な?」
「そ う で す か ね?まぁ一軒家もあるけど」
「難しい」
「そうなんですよ。難しいんですよ」
妃馬さんは音成と話す中、森本さんと僕で難しい顔で悩む。
「でもイメージだとドイツってこう、なんてーのかな。
のどかな田舎なイメージがありますけど」
「まぁ合ってるっちゃ合ってるかな?
日本の田舎~…って言ったら悪いか。山梨とか静岡とかに近いかな?」
「へぇ~」
表面上は納得したものの、全然イメージができていなかった。
「全然納得いってないですよね?」
バレた。
「バレました?」
「女の勘てスゴいんですよ」
「ふっ…。ははははは」
つい笑ってしまった。
「な、なんですか。なにがおかしんですか」
「すいませんすいません。この前妃馬さんも同じこと言ってたから」
「え、そうなんですか?」
「妃馬さんは第六感って言ってましたけど」
「へぇ~」
距離が少し縮まったとも感じられるし
まだ全然距離が縮まったとも言えない、なんとも言えない感じだった。
「でも田舎なら虫とか多そうですね」
「んん~そうですね。割と多いんじゃないですかね。
私が住んでたのはそんなに田舎ではなかったので」
「へぇ~」
「あ、それこそ蛍いるとは聞いたことあります」
「え!?ドイツにもいるんですか!?」
「らしいですよ。母が言ってただけなので本当かは知りませんけど」
「蛍って日本だけのものかと思ってた」
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