猫舌ということ。

結愛

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特別な日

第145話

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妹に起こされ目覚める。朝ご飯を家族と食べる。妹と父を見送る。
当たり前のように1限をサボり、その日その後は5限だけだったので
昼寝をし、母とお昼ご飯を食べた。妃馬さんは4限があり

「おはようございます?今日は5限ですよね」

というLIMEが来ていた。

「おはようございます?まあ、たしかに「?」ですよねw
ですね。遅いと遅いで行く気削がれますが…」

と返信する。お昼ご飯を食べ終え、大学に行く準備をする。
小さな鏡で寝癖がないかを確認し、部屋着から服を着替える。
ファーストピアスを外す。黒いピアスケースの蓋を開ける。フクロウと目が合う。
手に取り、キャッチを外し、ピアスホールに針部分を通す。
後ろからキャッチを入れる。顔を動かす。耳元でチャームが揺れる。なぜかニヤける。
もう片方のピアスホールにもフクロウのピアスを入れる。
カップ焼きそばほどの鏡で耳元を確認する。フクロウがはしゃいでいるように揺れている。
バッグを持ち部屋を出る。
「いってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」
扉を開き、外に出る。音楽を聴きながら駅へ歩く。
電車に乗り、乗り換えて、大学の最寄り駅で降りる。コンビニに寄ってから講義室を目指す。
講義室に入ると匠の綺麗な白髪がすぐに目に飛び込んできた。
音成や妃馬さん、森本さんはいつも壁側、扉側にいるので入ってすぐ妃馬さんたちを探す。
すぐに妃馬さんを見つけられた。
妃馬さんと目が合う。妃馬さんの顔がパッっと笑顔に変わる。僕も笑顔で返す。
首を少し傾けたとき耳元でチャームが揺れる。
音成もこちらを向き、胸の辺りに手を挙げて、恐らく「おっす」と言っている。
僕も胸の辺りに手を挙げ、口パクで「おっす」と返す。匠の元へ向かう。
「おっす」
「うぃ~」
「失礼?」
匠の座っているイスの後ろと後ろのテーブルの隙間を縫っていく。
テーブルにバッグとスマホを置き、イスに座り
サティスフィーを取り出し、ゲームを開始する。まずはあつまれせいぶつの森の日課を行う。
講師の肩が入ってきて、講義が始まる。スマホを手に取る。
ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。

「完全に朝じゃないですもんねw
あぁ~わかります。めんどくさいんですよね」

返信する。

「ですねwでもこんにちはは変ですしね。
そうなんですよw」

スマホの画面を下にして、テーブルに置く。
サティスフィーであつまれせいぶつの森の日課を行う。日課を済ませ、妃馬さんに返信をし
今度はサティスフィーで匠から貰った「Dilapidated my buddy」を起動する。
タイトル画面で「初任務」を選択する。ムービーが始まる。やめる。
これはやはり音を聞きながらやりたいと思い、別のゲームをする。
「本日はここまでにします。お疲れ様でした」
講義が終わる。荷物をまとめて音成と妃馬さんに近づく。いつもの4人で帰る。
なんでもない話をしながら歩き、なんでもない話をしながら電車に乗り移動する。
「あ、私たち今日大吉祥寺で見たいものあるから」
音成が言う。匠は「え?」という顔をしていたが
「あ、そうなの?じゃ、怜夢、妃馬さん、ここで」
と言った。
「おう。じゃ、また明日な」
「ん。また明日」
「小野田さん恋ちゃんまた明日」
「うん!サキちゃん、暑ノ井くんまたね!」
「おう。音成またなぁ~」
手を振る。音成と匠が背を向け、楽しそうに話しながら歩いて行く。
「なに見るんでしょうね」
「なんでしょう?服とか?靴とか?」
「まあ、じゃあ帰りましょうか」
「ですね」
2人で改札を通り、ホームに着いている電車に乗る。
すぐに電車が発車する。妃馬さんの最寄り駅で降り、妃馬さんの家に向かって歩く。
「もうじきテストですね」
「あぁ~やめて。それ言わないで」
「テスト~」
「やめてぇ~」
妃馬さんが笑う。
「まあ、私も嫌ですよ」
「妃馬さんの嫌と僕の嫌はレベルが違いますから」
「そうなんですね」
「妃馬さんはまあ、講義聞いてるじゃないですか。
僕全然聞いてないですからね。自慢じゃないですけど」
「全然自慢じゃない」
妃馬さんが笑う。
「めっちゃヤバいです。自業自得ですけど」
「私もそんなに楽勝ってことはないですよ。
恋ちゃんとかフィンちゃんといると話しちゃうし」
「前講義中ロールケーキとかシュークリームとか食べてましたね」
「そうそう!フィンちゃんもまともに講義来ないのに
来たら来たでお菓子片手にお茶会が始まりますからね」
「めっちゃ楽しそうですけどね」
「めっちゃ楽しいです」
「講義集中できない?」
「できないできない!できるわけない!」
妃馬さんが笑う。僕も笑う。笑うと耳元でチャームが揺れる。
なんでもない話をしているといつもの曲がり角に着く。
曲がり角を曲がって歩くとすぐに根津家の入っているマンションのエントランス前につく。
「怜夢さん」
「はい」
なにを言われるのか少しドキドキする。
「ピアス着けてくれてるんですね」
なるほど。そのことか。
「はい。もちろん。めっちゃ可愛くて。妹も可愛いーって言ってました」
「良かったです」
「…似合ってます?」
「はい!すごく!」
笑顔でそう言った妃馬さんを見て、安心したのと同時に心臓がうるさく鳴り始めた。
「良かったです。ありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそ」
そう言う妃馬さんの耳にはキラリと光るイヤリングがあった。
「もうだいぶ慣れました?」
「そ う で す ね?」
「プレゼントした後は着けてくれてたけど、何回か忘れたって言ってましたもんね」
「いや、そうなんですよ。いつもの準備する中に
イヤリングってのがなかったのでたまに忘れちゃうんですよね」
「わかります。その気持ち」
「でも最近はイヤリングを着けるってのも、いつもの準備の中に定着しつつあります」
まだ「しつつ」だけど、妃馬さんの「いつもの準備」の中に
「イヤリング」という項目が加わったのがとても嬉しかった。
「…嬉しいです…」
思わず声が漏れ、思わず口角が上がる。
「はい」
そりゃ「嬉しいです」なんて言われたら返答に迷うだろう。
「あ、じゃあ、また明日。あとLIMEで」
と話を切る。
「はい。また明日。あとLIMEで」
妃馬さんに手を振り、踵を返す。曲がり角を曲がり、イヤホンをつける。
イヤホンを耳に入れるときも耳元でチャームが揺れる。なぜか少し嬉しかった。
スマホで音楽アプリを開き、プレイリストの「お気に入り」をシャッフル再生し
駅までを歩き出す。電車に乗り、自分の家の最寄り駅で降りる。
家に帰り、家族と夜ご飯を食べ、お風呂に入り、部屋に戻って眠った。
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