猫舌ということ。

結愛

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特別な日

第147話

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22時過ぎに居酒屋を出て、カラオケへ移動した。
受付で7人でフリータイムと告げ、結構な大部屋へ案内してもらった。
カラオケの個室特有のモワッっとしたような、湿気が強く、不思議な香りがする部屋に入った。
鹿島がクーラーをつける。そこでも姫冬ちゃん以外はお酒を頼み
鹿島のうまさど返しのノリノリの歌い方で盛り上がったり
姫冬ちゃんの天使のような歌声に眠くなったり、ひさしぶりに匠の歌声を聞いて

ほんとこいつなんでもできるな

って思ったり、森本さんの歌声を聞いて、姫冬ちゃんの言う通りうまくて

この人もなんでもできるんだな

って思ったり、音成さんもさすがは吹奏楽部。
まあ、吹奏楽部は関係ないかもしれないが、さすが音楽好きだけあってうまかったり
妃馬さんの歌声を聞いて最初に会ったときを思い出したり
気を許せるメンバーとはいえ、歌うのは緊張したり
みんなでワイワイ楽しんでいたら、いつの間にか23時半近くになっていた。
終電は0時半ほどまであったはずだが鹿島が
「帰りますか!」
と言うので支払いを済ませてカラオケを出た。
駅へ行くと鹿島が早めに切り上げた理由がわかった。
森本さんを送るために早めに切り上げたのだ。
森本さんを送るだけなら終電ギリギリでも構わないだろうが
鹿島はその後帰らないといけない。それを考えた上での切り上げだった。
初めて7人で同じ電車に乗り込む。
「いやぁ~楽しかった~」
「わかる。ひさしぶりに結構飲んだ」
「わかります。ひさしぶりに結構飲んだ」
「あれ?初めて会ったとき結構飲むって言ってませんでした?」
「いや、まあ、今はそんなですよ。
怜夢さんと初めて会ったときくらいは夜中にフィンちゃんと恋ちゃんと飲みに出てました」
「あぁ~たしかに最近行ってないね」
「たしかに~」
「そういえばお姉ちゃん最近夜出掛けないよね」
「姫冬ちゃん、そんな妃馬さん夜出掛けてたの?」
「はい。多い時だと週1では出てましたね」
「わーお」
「妃馬さん結構お酒強いですか?」
「いや、そんなですね。フィンちゃんが1番強いですね」
「マジっすか」
「伊達にドイツの血入ってないんでね」
「あ、そっか。ドイツってビール大国か」
「やっぱビール好きなんですか?」
「いや、好きじゃないです。苦いので」
「ドイツの血どこ行った?」
7人で笑った。本来僕も降りる駅で森本さんと鹿島が降り、2人に手を振る。
森本さんと鹿島は話しながらエスカレーターへ行った。
扉が閉まり、ゆっくりと電車が動き出す。
音成、妃馬さん、姫冬ちゃんの最寄り駅で5人降りた。
そしていつもの道を歩き出す。他愛もない話をしながらしばらく歩いた。
「似合ってますね!お姉ちゃんがあげたピアス」
「そお?それはありがたい」
「お姉ちゃんも似合ってるよね」
「あ!ほんとだ!それ暑ノ井くんから貰ったやつじゃん」
「うん」
妃馬さんが少し照れくさそうにしていて、なぜか僕も照れくさかった。
「可愛い~。暑ノ井くんセンスあるねぇ~」
「それはどうも」
「怜夢はセンスいいからな」
「匠に言われると照れるな」
「なんで私のときは流したんだよ~」
「え、別に?そんなつもり全然なかったけど」
「あ、そお?なんかあるんかと思った」
「ねぇよ」
「そっか。3人は中学からなんだよね」
「そうそう」
「音成とは1回も同じクラスになったことないけど」
「え!あ!ないんだ?」
「ないない」
「話したことは?」
「なぁ~~…い?」
「ない…かな?」
「そんなことあんの!?」
「卒業アルバムには一言貰ってたんだよね。大学で再開してから気づいた」
「暑ノ井先輩サイテー」
「サイテー」
「おい。音成は「気にしてないよ」って言ってたろ」
「そんなこと言ったっけー?」
「言ったわ」
「小野田先輩とは話してた?」
「うん。たっくんとは話したこと何回もあるよ」
「吹奏楽でなにしてんのー?とかね」
「そうそう。懐かしいね」
「な」
「なんかいいですね」
「ですね」
そんな話をしているといつの間にかいつもの曲がり角に来ていて、その角を曲がり
あっという間に根津家の入っているマンションのエントランス前を通り過ぎていた。
「あ!12時越えてる!」
姫冬ちゃんが音成の家の前でスマホの画面をつけてそう言った。
「え!」
音成も妃馬さんもスマホを取り出し、確認している。
「本当だ!」
匠と僕は「?」を頭に浮かべていると
「動画撮ろ!動画!」
姫冬ちゃんが言う。
「ん?なんあるんですか?」
妃馬さんに尋ねると
「あぁ、12時越えて日付変わったので、フィンちゃんの誕生日になったんです」
「あぁ~。8月1日」
「です」
「なるほどぉ」
納得していると姫冬ちゃんが
「じゃ、いきまーす」
スマホを掲げ、インカメラにしてピンッっという音がする。
「フィンちゃーん。お誕生日おめでとぉ~」
「「おめでとぉ~」」
「「ございます」」
「今日遊ぼうねぇ~」
「楽しみだねぇ~」
音成はうんうん頷いている。
「小野田先輩と暑ノ井先輩もなんか」
「え」
匠と顔を見合わせて「お前が先行け」を顔でやり取りする。すると匠が負け
「えぇ~お誕生日おめでとうございます。今度なんか奢ります」
と言った。なので僕も匠の言葉を拝借して
「お誕生日おめでとうございます。オレもなんか、コンビニかなんかで奢ります」
と言った。
「じゃ、またねフィンちゃ~ん」
と姫冬ちゃんが手を振って、僕たちも手を振った。ピコンッという音がする。
「LIMEで送信っと」
「自分の動画とかたぶん見返すことはないだろうな」
「わかる。恥ずすぎる」
「わかるわかる。でも私はよく見てたわ」
「え、なんで?」
「いや、音楽でさ、見返して、まあ聞き返してのほうが正しいけど
あ、ここ早かったなとかもっと綺麗に音出せたなとか」
「あぁ~なるほどね」
「恋ちゃんのクラリネット綺麗だもんねぇ~」
「うん。私も好き」
「ありがとぉ~」
「文化祭で聞いてたわ」
「え、そうなの?初耳ですが?」
「あぁ~、まあ、そうね。初めて言ったかも」
「マジか。聞きに行ってたんか」
「嬉しいねぇ~」
「ガチ照れ?」
「恋ちゃ~ん?」
「恋ちゃ~ん?」
「え?あ、あ!じゃあ、また今度ねぇ~。あ、サキちゃんと姫冬ちゃんは今日ねぇ~」
音成は本当に照れていたのか、そそくさと行ってしまった。
「マジ照れ?」
「本気で照れてましたねぇ~」
「恋ちゃんカワイッ!」
踵を返し、妃馬さんと姫冬ちゃんをすぐそこまで送る。
「いやぁ~!楽しかったぁ~!」
「姫冬ちゃんお酒飲んでないけど楽しそうだったね」
「ですねぇ~。お酒飲めるようになったらもっと楽しいのかなぁ~」
「それはぁ~どうかな?」
「20歳(ハタチ)になったら心配すぎます」
「お酒弱そうだしね、姫冬ちゃん」
「わかる」
「たぶん弱いでしょうね」
「わからんよ?強いかもよぉ?」
「まあ、無くはない」
「マンガとかだとおもしろいよね。
一番ポワポワしててお酒弱そうな子がサークルの飲み会とかで全員潰れてるのに
1人だけ「えぇ~みんなもうオネムですかぁ~?」みたいな」
「バトル漫画で言ったら、なんでもない感じの子どもが鬼ほど強い能力持ってるみたいなな」
「その展開はおもしろい」
「わかる」
「私オネムなんて言わないですけどね」
「うん。良かった。言ってたら怖い」
「自分で言っといて」
4人で笑った。根津家の入っているマンションのエントランス前に着き
「じゃ、妃馬さん、姫冬ちゃん、また今度なんかで集まれれば」
「そうですね」
「誰かの誕生日とか」
「お金飛ぶな…」
「貸してあげるから。トイチ(10日で1割の利息)で」
「え、そこは無利子で頼むわ」
4人で笑った。
「じゃ、また。あと、あとでLIMEで」
「はい。また。それとあとでLIMEで」
「姫冬ちゃんもまたね」
「はぁーい。また!」
「妃馬さん、姫冬ちゃん、また」
「小野田さんもまた今度」
「はい」
「小野田先輩また会いましょーね」
「うん。またね」
妃馬さんと姫冬ちゃんに手を振って別れる。
「え、あの文化祭言ったって話詳しく」
「kwsk?」
「いいから」
「はいはい。いやね、恋とLIMEしてるとき、文化祭で演奏するんだよねって話になって
ま、他の出し物興味ないけど
恋の演奏聴きに行ってみようかなってことでちょっと行ってみたのよ」
「へぇ~。知らんかった」
「テニサー焼きそばなんでしょ?一応怜夢いるかな?って覗いたけどいなかったから」
「あ、そう?鹿島と回ってるときかな」
「かもね」
そんな話をしているうちに駅に着き、電車に乗って匠と別れ
自分の最寄り駅で降り、家へと帰った。
鍵を開けると母と妹はまだ起きていて、リビングでテレビを見ていた。
めちゃくちゃ酔ったわけでもないが、その夜はお風呂も入らず、スッっと寝てしまった。
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