猫舌ということ。

結愛

文字の大きさ
166 / 183
旅の始まり、旅の終わり

第165話

しおりを挟む
なぜか少し緊張して自分の家の玄関の扉を開く。自分の家の匂い。帰ってきた感がすごかった。
「たーだいまー」
ほんの少し大きく、でも呟くように言う。靴を脱ぎながらイヤホンを取る。
スマホのホームボタンを押し、ホーム画面で今再生されている音楽を止める。
「あ、お兄ちゃん帰ってきた」
妹の声がする。リビングを見ると奥のソファーから妹がひょこっと顔を出していた。
「おかえりー」
と妹が僕に手を振る。僕も振り返す。
「あ、おかえりー!」
廊下からリビングへ入るドアの枠の右側からひょこっと顔を覗かせる母。
「ただいまぁ~」
今一度言ってから洗面所へ行く。
リュックのファスナーを開け、中からTシャツやら下着のパンツを洗濯籠に放り込む。
水着の入ったビニール袋はお風呂に投げた。
手を洗い、うがいをしてリュックを持ってリビングへ行く。
「お兄ちゃん焼けた?」
「あ、ほんとだ。ちょっと赤いわよ」
「あぁ、2日目に海行ったから」
「日焼け止め塗らなかったの?」
「塗っ…てないね」
「シミできるよ~」
「ねぇ~」
ダイニングテーブルのイスにリュックを置き、中からお土産を出す。いろいろ買った。
フクネ饅頭や、フクロウと猫のキーホルダー。ラスクなんかも買っていた。
「キーホルダーほしい人ー」
「はいはい!可愛い!それ!」
「珍しいわね。フクロウ。ホテルフクネ」
「そうそう。フクロウと猫がコンセプト…ってわけじゃないけど
フクロウと猫が重要なあれだったんだって」
「可愛いー。スクバにつけよ」
「お饅頭いただきまーす」
「どぞー」
リュックを持って自分の部屋に帰る。ベッドに寝転がる。
「はぁ~…」
息を吐きながらおひさしぶりの自分のベッドに体を預ける。
ホテルの良いベッドも良かったが自分のベッドは特別な気がする。



「…ちゃん!起きろ!おい!お兄ちゃぁ~ん!」
妹の声で目を覚ます。いつの間にか寝ていたらしい。
「ん…。朝?」
「よーる。夜ご飯です。てか着替えてないんかい」
そう言われ、ボーっとした視界と思考で自分の格好を見る。そして思い出す。
旅行から帰ってきて、で、そのままだ、と。眠い目を擦りながらTシャツを脱ぐ。
「おい!妹がいるんだよ!脱ぐなよ!」
「上くらい別にいいだろ。下行くついでに洗濯出しといて」
妹に脱いだTシャツを首からかける。
「うえっ」
「うえっとか言うな」
妹が汚いものを摘むように人差し指と親指でなるべく触らないように持ちながら
部屋を出ていった。その後パンツを脱ぎ、部屋着に着替えて部屋を出る。
リビングへ行くともう父も帰宅しており
「あ、おかえり。お饅頭いただいたよ」
と言ってくれた。
「ただいま。そしておかえり」
と返した。そしてひさしぶりの家で家族全員での夜ご飯。
親友たちとの高級バイキングももちろん良かったが家族全員でのご飯はまた特別だ。
夜ご飯の後はひさしぶりの家族団欒。母や妹から「旅行どうだった?」と聞かれ
妃馬さんに告白したこと、付き合うことになったこと以外を話した。
お風呂ができた合図がして、妹がソファーを跨いでお風呂場へ飛んでいく。
その後に母が入り父。最後にお風呂に入り、水着を洗おうとしたらもう干されていた。
きっと母がやってくれたのだろう。感謝しお風呂に入る。もちろん家の浴槽は1人分。
温泉ほどの広さもないし、見上げても天井があるので露天風呂のように満点の星空も見えない。
でもなぜかそれもいい。家のお風呂は家のお風呂で好きだ。
替えの下着のパンツを履き、部屋着を着てリビングへ行く。
お土産で買ってきたお饅頭を家族で食べながらテレビを見たり、話をしたりした。
各々のタイミングで部屋に戻った。部屋に戻り、電気をつけ、テレビをつけてベッドに座る。
座った時間がないほどに一瞬で寝転がる。テレビのリモコンでザッピングする。
ニュースニュースニュース。バラエティーがやっていた。そのチャンネルのままにする。
女性タレントたちが自分たちでランキングを決め
世間の声とズレがあるか、という企画だった。思わずニャンスタグラムを開く。
スクロールしていくと案の定の投稿が目に入った。森本さんの投稿。
その番組自体は好きなようだが
名指しはしていないものの、出ている女性タレントを酷評する投稿だった。
しかしただの誹謗中傷ではなく、的を射ているところがあるらしく
「いいね」の数がすごく多くついていた。
僕も写真を2回連続でタップする。するとハートが色付く。
その投稿を見てから番組を見るとなんとなく僕も鼻につくようになってしまった。



いつの間にか眠ってしまっていたようで朝妹に起こされる。
徐々に日焼けの後遺症が出てくる。ヒリヒリして薄皮が剥け始める。
顔を洗い歯を磨いてリビングに行き、家族で朝ご飯を食べているとそのことを母に言われた。
朝ご飯を食べ終わると母がクリームを持ってきてくれた。それを借りて腕、首、顔に塗る。
女性ものだからなのか香りがキツい。父は相変わらず会社のようで朝家族でお見送りをする。
まだ眠かったので部屋に戻って眠ることにした。
あっという間に眠りについて、昼母に起こされる。
妹はどうやら部活の練習に向かったらしい。夏休みギリギリまであるなんて驚きだ。
母とお昼ご飯を食べていると
「あ、そうだ。来月の土日月とおじいちゃんおばあちゃんとこ行くから、予定空けといてね」
と言われた。
「来月の土日月って何日?」
「入ってすぐ。1、2、3かな?たしか」
「ほぉ~。どっち?」
「どっちって?」
「いや、母さんか父さんか」
「あぁ、どっちも行くよ」
「どっちも?」
「どっちも」
「どっちもって、てか月曜って夢香学校始まってんじゃないの?」
「うん。休んでもらう」
「あぁ~ね」
そんな会話をしたりテレビを見たりしてお昼ご飯を食べ終えた。
母がお皿を洗う音を聞きながらテレビ前のソファーに座りテレビを見る。スマホを取り出す。
昨日買ったスマホカバーに包まれて少し手に慣れない。でもなんとなくそれも良かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...