京に忍んで

犬野花子

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第三章

愛と憎の檻

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 ほの暗い部屋に灯る燈台の炎の揺らめきの中で、腕は縛られ脚の上に腰を落とされ四肢が動かせない。身をよじるも、はだけた小袖の中でふるふると白いまろやかな乳房が誘うように揺れるだけ。

 その様子を、とくに欲情している様子でもない月弥は微笑みながら、長い指先で秘裂を開かせるようにじっとりと上下に滑らせる。そこはすぐにぬちぬちと音を立て、薄暗い中でもてらりと鈍く光っていた。

「何もなくとも、こうやって濡れていくのですね、いやらしい身体だ。知ってますか? わたしの身体はそうはいかないので、相手の男根をしっかり濡らさなければいけないのです。挿れて欲しい訳ではないのに、身を守る為にね」
「んんっ……はぁっ」
「ふふっ……気持ちよさそうですね、羨ましい」

 意識を反らそうとするも、じりじりとした痺れがどんどん膨らんで離さない。さきほどから小さく膣はヒクついている。
「ねっ……やめてっ……こんなことしてっ……もっ、あなたは私としたい訳では、ないのでしょっ」
 月弥は指を動かしつつも首を傾げた。
「そうですね……交わる行為に良い思い出がないので。でも、あなたに子が宿ると、東宮もさぞ悲しまれるでしょうしね」
 絶句しているタキに美しい笑みを見せると、月弥は身体を浮かせて小袖から剥かれた白い脚を掴み、自分の脚をその腰の下に差し込んで、秘所をタキに見せつけるように高く晒した。
「やっ」
 身体を大きく曲げられ、間近となった自分の秘所に顔を背けた。
「ほら見てください」
 月弥は中指を真っ直ぐに蜜穴に添えると、そのままズブズブと沈めていく。
「溢れてきましたよ、トロトロと」
「いやっ」
「今度は抜いてみましょう……ああ、こんなにわたしの指を濡らして……」
 じくじくとした甘い刺激に誘われるように、タキの膣道は何かを求め腰まで揺らしてしまう。

 月弥は指を増やして再び沈めていく。
「ああっ!」
「美味しそうに咥えてますよ。ナカも熱くてトロトロしていますね。さすが女性の身体はよく出来ています」
「あんっあっ……ふぁぁぁ」
「もっと喜んでいいのですよ。ここには誰も来やしない……京からは離れた所ですから」

 月弥の指は徐々に容赦なく動きを強めかき混ぜ、ぐちゃぬちゃと粘っこい音が几帳に跳ね返りタキの耳を犯す。
 目の前で動く指からもたらされる官能が、タキの身体をしならせては高みへ押し上げ、足の指先まで痺れが駆け巡る。
「ああああああっ……はぁぁぁぁ……」
 ビュクビュクと月弥の指を締め付けながら、絶頂にうちふるえ、プルプルと乳房と仰け反った顎が震える。

 その姿を薄目でじっとり見つめて、ふうっと月弥は息を漏らした。
「……もう少し、遊ぶつもりだったのですけど……わたしも、男だったのですね……」
 ゆっくりとタキの下肢を畳に降ろし、シュルシュルと狩衣から帯を外す。紫差袴を脱いで小袖の前合わせを捲し上げるように固くなった自身を露にした。
 タキが絹ずれの音にピクリと頭を動かすが、月弥はすぐに動いた。

 ぬちっ、とぬかるむ感触を味わいながら少しずつナカに沈めていく。
「っあ!」
「これは、いい……」
 暖かくドロドロに溶かされる錯覚を、堪能しながら奥まで挿入すると、知らず甘い吐息が月弥の赤々とした唇からこぼれる。
「やめてっ、月弥っ」
「ふふっ、どの口が言うのです。わかるでしょ、すごく締め付けて、気持ちよいのですか? お姫様」
 腰を抜けるギリギリまで引いてからパツンッと強く打ち付けた。
「きゃあっ!」
「いいですね。高貴な姫君が、わたしのような汚れた者に凌辱されている姿は、そそります」
 パチュンッと、再びナカを強く擦りつけた。
「あああんっ!」
 月弥は上体を前のめりに倒すと、小刻みに動かした。その度に、膣はヒクヒクとうねってもっと奥にと取り込もうとするようで、えもいわれぬ甘美な感覚に、言葉も発せず黙々と腰を振った。

「あああっ! いやぁ……あっあっ……!」
「っ……いやらしい身体ですねっ」
 強烈な収縮にやられるように、月弥は深く奥に突き刺したままビュクビュクと白濁を出した。

 くたりとしたタキの頬をしばらく撫でてから、ゆっくりと引き抜くと、縛ったままであった腕の紐を取ってやった。
「これはもう必要ありませんね。呪が入りましたから……」


 タキが目を覚ました時には、月弥の姿がなかった。
 腕が自由になっているのに気づいて、二枚重ねて置かれている畳から立ち上がろうとするも力がはいらず、ヘナヘナと腰を降ろした。

「目が覚めたようですね」
 燈台の炎が揺らめいて、月弥が膳を持って現れた。
「お腹が空いてるでしょうから、粥を持ってきましたよ」

 膳には粥と汁物、赤い果実が乗っていた。
「ふふっ、逃げようとしたのですか。それだと手足に力が入ってないでしょう」
 そう言って匙を手にとり粥を掬うと、タキの口元へ運んだ。
「……また、呪をかけたのね」
「ええ。あなたを逃がす訳にはいかないので」
「ではなぜ腕を外したの?」
「ふふっ、それは後でもっと楽しむ為ですよ。ですから腹ごしらえをしたほうが賢明ですよ」
 月弥のその囁きに、タキの下腹部がジンッと熱く反応する。
「な、なにを、したのっ」
「さあ」
 クスリと優美に微笑むと、匙をタキの口の中へ押し込んだ。
「んっ」
 舌に擦りつけるように匙をなぶらせ、ゆっくりと引き抜く。
「いい子ですね。さあ、口を開けて」
 タキはモヤがかかったような意識にかぶりを振るが、月弥の発する言葉が身体を支配していくかのように浸透していく。
 呪から、逃れられなくなった。


「はあああああんっんっんっ……ああっだめぇ……ああんっ」
 ぐちゅぐちゅと後ろから延々と攻められて、タキは畳に顔を押し付ける。脱がされずそのままの淡紫の単と白い小袖がまくりあげられて、テラテラと白濁や愛液で濡れた白い双丘がユサユサと揺れている。
「ああいいですよ、本当に……」
 月弥は恍惚とした表情で、自身の肉棒を咥え込むタキの尻肉を撫でる。
「あの姫が……今こうやってわたしと……不思議なものですね……」
 ぬちゃくちゃと出入りする度、矯声をあげタキは震える。
「もっ……あああっ」
「わかりますか? あなたが自ら咥え込んでるのが……そんなに良いですか?」
「あっ……んっ……いっ……いいっ」
「いい子だ」
 ひときわ強く腰をパチパチと尻にぶつけると、すぐにタキの背中はしなり、キュウキュウと何度も肉棒を締め上げた。

 明けても暮れても、月弥はこの行為に没頭していた。
 素直に身体を開き始めたタキがいとおしい。乱れた髪や服を直して畳の上で抱き締めてやるほどには溺れていた。

 寝ているのか意識が朦朧としているのかわからないタキを抱きながら、月弥はふと懐かしき日を思い出した。
「仁子姫は、幼き頃から愛らしかった……わたしの唯一心安らぐ、時の象徴でしたよ……。それを、我が手で壊すとは……」
「んっ」
 身じろぎしたタキの額に唇を落とした。
「……なにもかもが、手遅れですね……」


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