告られ彼女の守り方 ~偽装から始まる、距離感ゼロの恋物語~

鶴時舞

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第13話 一緒に勉強

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 ――早朝。

 柔らかい感触が心地良い。ずっと触っていたい感触だ……。もちもち、もちもち。

「ん……。蒼真……。」

 名前を呼ぶ声で意識が覚醒する。と、同時に現状を把握し動揺した。

 俺の右手は、柔らかな感触を包み込むように握っていて、左手は太ももを、もちもちと揉んでいた。

「――!!」

 慌てて飛び起きた。またやってしまった!!

「羽依、ごめん! またやっちゃったみたいだ……」

「蒼真~……」

 羽依はそういって俺を布団に引き戻し、強く抱きしめた。
 俺の太ももを両足で挟み、強く抱きしめる。く、くるしい……。

 強烈なハグをしてるうちに、羽依は……もう一度寝ていた。

「すぅ~……すぅ~」

 ああ。またやらかしちゃった……。やっぱり添い寝は危険過ぎるな。

 起きるには少し早いが、もう眠れそうにない。朝のルーティーンを済ませよう。


 ――たっぷり汗をかいて帰ってきたら、羽依が朝食の準備をしていた。

「おかえり……蒼真」

「ただいま。その……ごめん」

 羽依がちらっとこっちを見て、また朝食の準備を再開した。羽依の顔は真っ赤になっていた。俺は居たたまれず、シャワーを浴びに風呂場へ向かった。

 今朝の朝食は、昨日残ったご飯でおじやを作る予定だった。包丁さえ使わなければ、羽依は基本なんでも出来るようで、ほぼ完成していた。

 今日も俺の隣に座る羽依。俺が一口食べた瞬間を見計らって一言。

「蒼真のエッチ」

「ブーーッ!!」

 ――絶対わざとやってる! しかも今日は粘り気のある固形物だ、掃除が大変!

「――だからごめんて……」

 羽依はもう怒っても恥ずかしがってる様子もなく、けらけらと笑いながらエッチエッチと連呼している。小学生か。

「今日は勉強頑張ろうね、蒼真。そうだ、うちのお店でやると捗るかもね。コーヒーサービスするよ!」

 おお! それはとてもありがたい提案だ! 特別な空間だったら勉強に集中できるかも。

「いいね! でもお店使って大丈夫?」

「うん。今日お母さんが夕方に帰ってくるからね。ごちそうしたいってのもあるからさ、丁度いいね」

 羽依がニコっと笑ってウインクしてくる。まだ慣れない、その半端ないあざと可愛さ。心臓が一瞬で激しくなる。可愛いってホント凶器だ。

 午前中はうちで勉強して、お昼を食べたらお店に向かうことにした。

 俺が後片付けをしてる間に、羽依が参考書から問題をピックアップし、小テストを作成する。

 まだ入学して1ヶ月ちょっとぐらいだけど、進学校の授業ペースは非常に早い。放課後に質問対応の時間も設けられてはいるが、うまく活用できていないのが痛いところだった。

 誰かに教わりたい気持ちはずっとあったから、羽依の申し出は本当にありがたかった。

 俺が小テストを終えて、羽依がチェックしている。

「うーん、この公式、使いどころを一段間違えてるかも。あとここ、符号ミスしてる。ケアレスだけど、ここの計算がズレると全体崩れるから注意だね」

 羽依が採点を終えて色々所見を述べる。あまりに的確な指摘に俺はぐうの音も出なかった。

 羽依の学力は実力テストで学年二位。ほんとにすごいよな……。努力を惜しまない才女、だよな。

「私もね、この学校に入りたかったから中学の時はすっごい勉強したの。三年生のときは勉強以外何もやらなかったかも」

 うちの高校に入る生徒は大半はそういう状況だったのかもしれない。俺も全く同じ境遇だから、羽依の話はとても共感がもてた。

「うん、きっと大丈夫だと思うよ。勉強してこなかったわけじゃないからね。蒼真、実力テスト何位だった?」

「300人中250位でした……」

 難関進学校で推薦込みでの実力テスト。ほぼ最下位と言ってもいい順位だった。

 羽依はそれを聞いて「ふむ」と一考し、唇の端をきゅっと上げた。
どこか挑発的で、自信に満ちた笑みだった。

「じゃあ中間ではグッと順位あげられるね! 私が全面バックアップするよ!」

 いかにも勝算があるように言う羽依。その自信は俺への信頼ともとれる。

 甘えてばっかじゃダメだよな……俺も、もっと頑張らないと!

 昼まで勉強を頑張った。羽依は疲れを全く見せていないが、俺はへとへとだった。

 料理をつくれば元気が出る! 俺は無心でカルボナーラを作った。

「美味しいね~! 私、カルボナーラ大好き!」

 羽依が最大の賛辞をまたもや表情で表してくれる。可愛すぎるぞ。

 食後にコーヒーを飲みたいところだけど、キッチン雪代で出してくれるようだ。あのコーヒーは本当に美味しかった。勉強しながら飲めるのは最高の贅沢だ。

 支度を済ませてアパートを出る。表に出ると羽依が手を繋いできた。

「3日間お世話になっちゃったね。また来ても良い?」

「断る理由が無いよ。羽依がいると楽しいし、毎日来てもいいよ」

 俺の言葉に羽依は嬉しそうに微笑んだ。

「んふ、私物いっぱい置いちゃおうかな!」

 羽依はいたずらっぽく笑ってる。

 ……まあ、こんなに可愛い侵略者なら、歓迎しちゃうよな。
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