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7.馬鹿にされた!?

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「なに、女神様の祝福だって!?」


「おぎゃあああああああ!!」


 目が見えないなりにも状況把握をすると、場所が変わり、男性と赤ちゃんの声が聞こえてきた。おそらく俺の身体の兄である赤ちゃんと父親だ。たしかアイシャが母親に『2回目の出産、大変お疲かれさまでした。おめでとうございます奥様。双子の元気な男の子ですよ』といっていた。


「ちょっと! ルーファス声が大きいわよ」


「いや、しかしリリアーナ、これは大変名誉なことで……。っと、あった。この文献をみて。女神様に祝福された人物は、歴史上でも数えるほどしかいないんだ。数百年に一人らしいよ」


「その本は私も読んだことがあるから知っているわ。……陛下には伝えるの?」


 俺の異世界転生はテンプレ通りに進んでいくのだけれど。なぜだろうか、まったく嬉しくない。力をもっているのならまだしも、俺には容姿端麗と自殺禁止しかない。羨望と嫉妬に狂った人物がテンプレのごとく襲ってきたらどうするんだ。


 ……まてよ。


 つまりテンプレ通りに行けば、“死ねる”かもしれないということじゃないか!!


「むふふふ」


 思わずほくそ笑む。

 これこそ他殺の極みじゃあないか。

 ポップ画面が現れた。


「ふぎゃあっ?!」


 もはや悲鳴だった。


(『神呪:自殺禁止』の効果により、『スキル:魅力向上LV0』を獲得しました)


 容姿端麗の上にこれ以上魅力を重ねてどうするんだよ!!

 ……っていうか、あれ? LV0って何だ?

 LV0って効果なんてないよな。


 ぽくぽくぽく、チーン。という木魚の音を想起する。


 ああ、なるほど。

 嫉妬や羨望をする人、全員を丸ごと魅了すれば、敵意をもたれずに殺されることがない。神呪の判定によれば、それを達成することがLV0でもできるということだろう。言い換えれば、すでに容姿端麗で魅力にあふれているからスキルなんて必要ないってことだ。


 俺の考えた通りにはならない。

 なら、なぜ神呪はLV0のスキルを獲得させたのか。


 絶対これって馬鹿にされたよな?!


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みんなの感想(1件)

ライライ
2022.11.20 ライライ

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