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第二章
予期せぬ謝罪
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ーーーーー麻衣の故郷・とある高校ーーーーー
麻衣の故郷は、北陸のベッドタウンである。
キャップを目深に被り、マスクをして自分の母校に行く麻衣。
同級生の北山日奈子の名前を借り、同窓会を開きたいという名目で学校に入る。
当時の担任の先生藤田がまだ勤務していたので、当時の話を聞きに行く麻衣。
藤田「久しぶりね!元気にしてた?」
麻衣「はい。先生こそ元気ですか?」
藤田「私は、もうすぐ定年よ! アナタが元気そうでなにより!」
応接室に通す藤田
麻衣「先生、卒業アルバム見してくれませんか?」
藤田「なんで? 持ってないの? 無くしちゃった?」
麻衣「実家にあると思うんですけど、引越しとかした際にどこに置いたか分からなくて」
藤田「また、探しといたら?」
麻衣「そうします。」
藤田は、応接室の棚から、1冊のアルバムを取り出す。
藤田「これね!あなた達の!」
麻衣「懐かしいなー!」
集合写真を見る麻衣。
写真の端に3人のワイプ写真があった。
藤田から話し始める。
藤田「あなた達のクラスね、私が持った生徒達の中で2人も亡くなって、1人今も行方不明なの。 1人は自殺。もう1人は事故。 本当に悲しかった。」
麻衣の左目の目じりがピクピクと動く
藤田が話しかける。
藤田「アナタ、北山さんじゃないでしょ?」
麻衣「えっ?」
藤田「私が教え子の顔なんか間違えないわよ! アナタは白井さんよね?」
麻衣「何言ってるんですか? 北山ですよ! 私は、北山日奈子ですよ!」
藤田「いえ、アナタが嘘をついてるのは分かってる。 何かあったの?」
麻衣「先生! 違うって言ってるじゃないですか!」
藤田が麻衣の横に座る。
藤田「ごめんなさい。 あの時気づけなくて。 アナタがイジメられてるなんて思わなかったの!」
麻衣「先生?」
藤田「本当にごめんなさい!」
藤田は、深々と頭を下げて謝る。
麻衣「・・・」
藤田が顔を上げると、そこに麻衣の姿は無かった。
ーーーーー夜行バスの中・最後部の座席ーーーーー
高速を走るバス。
座席の窓から流れてくる景色を見ている麻衣
先生の言葉がフラッシュバックする。
藤田『ごめんなさい。 あの時気づけなくて。 アナタがイジメられてるなんて思わなかったの!』
麻衣は、移動中のバスの中再び眠りについていた。
麻衣の記憶なのか、カイの記憶なのか麻衣には分からなかったが、学生時代の記憶が出てくる
ーーーーー集団イジメから1ヶ月後
・学校の屋上ーーーーー
麻衣N「この頃から、自分の意思とは別の意思が働くようになった」
屋上に1人でいる麻衣
そこに来る生徒AとC
生徒A「私たちに何の用?」
麻衣「・・・」
生徒C「なんか言えよ!」
胸ぐらを掴みに行こうとしたCの腕から血が吹き出す。
その血は、Aの顔に掛かる
何が起こったのか分からなかったCだが、自分の状態を見て患部を押さえながら呻き声をあげる。
Aは、Cに近寄る
生徒A「大丈夫?ねー?」
振り向いて麻衣の下へ行く。
生徒A「お前何して・・・」
途中まで言いがかった時、自分の置かれている状況を把握したA
首元に、千枚通しが突きつけられていた。
ーーーーー夜行バスの中ーーーーー
魘されて起きる麻衣
呼吸を整えつつ、外の景色を見ると、都庁が見えた。
バスは東京に戻っていた。
新宿の大型バス停留所を降りる麻衣。
目深に被った帽子とマスクは、周りの観光客とは異質である。
警察官が自転車に乗り巡回している。
それに目が入り、頭を下に向け歩き出す。
警察官の目に止まり、近寄ってくる。
逃げようとする麻衣。
麻衣の手を引っ張る女性の手。
麻衣「ちょっと!」
女性「いいからこっち!」
女性と物陰に隠れる麻衣。
麻衣は間一髪、警察官の職質を逃れた。
麻衣「あの? あなたは?」
女性「フフ。やっぱり麻衣やん!」
麻衣「その声、なーちゃん?」
なーちゃんと呼ばれた彼女は、西野だった。
麻衣「なんで私ってわかったの?」
西野「何でやろうな? 多分勘やわ!」
麻衣「勘?」
西野「麻衣やろ? 公衆電話からかけたの」
麻衣「えっ? 出なかったのになんで?」
西野「さぁ! これも勘かなー?」
麻衣「なーちゃんと会えるなんて思ってなかった」
西野「ウチも。」
麻衣「久しぶり会えて良かった。 ありがとう!」
麻衣は、その場から立ち去ろうとする。
呼び止める西野
西野「どこ行くん? 帰るところあんの?」
麻衣「私のことはほっといて・・・」
西野「アンタの家は、警官だらけやで? どないするん?」
麻衣「ほっといて。 なーちゃんに何も分からないし、もし、なーちゃんに怪我を負わせたらって思うと・・・」
西野「だから何? アンタに私の心配される筋合いないし、アンタ今指名手配みたいなもんやで」
麻衣「なーちゃん・・・ 分かってよ! 私は殺人犯なんだよ!」
西野「殺人犯だかなんだか知らんけど、麻衣は麻衣やろ?」
麻衣「なーちゃん、死ぬかもしれないんだよ!」
西野「麻衣に殺されるんやったら良いよ、知らん人に殺されるより断然良い」
麻衣「意味わかんない!」
麻衣を抱きしめる西野
西野「話は後で聞くから。 とりあえず一緒に来て」
急ぎ足でタクシーに乗り込み、西野の家へ向かう。
麻衣の故郷は、北陸のベッドタウンである。
キャップを目深に被り、マスクをして自分の母校に行く麻衣。
同級生の北山日奈子の名前を借り、同窓会を開きたいという名目で学校に入る。
当時の担任の先生藤田がまだ勤務していたので、当時の話を聞きに行く麻衣。
藤田「久しぶりね!元気にしてた?」
麻衣「はい。先生こそ元気ですか?」
藤田「私は、もうすぐ定年よ! アナタが元気そうでなにより!」
応接室に通す藤田
麻衣「先生、卒業アルバム見してくれませんか?」
藤田「なんで? 持ってないの? 無くしちゃった?」
麻衣「実家にあると思うんですけど、引越しとかした際にどこに置いたか分からなくて」
藤田「また、探しといたら?」
麻衣「そうします。」
藤田は、応接室の棚から、1冊のアルバムを取り出す。
藤田「これね!あなた達の!」
麻衣「懐かしいなー!」
集合写真を見る麻衣。
写真の端に3人のワイプ写真があった。
藤田から話し始める。
藤田「あなた達のクラスね、私が持った生徒達の中で2人も亡くなって、1人今も行方不明なの。 1人は自殺。もう1人は事故。 本当に悲しかった。」
麻衣の左目の目じりがピクピクと動く
藤田が話しかける。
藤田「アナタ、北山さんじゃないでしょ?」
麻衣「えっ?」
藤田「私が教え子の顔なんか間違えないわよ! アナタは白井さんよね?」
麻衣「何言ってるんですか? 北山ですよ! 私は、北山日奈子ですよ!」
藤田「いえ、アナタが嘘をついてるのは分かってる。 何かあったの?」
麻衣「先生! 違うって言ってるじゃないですか!」
藤田が麻衣の横に座る。
藤田「ごめんなさい。 あの時気づけなくて。 アナタがイジメられてるなんて思わなかったの!」
麻衣「先生?」
藤田「本当にごめんなさい!」
藤田は、深々と頭を下げて謝る。
麻衣「・・・」
藤田が顔を上げると、そこに麻衣の姿は無かった。
ーーーーー夜行バスの中・最後部の座席ーーーーー
高速を走るバス。
座席の窓から流れてくる景色を見ている麻衣
先生の言葉がフラッシュバックする。
藤田『ごめんなさい。 あの時気づけなくて。 アナタがイジメられてるなんて思わなかったの!』
麻衣は、移動中のバスの中再び眠りについていた。
麻衣の記憶なのか、カイの記憶なのか麻衣には分からなかったが、学生時代の記憶が出てくる
ーーーーー集団イジメから1ヶ月後
・学校の屋上ーーーーー
麻衣N「この頃から、自分の意思とは別の意思が働くようになった」
屋上に1人でいる麻衣
そこに来る生徒AとC
生徒A「私たちに何の用?」
麻衣「・・・」
生徒C「なんか言えよ!」
胸ぐらを掴みに行こうとしたCの腕から血が吹き出す。
その血は、Aの顔に掛かる
何が起こったのか分からなかったCだが、自分の状態を見て患部を押さえながら呻き声をあげる。
Aは、Cに近寄る
生徒A「大丈夫?ねー?」
振り向いて麻衣の下へ行く。
生徒A「お前何して・・・」
途中まで言いがかった時、自分の置かれている状況を把握したA
首元に、千枚通しが突きつけられていた。
ーーーーー夜行バスの中ーーーーー
魘されて起きる麻衣
呼吸を整えつつ、外の景色を見ると、都庁が見えた。
バスは東京に戻っていた。
新宿の大型バス停留所を降りる麻衣。
目深に被った帽子とマスクは、周りの観光客とは異質である。
警察官が自転車に乗り巡回している。
それに目が入り、頭を下に向け歩き出す。
警察官の目に止まり、近寄ってくる。
逃げようとする麻衣。
麻衣の手を引っ張る女性の手。
麻衣「ちょっと!」
女性「いいからこっち!」
女性と物陰に隠れる麻衣。
麻衣は間一髪、警察官の職質を逃れた。
麻衣「あの? あなたは?」
女性「フフ。やっぱり麻衣やん!」
麻衣「その声、なーちゃん?」
なーちゃんと呼ばれた彼女は、西野だった。
麻衣「なんで私ってわかったの?」
西野「何でやろうな? 多分勘やわ!」
麻衣「勘?」
西野「麻衣やろ? 公衆電話からかけたの」
麻衣「えっ? 出なかったのになんで?」
西野「さぁ! これも勘かなー?」
麻衣「なーちゃんと会えるなんて思ってなかった」
西野「ウチも。」
麻衣「久しぶり会えて良かった。 ありがとう!」
麻衣は、その場から立ち去ろうとする。
呼び止める西野
西野「どこ行くん? 帰るところあんの?」
麻衣「私のことはほっといて・・・」
西野「アンタの家は、警官だらけやで? どないするん?」
麻衣「ほっといて。 なーちゃんに何も分からないし、もし、なーちゃんに怪我を負わせたらって思うと・・・」
西野「だから何? アンタに私の心配される筋合いないし、アンタ今指名手配みたいなもんやで」
麻衣「なーちゃん・・・ 分かってよ! 私は殺人犯なんだよ!」
西野「殺人犯だかなんだか知らんけど、麻衣は麻衣やろ?」
麻衣「なーちゃん、死ぬかもしれないんだよ!」
西野「麻衣に殺されるんやったら良いよ、知らん人に殺されるより断然良い」
麻衣「意味わかんない!」
麻衣を抱きしめる西野
西野「話は後で聞くから。 とりあえず一緒に来て」
急ぎ足でタクシーに乗り込み、西野の家へ向かう。
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