青い石との奇妙な生活

結城時朗

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第一幕

嵐の夜

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都内にある12階建てのマンション。その1階に住んでいるのが今回の主人公である山本史緒里。
この日は、台風と梅雨前線影響で、凄まじい嵐となっていた。
史緒里はコーヒーを飲みながらテレビのニュースを観ていた。
ちょうど気象情報のコーナーになり目を向ける史緒里。
「続いて、天気予報なんですが、今の雨の状況色々心配ですが、ここからは気象予報士の川下さん」
「皆さん、こんばんは。今、関東全域では、大雨注意報が出されています。昨年気象庁が制定しました、5段階の警戒レベルですが、現在は避難経路の確認を示すレベル2が出ているところもあります。今後どうなっていくのか衛星画像で見ていきましょう」
真剣に気象情報を観ている史緒里。
時を同じくして、近くの公園の遊具に雷が落ちる。
凄まじい落雷の音に驚く史緒里。
「何? 雷落ちたの?」窓際へ駆け寄り、窓越しから外の様子を見る。
「すっごい雨! 今日は早く寝ようかな」カーテンを閉め、寝る準備に入る。
寝室に行く史緒里。「大丈夫かな?避難経路見とこかな?」
携帯の地図アプリで避難経路を確認する。「普段からしとけば良かった!」
「さっき、テレビで言ってたし、夜中の3時までって。大丈夫!」
普段から家では独り言が多い史緒里。「大丈夫!大丈夫!」
外では容赦なく降り続く雨となり続ける雷。
そのまま、目を瞑り眠りについた。

次の日

昨日までの嵐が嘘のように晴れ渡っている。
ベランダに出る史緒里。「いい天気!風も気持ちいい!」
深呼吸をして部屋に入ろうとすると、室外機のところに青く光るものが落ちている事に気づく。「昨日の嵐で飛んできたのかな? でも、綺麗!何かの縁だと思ってもらおっと!」
その時、激しい心痛が起こり、心臓の辺りを抑える史緒里。
「びっくりした!なんなの?」
室内に入り、椅子に座ると、携帯で症状を調べる。
「不整脈かな?  寝不足とかストレスとか溜め込むとダメなのかな?  自分ではそのつもりないけど・・・」
史緒里は、1日様子を見ることにした。
朝ごはんを軽めにし、2時間ほど読書をしてから昼食を取った史緒里。
「今日も完璧な味付け!」
朝以来、あの動悸の様な心痛は起こらなかった。
安心しきった史緒里は、仮眠を取る事にした。
史緒里は、ベランダで拾った青い石を枕元の机に置いた。
「なんか、縁起良さそう出し、綺麗からずっとココに飾ろう!」
相変わらず独り言が多い史緒里である。

しかし、この青い石によって、史緒里の人生が変わってしまうとは、史緒里自身知る由もなかった。




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