タロットカードゲーム

序盤の村の村人

文字の大きさ
3 / 4

第3話 非凡

しおりを挟む


「アーテステス。聞こえてますカ?」

 は?

「誰?ていうか何この声?」
「いたずらなんじゃね?」

 クラスメイトは、突然の放送に困惑しながら、予想を呟いていく。

「アッ聞こえてますね、初めましてこんにちワ。ワタシはウラナイシと申しまス」

 機械音のような声が放送から流れる。

「占い師?」
「はは、中二病かよ」

 僕は、窓から校庭を見る。今はちょうど下校時間であるはずなのに生徒が誰も校庭にいない。

 この時間は、校庭で野球部が練習をしているはずなのにいないのは、おかしいな……。

 何かが起きている?

「今、ワタシのことを侮辱しましたネ。許しませんヨ」

 バンッ

「……っ」

 突然の銃声にビクッと体が硬直する。

「これで静かになりましたネ、よかったよかっタ」

 真っ赤な血が音と時差でゆっくりと床に広がる。

「中田?」

 誰が呟いたかは、分からない。衝撃すぎて、体も脳も固まっているのだ。

  皆も僕と同じなのか、静寂が教室を包み込む。

 ドクドクと心臓の音がはっきりと全身に響いているようだ。

 体に変な力が入っているのを感じる。

 中田が打たれてから5分ぐらい経ったのだろうか、スリッパが赤く染まったのを見た安堂 彩が呟いた。

「嘘、これ血なの?」
「ぎゃあああああっ」
「待って誰か呼んでこよう」
「スマホは?」
「あ、あれどうして圏外になってる」
「ドアも窓も開かないんだけどっ!」

 血を見たことによるパニックなのか、あるものは、叫び、あるものは必死に教室から出ようとドアを叩く。

 部屋に充満している鉄のような匂いが鼻を突き刺すのも原因かもしれない。

 僕は、自分の席に座ったまま周りのクラスメイトの行動を傍観しながら、ウラナイシの次の言葉を待つ。

「ワタシの説明が終わるまで、教室からは、出られませんヨ」

 ウラナイシと名乗った者は、淡々とセリフを読み上げるかのように話す。

「じゃあ、早く説明とやらをしなさいよっ」
「そうだ、ここから出せ!」

「あなたたちもコウなりたいのデスカ?」

 言われなくてもコウが指している物が分かったのか、叫んでいた2人は、すぐに黙った。

「それでは、ルールをご説明しまス。これかラ、あなた達には、学校に散らばっているタロットカードを探してもらいますヨ」
「カードは、このような封筒に入ってまス。封筒からカードを取り出した瞬間に、カードの効果が発動しまス」

 どこから現れたのか、教卓の上に1つの封筒が現れる。見た目は、どこにでもあるちょうどカードが1番入るぐらいの長方形の封筒のようだ。

「皆さん返事がないですが、大丈夫ですカ?」

 喋りたくても喋れないが正しいのだろう。さっきのウラナイシの脅しが効いているのかもしれない。

「ウーン、そうですね、静かすぎるのもよくないでスネ。今から誰か1人に実演してもらいたいと思いまシタ。誰か1人出てきてくださイ」

 皆、自分が行きたくないのは一緒なのか、不安そうな目で互いを見つめ合う。

「おい、お前行けよ学級委員だろっ!」

 沈黙を破ったのは、和台 絢斗である。

「え、嫌だよ、そんなこと言うんだったら和台君が行けばいいじゃない」

  自分に視線が向けられたのが怖かったのか、それとも理不尽な申し出に腹を立てたのか学級委員長である、白崎 真矢は、声を震わせて答える。

「うっ、じゃあ、永山お前が行けよ」
「は、え、僕?い、い嫌だよ」

 和台は、次に気が弱そうな永山 秀に目をつける。

「そうだよ、お前がいけよ」
「そうね、永山君ならいいんじゃない?」

 永山は、友達がいないため、誰も援護しない。

 僕は、ただただクラスの様子を観察する。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味がわかると怖い話

井見虎和
ホラー
意味がわかると怖い話 答えは下の方にあります。 あくまで私が考えた答えで、別の考え方があれば感想でどうぞ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...